何で僕を?

大器晩成らしい

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「では、私は失礼して、侍従用の部屋に居りますので、何かありましたら、呼び鈴を鳴らして下さい」

夕食の片付けをした後、ラピスさんはモカを掌の上に乗せると、そう言って部屋を後にした。


「葵ちゃん、お風呂にする?マッサージする?そ・れ・と・も~、エッチする?」 

何、その新妻のお出迎えみたいな感じ。

「お風呂にする。それと、エッチは昨日したから、無しだよ?」

「うっ」

「無しだよね?や・く・そ・く!」

「ぐぬぬ、覚えてる。あ~あ~。葵ちゃんから誘ってきてくれないな~」

じ~

「そんな目で見てきても、誘わないからね」

チェッ

「舌打ちするんじゃありません」


「・・・お風呂は一緒でいいよね?」

「僕にノータッチならね」

「触りたい、洗いたい、そんなお年頃なのに。・・・酷い」

「そんなお年頃があるなんて、僕、聞いた事ないんだけど?嫌な予感しかしないから、僕、一人で入ってくる。だから、入ってこないでね~」

「そんな~~~~~」


月夜の叫びを聞き流し、お風呂場に。

今日は、魔物を倒すのに、いっぱい集中して、だいぶ神経が磨り減ってるからね。

ゆっくりとお湯に浸かって、疲れを癒したいんだよね。

月夜と一緒に、お風呂になんか入ったら、大変な事になるのは目に見えてるもん。

洗いたいなんて言ってたけど、洗いながら中途半端に悪戯なんかされたら、いろいろと困るし、そもそも、クリーンをかけるから、洗う必要ないじゃん。

疲れを取るどころか、余計、くたくたにされちゃいそう。


コンコン

控えめにノックした後、月夜が入ってきた。

「お背中流しましょうか?」

「いりません」

「え~、そこは、結構って言うんじゃないの?」

「それ、どっちとも取れるよね?そんな曖昧な返事をしたら、月夜にいいように解釈されちゃうじゃん」

「ばれたか」

「やっぱりね。そうだと思った。僕だって、学習してるんです」

「しょうがない、諦めるか・・・」

チラッ・・・チラッ

「そんな風に見てきても、許可しないからね」

チェッ

「舌打ちするんじゃありません」


「・・・一緒に浸かるだけだったらいい?」

それだけだったら・・・大丈夫、かな?

「一緒に浸かるだけ、ならね」

「ありがと」

腰に巻いたタオルを外し、肩に引っ掛けると、クリーンをかけ、僕の隣に入ってきた。

「ねぇ、絶対に悪戯しないから、抱き締めるだけ、それもダメ?」

抱き締めるだけなら・・・まぁ、いいか。

「絶対、悪戯はなしだからね」

「いいよ。でも明日は、(悪戯させてね)」

耳元に唇を寄せ、そう囁かれた。




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