何で僕を?

大器晩成らしい

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「うえっ?」

何?これ。


魚卵専門店に向かう途中、前から男の人が走ってくるなぁって思っていたら、真っ直ぐ僕の方に向かってきて、そのまま僕を俵抱きに。

食後すぐだったし、お腹が急に圧迫されて、せっかく食べたものが、うえって出てきそうになって、慌てて手で口を押さえた。

・・・あれっ、もしかして今、誘拐されそうになってる?

でも直ぐに、月夜が、僕と繋いだ手と反対の手で、その男の人の襟首を強くひっぱり、その勢いのまま、後ろに引き倒し、後頭部を思い切り、道路に叩きつけていた。

僕はいつの間にか後ろにいたラピスさんに、わき腹の部分を持たれ、保護されていて、その光景をスローモーションのように見ていた。

うわっ、あれって痛いってだけで、すんでなくない?

凄い衝撃音と、グエッって声が響いたんだけど・・・生きてる?

「先ずは1人ですね」

そう言って、月夜の横に下ろされたんだけど。

何が、先ずは1人なの?

こんなのが、他にもいるっていうの?


「葵ちゃん、大丈夫?クリーン。バッチイのに抱えられて可哀相に」

「ねぇ、その人なに?僕の事、誘拐しようとした?」

「バッチイごみ、だね。現行犯だから、処分してもいいよね?」

「そうですね。くずゴミです。燃やしましょうか?跡形も無く」

「えっ、いや、そこまではしちゃダメなんじゃない?」

とは言ったものの、その人、ピクリとも動かないんだけど・・・死んじゃってたりして?

もしかして、時既に遅し?

「とりあえず、衛兵に引き渡そう」

誘拐犯の処分は、そっちに任せよう。

「あっ、丁度いいですね。呼びに行く前に来たようです」

衛兵が3人、こっちに向かって、走ってきた。

「これは、どういうことだ?説明しろ!」

「こちらに居ります、葵様を、誘拐しようとした犯人です。連れ去られないよう、襟首を引っ張り、引き倒したら、こうなりました。ちなみに、こちらが、私達の身分証明書です」

そう言って、新婚旅行証明書と、僕の専任侍従であるという証を見せていた。

陛下直々に発行してもらった証明書だからね。

これ以上の物はないよね。

凄く驚いて、月夜の顔を見ている。

その証明書に、いろいろと書いてあるから。


【新婚旅行証明書・・・勇者:海原月夜、伴侶:葵、専任侍従:ラピス・シ・ディープブル、以上3名、王族専用門の使用を認める】


お蔭で、すんなりと納得してくれ、倒れたままの人は、その手足を縄で結ばれ、そのまま引き摺られて行った・・・









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