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第四部「不条理な記憶」
第二十一章1 届いた贈り物
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「ど、どうしよう・・・?」
呆然とした表情で香奈子は呟いた。
取り返しのつかない事実に愕然としている。
同時に怒りが込上げてきた。
(こ、こんな・・ひどい・・・)
レイプされたのだ。
しかも夫の友人である竹内に。
『いやー、やっぱり手料理はいいなぁ・・・』
家庭の味に飢えているフリをして2度も訪れたのには訳があったのだ。
香奈子は後悔をした。
夫が居ない時に家に入れるべきではなかった。
『奥さんは何時見ても美しい・・・』
見え透いたお世辞だとは思いながらも、その舐めるような視線におぞましさを感じていたのに。
「うっ・・・うううっ・・・」
悔しさに涙が溢れてくる。
(あんな・・あんな男に・・・)
分厚い唇が脳裏に浮かぶ。
ヤニ臭い息に、しつこく舌を絡め取られてしまった。
「あうっー・・うううぅっー・・・」
香奈子は両手で顔を覆い、激しく声を出した。
泣き続ける事で忌まわしい事実を消してしまいたい。
認めたくない。
夫以外の男に身体を許すなど有り得ない事だった。
たとえレイプされたとはいえ、愛を裏切る行為である。
香奈子はひたすら自分を責め続けていた。
媚薬を飲まされたとは思いもしなかった。
また、強烈な官能を味わった故に記憶を失っている事にも、今は気付いてはいない。
「うっ・・・うっ・・ひっく・・・」
嗚咽が途切れ途切れに漏れる頃、涙で滲む瞳を開けた。
散らばった衣服はそのままで、テーブルにある灰皿にはタバコの吸殻が残っている。
残酷な事実は決して消える事無く、香奈子は胸を締め付けながら見つめていた。
だからチャイムが鳴り、現実に引き戻された時も暫くは立つ事も出来ずに呆然としていたのだった。
一旦、やんだチャイムの音が再び聞こえるとハッと立ち上がった。
その顔は恐怖に引きつっていた。
もしかすると竹内が来たのかもしれない。
壁に掛かっているインターフォンのスイッチを押した。
インターフォンのTVカメラを覗くと宅配業者が立っていた。
ホッと息をついた香奈子は受話器を取った。
「はい・・・」
「宅配便でーすっ・・・」
若い男は元気な声を出した。
「今、門を開けますから・・・」
正門のセキュリティーを解除して慌しく玄関に走る。
まだ新しい家政婦がいないので、直接母屋に連絡がつながっている。
上気した頬を気にしながら、荷物を受け取った。
自分宛のものだった。
送り主も同じになっている。
だが送った記憶は無い。
「まさか・・・?」
リビングに戻り、恐る恐る開けて見るとひと回り小さい段ボール箱と手紙が入っていた。
「あぁ・・・」
予感が的中した香奈子は切ない声を漏らした。
短い手紙の下段に竹内の名前を見つけたからだった。
『愛する香奈子様へ
昨日は有難うございました。
長年の夢がかない、最高に幸せな一日でした。
記念に、プレゼントを同封します。
これからも宜しくお付き合い願います。
竹内 』
レイプした残忍な気配が、微塵も感じられない。
まるで友人にあてるような明るい文章は、返って不気味さを演出していた。
「何を・・企んでいるの・・・?」
段ボール箱を開ける事も出来ず不安な表情で見つめていたが、とにかく中を見る事にした。
封筒と一緒に携帯電話が入っていた。
手紙を取り出してみると短い文章が書いてあった。
呆然とした表情で香奈子は呟いた。
取り返しのつかない事実に愕然としている。
同時に怒りが込上げてきた。
(こ、こんな・・ひどい・・・)
レイプされたのだ。
しかも夫の友人である竹内に。
『いやー、やっぱり手料理はいいなぁ・・・』
家庭の味に飢えているフリをして2度も訪れたのには訳があったのだ。
香奈子は後悔をした。
夫が居ない時に家に入れるべきではなかった。
『奥さんは何時見ても美しい・・・』
見え透いたお世辞だとは思いながらも、その舐めるような視線におぞましさを感じていたのに。
「うっ・・・うううっ・・・」
悔しさに涙が溢れてくる。
(あんな・・あんな男に・・・)
分厚い唇が脳裏に浮かぶ。
ヤニ臭い息に、しつこく舌を絡め取られてしまった。
「あうっー・・うううぅっー・・・」
香奈子は両手で顔を覆い、激しく声を出した。
泣き続ける事で忌まわしい事実を消してしまいたい。
認めたくない。
夫以外の男に身体を許すなど有り得ない事だった。
たとえレイプされたとはいえ、愛を裏切る行為である。
香奈子はひたすら自分を責め続けていた。
媚薬を飲まされたとは思いもしなかった。
また、強烈な官能を味わった故に記憶を失っている事にも、今は気付いてはいない。
「うっ・・・うっ・・ひっく・・・」
嗚咽が途切れ途切れに漏れる頃、涙で滲む瞳を開けた。
散らばった衣服はそのままで、テーブルにある灰皿にはタバコの吸殻が残っている。
残酷な事実は決して消える事無く、香奈子は胸を締め付けながら見つめていた。
だからチャイムが鳴り、現実に引き戻された時も暫くは立つ事も出来ずに呆然としていたのだった。
一旦、やんだチャイムの音が再び聞こえるとハッと立ち上がった。
その顔は恐怖に引きつっていた。
もしかすると竹内が来たのかもしれない。
壁に掛かっているインターフォンのスイッチを押した。
インターフォンのTVカメラを覗くと宅配業者が立っていた。
ホッと息をついた香奈子は受話器を取った。
「はい・・・」
「宅配便でーすっ・・・」
若い男は元気な声を出した。
「今、門を開けますから・・・」
正門のセキュリティーを解除して慌しく玄関に走る。
まだ新しい家政婦がいないので、直接母屋に連絡がつながっている。
上気した頬を気にしながら、荷物を受け取った。
自分宛のものだった。
送り主も同じになっている。
だが送った記憶は無い。
「まさか・・・?」
リビングに戻り、恐る恐る開けて見るとひと回り小さい段ボール箱と手紙が入っていた。
「あぁ・・・」
予感が的中した香奈子は切ない声を漏らした。
短い手紙の下段に竹内の名前を見つけたからだった。
『愛する香奈子様へ
昨日は有難うございました。
長年の夢がかない、最高に幸せな一日でした。
記念に、プレゼントを同封します。
これからも宜しくお付き合い願います。
竹内 』
レイプした残忍な気配が、微塵も感じられない。
まるで友人にあてるような明るい文章は、返って不気味さを演出していた。
「何を・・企んでいるの・・・?」
段ボール箱を開ける事も出来ず不安な表情で見つめていたが、とにかく中を見る事にした。
封筒と一緒に携帯電話が入っていた。
手紙を取り出してみると短い文章が書いてあった。
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