エリート妻色情飼育―性奴隷は人妻にかぎる―

山田さとし

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第二部 企み

第七章 親子の野望

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「女房は、もうコリゴリや・・・」

父の言葉が心にしみた。
そして悟の脳裏に妖しい女の表情と、切なく細い声が蘇るのだった。

※※※※※※※※※※※※※※※

『ダ、ダメよ・・悟がいるもの・・・』

五才になる悟の目が障子の隙間から覗いている。
男は女の言葉に、かえって火がついたように荒々しく絡んでいった。

『ああっ・・い、いやっ・・・』

女は言葉とは裏腹に男の背中に手を廻していく。
男の唇がうなじを辿る動きに切ない吐息を出している。

『フフフ・・そんな事言うて・・・。
好きなくせに・・・
子供はさっき寝かしつけたばっかやろ?』

『ああぁ・・うふぅ・・・』

白い手がさ迷っていた。
母の手であった。

浅黒い男の背中を、まるで別の生き物の如く這廻っていく。
悟にとって全てであった美しい母の顔が、違う女に変わっていった。

(お母・・ちゃん・・・)

あどけない顔が、次第に何か汚らしい物でも見るように歪むのだった。

※※※※※※※※※※※※※※※

(母さん・・・)

父にわからぬよう何度この名を呟いた事であろう。

悟の母は翌年、事故で死んだ。
幼い悟と幸造を残して。

遊び人の小金持ちのボンボンが運転する車でドライブ中、海岸線でトラックと正面衝突したのだ。
周囲の車を巻き込んだ大事故は新聞でも大きく報じられた。

格好の不倫ネタが平凡な地方都市である幸造の周辺に、センセーショナルな話題を提供したのだった。

遺品を整理しながら信じていた妻への男の手紙や写真を発見すると、幼い悟のあどけない寝顔に気付かれぬように幸造は号泣するしかなかった。

妻を寝取られた男。
そんなレッテルを常に背負いながら、幸造は狂ったように仕事に没頭した。

それまでもそうだったが。

それこそ寝る間も惜しんで働いたのだ。
親から受継いだ小さな薬局を何とか大きくしようと、懸命だったのに。

バブル崩壊のせいで世の中は不況のまっただ中であった。
小さな店は時代の流れに押しつぶされそうに喘いでいたのだ。

一応、裕福な暮しが出来ると期待していた母にとって、そんな窮屈な生活は我慢出来なかったらしい。
日々、金作と夜中まで働く幸造に、女盛りの身体を持て余す母は男に走った。

そして。
男と共にこの世から姿を消した。

幸造はその日から違う男になった。

薄々は母の浮気に気付いていたのかもしれないが、やはりショックだったのだろう。

小金を持つ優男に妻を寝取られた幸造は、かえって吹っ切れたのか幼い悟を抱え、それこそ死ぬ気になって働くのだった。

「ビンボーはアカン・・・」
幸造の口癖である。

幼い悟が興味深く眺める中、店の商品を何度も並び替え日々工夫を重ねていった。
そんな父を見て育った悟にとって、店が一種の遊び場であった。

幸造には悟だけが人生の、心のより所であり経営パートナーである。
息子との素朴な言葉のやり取りが随分、売上にも貢献したのは事実であった。

悟がいなかったら現在の繁栄は無かったと言っても過言ではないかもしれない。

二人は傷ついた心を労わり合うかの如く生きていった。

成長してアメリカに留学するまでの間、悟は受験勉強で忙しくても日に一度は店に出ていた。

そんな二人は一件、二件と支店を増やしていっても未だ満足しなかった。
やがて東京に進出して、雑貨から食料品までも扱う大チェーン店としてのしあがっていった。

相次ぎ仕掛ける価格破壊に、伝統ある大手の卸問屋から度々のいやがらせを受けながらも現在の隆盛を築いたのだ。

留学を終えて逞しく成長した悟を迎えると、加速度を増してグループは大きくなっていった。
今では卸問屋自体もその機能を失い、幸造の前にひれ伏している。

この写真の女性も昔、幸造を鼻であしらっていた大手問屋社長の一人娘だ。
幸造から多額の借金があった。

立場の逆転した男は娘を差出して秋元薬局と親戚関係を結ぼうとした。
そんな企みを一目で見抜いた悟は直ぐに断ったのである。

悟は結婚に対して、女に対して何の関心も持っていなかった。

いや、むしろ憎んでいると言っていい。

大人になった悟は今でこそ母の気持ちがわからないでもなかったが、世の中に復讐するかの如く仕事を広げ、女を漁る父の方にこそ愛情を感じるのである。

幸造も悟に対しては無償の愛を捧げ、他に子供が出来ないようにパイプカット手術をして自分の種を無くしたのであった。

妻について父は何も語らなかった。
悟も母の思い出さえも何も言わない。

だが二人の眼差しは互いの気持ちを汲み取り、理解しているのであった。
悟の瞳に残忍な炎が宿る。

「オヤジ・・それよりも・・・」

自分のアイディアを話しながら醜く歪む息子の表情に、幸造は思わず惹き込まれた。

「そ、それは・・成る程ぉ・・・」

二人のおぞましい企みは時間の経つのも忘れ、社長室の中で密かに練られていくのであった。
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