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第四部 犠牲
第二十五章 犠牲
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「ゆ、裕子さん・・・」
春香の口から愛おしい名が零れる。
同時に言いようの無い怒りが込上げてくる。
愛する人が犯されようとしている。
社長である幸造に。
春香の頭は怒りで爆発しそうであった。
自分の普段の淫行を棚に上げて行おうとしている幸造の残虐な仕打ちに、信じられない思いを抱いていた。
やはり、下司な男だった。
最初から裕子の事を狙っていたのだ。
気品があって優秀な秘書を、自分の物にしようと考えていたのだろう。
でもなければ二人の事を泳がせ、ビデオに撮る等という卑劣な行為が出来る筈もない。
優しいおじ様と信頼していたのに、その正体は残忍なケダモノだったのだ。
春香のために自分の身体を楯にしてくれた裕子を、蹂躙しようとしている。
※※※※※※※※※※※※※※※
「おネェさま・・・」
そっと呟いてみた。
禁断の営みの中で何度もそう呼んだ。
二度と口に出さないつもりだったのに。
すると春香の心の中に、新たな想いが芽生え出していくのを感じた。
そう、今ハッキリとわかったのだ。
裕子を愛していると。
無理に倒錯の世界に引き込まれた春香であったが、ビデオで観た自分は幸せそうだった。
裕子の愛撫に感じていたのだ。
『春香・・可愛い子・・・大好きよ』
裕子の囁きが、熱い吐息が、耳元に残っている。
『んふふふ・・あなたは私の奴隷・・・。
ペットになるのよ・・春香・・・』
執拗に調教された。
繊細で強烈な愛撫の嵐の中で、春香は身も心も裕子に絡めとられていたのだ。
しかし婚約者の井上の事を考えると、悩み苦しむ春香だった。
変態のレズ。
幸造が言った通りである。
不条理な関係を終わらせる事ばかり考えていたが、自分の身体を犠牲にしてまで救おうとする裕子を目の当たりにして、急速に気持ちが変わっていくのを感じていた。
「おネェさま・・・」
切ない声を絞り出している。
裕子を守りたい。
(愛して・・います・・・)
想いが充満する。
裕子のためならどうなっても良いとさえ、思える春香であった。
しかし皮肉にも、その愛する人を生贄にした地獄の饗宴が今まさに始まろうとしていた。
「そんなにゆうんなら、しゃあないな・・・」
上着に手をかけ、幸造も自分の衣服を脱ぎ始めていく。
裕子の甘い香りをかき消すかのような、ムッとした匂いが漂ってくる。
均整の取れた美しい裕子とは対象的な醜く、太った老人の裸体が現れる。
(い・・やぁ・・・)
浅黒い弛んだ腹から下着が下ろされた時、思わず春香は顔をそむけた。
そこに赤黒く反り返ったペニスが見えたからだ。
胸の鼓動を感じる。
明らかに動揺していた。
本気で裕子を犯そうとしている。
これから起こる事を想像するのさえ恐ろしく思えた。
閉じた目蓋の裏には残像が鮮烈に焼きついている。
なんという、おぞましさだろう。
(いやっ・・・)
振り払おうと首を振った。
「くっ、うぅっ・・・」
しかし裕子の押し殺した声が聞こえると、春香は顔を向けざるを得なかった。
そして、どうしても視界に入ってしまう。
「あぁ・・・」
かすれた声が口から漏れる。
いつの間に二人のそばまで近づいていたのか、まさに目の前にそれがそそり立っていた。
(す、すご・・い・・・)
小さく喉が動いた。
座り込んでいる春香の目線が釘付けになってしまう。
初めてだった。
婚約者である井上のでさえ、はっきりと見た事は無い。
老人とは思えない程の逞しいそれは、深い彫りを作ったカリ首を光らせ太く反りかえっていた。
カーッと熱いものが込上げてくる。
(い、い・・や・・・)
見てはいけない。
だが、想いに反して得体の知れない感情が春香を誘導する。視線を上に辿っていくと、老人は邪悪な笑みを浮かべながら裕子の身体をまさぐっていた。
春香の口から愛おしい名が零れる。
同時に言いようの無い怒りが込上げてくる。
愛する人が犯されようとしている。
社長である幸造に。
春香の頭は怒りで爆発しそうであった。
自分の普段の淫行を棚に上げて行おうとしている幸造の残虐な仕打ちに、信じられない思いを抱いていた。
やはり、下司な男だった。
最初から裕子の事を狙っていたのだ。
気品があって優秀な秘書を、自分の物にしようと考えていたのだろう。
でもなければ二人の事を泳がせ、ビデオに撮る等という卑劣な行為が出来る筈もない。
優しいおじ様と信頼していたのに、その正体は残忍なケダモノだったのだ。
春香のために自分の身体を楯にしてくれた裕子を、蹂躙しようとしている。
※※※※※※※※※※※※※※※
「おネェさま・・・」
そっと呟いてみた。
禁断の営みの中で何度もそう呼んだ。
二度と口に出さないつもりだったのに。
すると春香の心の中に、新たな想いが芽生え出していくのを感じた。
そう、今ハッキリとわかったのだ。
裕子を愛していると。
無理に倒錯の世界に引き込まれた春香であったが、ビデオで観た自分は幸せそうだった。
裕子の愛撫に感じていたのだ。
『春香・・可愛い子・・・大好きよ』
裕子の囁きが、熱い吐息が、耳元に残っている。
『んふふふ・・あなたは私の奴隷・・・。
ペットになるのよ・・春香・・・』
執拗に調教された。
繊細で強烈な愛撫の嵐の中で、春香は身も心も裕子に絡めとられていたのだ。
しかし婚約者の井上の事を考えると、悩み苦しむ春香だった。
変態のレズ。
幸造が言った通りである。
不条理な関係を終わらせる事ばかり考えていたが、自分の身体を犠牲にしてまで救おうとする裕子を目の当たりにして、急速に気持ちが変わっていくのを感じていた。
「おネェさま・・・」
切ない声を絞り出している。
裕子を守りたい。
(愛して・・います・・・)
想いが充満する。
裕子のためならどうなっても良いとさえ、思える春香であった。
しかし皮肉にも、その愛する人を生贄にした地獄の饗宴が今まさに始まろうとしていた。
「そんなにゆうんなら、しゃあないな・・・」
上着に手をかけ、幸造も自分の衣服を脱ぎ始めていく。
裕子の甘い香りをかき消すかのような、ムッとした匂いが漂ってくる。
均整の取れた美しい裕子とは対象的な醜く、太った老人の裸体が現れる。
(い・・やぁ・・・)
浅黒い弛んだ腹から下着が下ろされた時、思わず春香は顔をそむけた。
そこに赤黒く反り返ったペニスが見えたからだ。
胸の鼓動を感じる。
明らかに動揺していた。
本気で裕子を犯そうとしている。
これから起こる事を想像するのさえ恐ろしく思えた。
閉じた目蓋の裏には残像が鮮烈に焼きついている。
なんという、おぞましさだろう。
(いやっ・・・)
振り払おうと首を振った。
「くっ、うぅっ・・・」
しかし裕子の押し殺した声が聞こえると、春香は顔を向けざるを得なかった。
そして、どうしても視界に入ってしまう。
「あぁ・・・」
かすれた声が口から漏れる。
いつの間に二人のそばまで近づいていたのか、まさに目の前にそれがそそり立っていた。
(す、すご・・い・・・)
小さく喉が動いた。
座り込んでいる春香の目線が釘付けになってしまう。
初めてだった。
婚約者である井上のでさえ、はっきりと見た事は無い。
老人とは思えない程の逞しいそれは、深い彫りを作ったカリ首を光らせ太く反りかえっていた。
カーッと熱いものが込上げてくる。
(い、い・・や・・・)
見てはいけない。
だが、想いに反して得体の知れない感情が春香を誘導する。視線を上に辿っていくと、老人は邪悪な笑みを浮かべながら裕子の身体をまさぐっていた。
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