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第三部 守(まもる)と正(ただし)
第九章 衝撃
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「あああぁっ・・・」
思わず叫んでしまった。
曇りガラスに白い影が飛び散っていく。
お互い知らぬふりをすることが暗黙の了解であったはずなのに。
息子は、正さんは裏切るような行動に出た。
気づいていないふりをしていた。
だけど彼には見え透いたことなのかもしれない。
実際、私も大胆になっていた。
息子が隣で自慰行為をしているというのに咎めもせずに一緒になって興奮に浸っていたのだ。
毎晩のように繰り返す背徳な痴態。
そう、私は期待し、楽しんでいた。
最初は押し殺していた声も次第に聞いて欲しいとさえ思うようになっていた。
正さんもワザと私に聞かせるように息を荒くする。
興奮が増すうちに欲情が膨らんでいった。
いつしか私は息子と共に不条理な快感を貪るようになっていたのだ。
だからだろうか。
正さんは私のふしだらな欲情を読み取ってしまった。
盗み見していた私をあざ笑うかのように扉の前に仁王立ちしたのだ。
曇りガラス越しに反り返るコックが見えた。
私は驚愕のあまり声を漏らした。
それは私が全てに気づいていることを知らせた証だ。
「はぁっ・・はぁっ・・はぁっ・・・」
正さんは当然とばかりに更に息を荒くしていく。
「ああぁ・・はあぁ・・・」
私は抵抗する気力も無く、ため息を漏らすだけだ。
ある意味、支配されていた。
息子である正さんに。
※※※※※※※※※※※※
初めて出会った時から好きだった。
幼さが残る少年に恋をしてしまったのだ。
今も変わらず愛している。
かけがえのない人だ。
夫に離婚を持ち掛けられて。
正さんと別れる辛さを思った。
だけど彼は私を選んでくれた。
「本当に・・いいの・・・?」
震える声で尋ねた。
夫には何の未練も無かった。
だけど、正さんとは一緒に暮らしたかった。
夫の浮気に悩んでいた日々は辛かったけれど。
慰めてくれる息子が心のよりどころだった。
好き。
愛している。
何度、思ったことだろう。
正さんが夫より私と暮らすことを望んでくれて本当に嬉しかった。
離婚手続きも済ませて二人で電車に揺られて引っ越した時、寄り添ってくれる温もりに涙がこぼれた。
私の手をギュッと握ってくれる正さんは息子というよりも恋人に思えた。
私は彼の肩に頭をあずけて幸せな笑みを浮かべていたのでした。
※※※※※※※※※※※※
「ああぁ・・で、出るぅ・・・」
激しく指を動かしながら切ない声を漏らしている。
「あぁっ・・ああぁ・・・」
私も声を漏らすことしかできなかった。
反り返るシルエットがビクンビクンと脈打つ。
瞬間、放たれた液状の影が曇りガラスに飛び散る。
「おおぉ・・おおっ・・・」
快感を噛み締める声がドア越しに聞こえた。
「あああぁ・・・」
私は食い入るように見つめながら息を漏らしている。
「か、母さん・・・」
「ただしさん・・・」
呼ぶ声に無意識に返した。
扉を開けて抱きしめたい衝動を必死に堪えている。
わずかに残った理性が私を抑制したのだ。
その代わりに曇りガラスに顔を押し付けて飛び散って模様をつける白い影を指でなぞっていた。
淫靡な情景に心を震わせている。
まだ熱い粘ついたものを舐めたいと思ったのだ。
「はぁっ・・はぁっ・・・」
少しずつ息が静かになっていくと模様の影が拭き取られていった。
多分、私の下着を使っているのだろう。
こびりついた汚れを残こし人影が動き出した時。
優しい声が聞こえた。
「ごめんね、母さん・・・」
この心地良い響きを私は生涯、忘れないだろう。
そして。
今の瞬間を。
私の心が。
全てが。
息子。
正さんのものに。
なった瞬間だったのだから。
第三部 守(まもる)と正(ただし)-完-
思わず叫んでしまった。
曇りガラスに白い影が飛び散っていく。
お互い知らぬふりをすることが暗黙の了解であったはずなのに。
息子は、正さんは裏切るような行動に出た。
気づいていないふりをしていた。
だけど彼には見え透いたことなのかもしれない。
実際、私も大胆になっていた。
息子が隣で自慰行為をしているというのに咎めもせずに一緒になって興奮に浸っていたのだ。
毎晩のように繰り返す背徳な痴態。
そう、私は期待し、楽しんでいた。
最初は押し殺していた声も次第に聞いて欲しいとさえ思うようになっていた。
正さんもワザと私に聞かせるように息を荒くする。
興奮が増すうちに欲情が膨らんでいった。
いつしか私は息子と共に不条理な快感を貪るようになっていたのだ。
だからだろうか。
正さんは私のふしだらな欲情を読み取ってしまった。
盗み見していた私をあざ笑うかのように扉の前に仁王立ちしたのだ。
曇りガラス越しに反り返るコックが見えた。
私は驚愕のあまり声を漏らした。
それは私が全てに気づいていることを知らせた証だ。
「はぁっ・・はぁっ・・はぁっ・・・」
正さんは当然とばかりに更に息を荒くしていく。
「ああぁ・・はあぁ・・・」
私は抵抗する気力も無く、ため息を漏らすだけだ。
ある意味、支配されていた。
息子である正さんに。
※※※※※※※※※※※※
初めて出会った時から好きだった。
幼さが残る少年に恋をしてしまったのだ。
今も変わらず愛している。
かけがえのない人だ。
夫に離婚を持ち掛けられて。
正さんと別れる辛さを思った。
だけど彼は私を選んでくれた。
「本当に・・いいの・・・?」
震える声で尋ねた。
夫には何の未練も無かった。
だけど、正さんとは一緒に暮らしたかった。
夫の浮気に悩んでいた日々は辛かったけれど。
慰めてくれる息子が心のよりどころだった。
好き。
愛している。
何度、思ったことだろう。
正さんが夫より私と暮らすことを望んでくれて本当に嬉しかった。
離婚手続きも済ませて二人で電車に揺られて引っ越した時、寄り添ってくれる温もりに涙がこぼれた。
私の手をギュッと握ってくれる正さんは息子というよりも恋人に思えた。
私は彼の肩に頭をあずけて幸せな笑みを浮かべていたのでした。
※※※※※※※※※※※※
「ああぁ・・で、出るぅ・・・」
激しく指を動かしながら切ない声を漏らしている。
「あぁっ・・ああぁ・・・」
私も声を漏らすことしかできなかった。
反り返るシルエットがビクンビクンと脈打つ。
瞬間、放たれた液状の影が曇りガラスに飛び散る。
「おおぉ・・おおっ・・・」
快感を噛み締める声がドア越しに聞こえた。
「あああぁ・・・」
私は食い入るように見つめながら息を漏らしている。
「か、母さん・・・」
「ただしさん・・・」
呼ぶ声に無意識に返した。
扉を開けて抱きしめたい衝動を必死に堪えている。
わずかに残った理性が私を抑制したのだ。
その代わりに曇りガラスに顔を押し付けて飛び散って模様をつける白い影を指でなぞっていた。
淫靡な情景に心を震わせている。
まだ熱い粘ついたものを舐めたいと思ったのだ。
「はぁっ・・はぁっ・・・」
少しずつ息が静かになっていくと模様の影が拭き取られていった。
多分、私の下着を使っているのだろう。
こびりついた汚れを残こし人影が動き出した時。
優しい声が聞こえた。
「ごめんね、母さん・・・」
この心地良い響きを私は生涯、忘れないだろう。
そして。
今の瞬間を。
私の心が。
全てが。
息子。
正さんのものに。
なった瞬間だったのだから。
第三部 守(まもる)と正(ただし)-完-
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