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第九部 余韻
第五章 温もり
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【守と正16歳】
【2016年 10月13日】
初めてのセックスから翌々日。
小宮家のリビングで。
※※※※※※※※※※※※
「はぁ・・・」
カップを持ったまま礼子がため息を漏らした。
秋穂も切ない眼差しを紅茶から立ち上る湯気越しに覗かせている。
「報告」を終えた興奮に身体が熱く火照っていた。
互いの「秘密」を聞けば聞くほど記憶がリアルに蘇り、「初めて結ばれた」瞬間に胸がざわめいてしまう。
愛する人と結ばれた。
息子とセックスをしたのだ。
背徳感と共に味わった快感を忘れることは一生、無いだろう。
特に礼子は正真正銘の「処女」だからなおさらだ。
シーツについた赤い染みを見て、守は泣きそうな顔で抱きついたらしい。
秋穂は羨ましく思った。
自分も息子の正に「初めて」をあげられたらと。
だが、すぐに否定する。
結ばれた歓びの大きさは変わらないのだから。
挿入された瞬間の感動は記憶に深く刻まれたのだ。
荒い息を吐く息子の背中をギュッとして、貫く快感を味わっていた。
「息子の所有物」になれた感動に、心を震わせていたのだ。
もう、何もいらない。
正さえいてくれたら、いや、捨てられてもいい。
一つになれた歓びを分かち合えたのだから。
想いは礼子も同じだった。
守のためなら命さえ惜しくない。
全てを捧げたい。
「結婚しよう」と言われて涙が出たのだ。
でも、それは出来ないことである。
血は繋がっていないとはいえ、自分たちは親子だから。
あの時は嬉しくて頷いたけど、冷静になってみると無理なことは明白だ。
自分は何と非難されてもかまわないが息子が、守が世間から指さされるのは耐えられなかった。
「そぅ・・あなたもなのね・・・」
秋穂が切ない眼差しで呟いた。
「私も言われたの、正さんに・・・」
「秋穂さん・・・」
礼子は驚きと共に同じ悩みを聞いて嬉しくなった。
「義理の息子」と関係を結んだ罪悪感を一人で背負うには重すぎる。
息子の将来を摘み取ってしまうことに怯えていた。
礼子は伸ばした両手で秋穂の手を握りしめると、声を震わせた。
「秋穂さん・・・」
ギュッと握る手が汗ばんでいる。
「一緒に・・一緒に考えましょう・・・」
「礼子さん・・・」
真剣な表情に秋穂も嬉しさが込み上げてきた。
この人と共になら乗り越えられる気がしたからだ。
互いの指の温もりを感じながら、二人はいつまでも見つめ合うのだった。
風が吹いたのだろうか、庭の芝生に落ちていた影がユラユラと揺れている。
窓を閉め切って「秘密」を打ち明け合う二人には風の音は届かない。
たとえ聞こえたとしても礼子と秋穂は互いを見つめ合うことはやめなかっただろう。
それだけ息子への想いが強いからだ。
守と正。
二人にとってかけがえのない存在だ。
もはや戻ることはできない。
不条理な想いは「罪」と「歓び」を何度も往復する。
だからこそ分かち合える相手と巡り会えた幸せを噛み締めてしまう。
これからも揺れ続ける気持ちを互いに励まし合いながら息子への愛を貫いていこうと思う。
「息子の所有物」として。
二人は結ばれた翌朝の「報告」を始めるのだった。
【2016年 10月13日】
初めてのセックスから翌々日。
小宮家のリビングで。
※※※※※※※※※※※※
「はぁ・・・」
カップを持ったまま礼子がため息を漏らした。
秋穂も切ない眼差しを紅茶から立ち上る湯気越しに覗かせている。
「報告」を終えた興奮に身体が熱く火照っていた。
互いの「秘密」を聞けば聞くほど記憶がリアルに蘇り、「初めて結ばれた」瞬間に胸がざわめいてしまう。
愛する人と結ばれた。
息子とセックスをしたのだ。
背徳感と共に味わった快感を忘れることは一生、無いだろう。
特に礼子は正真正銘の「処女」だからなおさらだ。
シーツについた赤い染みを見て、守は泣きそうな顔で抱きついたらしい。
秋穂は羨ましく思った。
自分も息子の正に「初めて」をあげられたらと。
だが、すぐに否定する。
結ばれた歓びの大きさは変わらないのだから。
挿入された瞬間の感動は記憶に深く刻まれたのだ。
荒い息を吐く息子の背中をギュッとして、貫く快感を味わっていた。
「息子の所有物」になれた感動に、心を震わせていたのだ。
もう、何もいらない。
正さえいてくれたら、いや、捨てられてもいい。
一つになれた歓びを分かち合えたのだから。
想いは礼子も同じだった。
守のためなら命さえ惜しくない。
全てを捧げたい。
「結婚しよう」と言われて涙が出たのだ。
でも、それは出来ないことである。
血は繋がっていないとはいえ、自分たちは親子だから。
あの時は嬉しくて頷いたけど、冷静になってみると無理なことは明白だ。
自分は何と非難されてもかまわないが息子が、守が世間から指さされるのは耐えられなかった。
「そぅ・・あなたもなのね・・・」
秋穂が切ない眼差しで呟いた。
「私も言われたの、正さんに・・・」
「秋穂さん・・・」
礼子は驚きと共に同じ悩みを聞いて嬉しくなった。
「義理の息子」と関係を結んだ罪悪感を一人で背負うには重すぎる。
息子の将来を摘み取ってしまうことに怯えていた。
礼子は伸ばした両手で秋穂の手を握りしめると、声を震わせた。
「秋穂さん・・・」
ギュッと握る手が汗ばんでいる。
「一緒に・・一緒に考えましょう・・・」
「礼子さん・・・」
真剣な表情に秋穂も嬉しさが込み上げてきた。
この人と共になら乗り越えられる気がしたからだ。
互いの指の温もりを感じながら、二人はいつまでも見つめ合うのだった。
風が吹いたのだろうか、庭の芝生に落ちていた影がユラユラと揺れている。
窓を閉め切って「秘密」を打ち明け合う二人には風の音は届かない。
たとえ聞こえたとしても礼子と秋穂は互いを見つめ合うことはやめなかっただろう。
それだけ息子への想いが強いからだ。
守と正。
二人にとってかけがえのない存在だ。
もはや戻ることはできない。
不条理な想いは「罪」と「歓び」を何度も往復する。
だからこそ分かち合える相手と巡り会えた幸せを噛み締めてしまう。
これからも揺れ続ける気持ちを互いに励まし合いながら息子への愛を貫いていこうと思う。
「息子の所有物」として。
二人は結ばれた翌朝の「報告」を始めるのだった。
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