【完結】クズ夫を嫉妬させる役のモブ王子が激甘でした ※ただし彼には本命の愛人がいます

星森 永羽(ほしもりとわ)

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ベーコンは私の手作りではありません

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 収穫祭から1週間。  
 あの日の騒動も今は笑い話となり、広場には再び人々の笑顔があふれていた。

 炭火の上で、猪のベーコンがじゅうじゅうと音を立てている。  
 厚切りのブロックを串に刺し、香ばしい脂が火に滴るたび、煙が立ちのぼり食欲をくすぐった。

「ほら、焼けたぞー!」

 バズが串を掲げると、子どもたちが歓声を上げる。  
 パンも用意され、子どもたちはそれにベーコンを挟んで頬張っていた。  
 エールの樽も並び、大人たちは陽気に杯を傾けている。

 ──その時だった。

 ざわ……と空気が変わった。  
 遠くから、王家の紋章を掲げた馬車がゆっくりと近づいてくる。

 馬車が止まり、扉が開く。  
 群青の髪を風になびかせ、ラッシュが降り立った。

「こんなことして、領民の点数稼ぎか?」
 彼の声が広場に響く。
「喜べ。兄上が今からでも、お前を側室にしてくれるそうだ。  
 もし回避したいなら──俺様に跪いて『結婚してください』と懇願しろ」

 空気が凍りついた。  
 私は息を呑み、言葉を発しようとした──その瞬間。

「丁度いい。イベントがなくて困ってたっす」

 トーレンが前に出た。  
 その顔には、いつもの軽さはなかった。

「俺と、真剣で一騎打ちするっす」

「……!」

 私は思わず声を上げかけたが、すぐにフォレスの手が私の口を塞いだ。  

 ラッシュはにやりと笑った。

「いいだろう。お前が負けたら一生、俺様のサンドバッグだ」

 私は暴れた。けれど、フォレスの腕は緩まなかった。

「望むところっす。殿下が負けたら今後フローディア王家は、お嬢様に関わらないと約束するっす」

「約束しよう」

 ラッシュが外套を脱ぎ捨て、剣を抜いた。  
 陽光を受けて、刃がぎらりと光る。

「子どもがいる場所で抜くなんて、正気じゃないっすね」

 トーレンが冷たく言い放つ。

「急いで、こっちへ避難しろ!」

 バズが叫び、ディノが子どもたちを誘導する。  
 人々がざわめきながら、広場の端へと退いていく。

 トーレンが静かに抜刀した。  
 その刃は、まるで空気を裂くように鋭く光っていた。

 祝祭の熱が、戦の火に変わる。  
 その中心に立つのは、誰よりも軽やかで、誰よりも真っ直ぐな男だった。

 ──決着は、あっという間だった。

 トーレンの剣が、ラッシュの刃を弾き飛ばし、地面に突き立てた。  
 その動きは速すぎて、誰も反応できなかった。

「俺が若いから、侮ったっすね」

 トーレンが肩を回しながら、涼しい顔で言った。

「俺は、入団して3年で5番隊隊長になった実力者っすよ」

 広場は静まり返っていた。  
 騎士団員たちだけが、誇らしげに頷いている。  
 他の者たちは、呆気に取られて動けなかった。

「トーレン、剣をしまえ。勝負はついた」

 フォレスの声に、トーレンが頷き、剣を鞘に収めて背を向ける。

 だが──

「まだだ、待て!」

 ラッシュが叫んだ。

「何回やっても同じっすよ」

 トーレンは振り返らずに言う。

「……お前を、俺様の指南役に任命する。王子命令だ」

 その場にいた全員が、言葉を失った。

 
 ラッシュが去り、ベーコンの配布が終わった。人々は、ざわめきながらも解散していった。  
 私は頭を抱え、ため息をついた。

「……これから、どうするつもり?」

 第3王子が勝手に王命を覆したとなれば、どんな咎があるかわからない。

「とりあえず、馬車に」

 フォレスが短く答えた。




 馬車の中。  
 私は揺れに身を任せながら、ふと違和感を覚えた。  
 カーテンをめくり、外を覗く。

「……どこなの、ここ?」

 見慣れた道ではなかった。  
 森が深く、空気が冷たい。

「もう、あの家には帰りません」

「何を言って……」

「お嬢様の大事なデッサンと契約書は、フェルガード卿に預けました。  
 預金も、国外に移しました」

「今は、そんなことどうでもいい! トーレンは、どうなるの?!」

「元より、覚悟の上です」

「だ、だめ……そんなの……戻って!」

 フォレスは、視線を前に向けたまま答えた。

「戻れば、お嬢様に解決できるのですか?  
 フローディア王家の誰に嫁いでも、最悪な未来しか見えませんが──それでいいのですか?」

 私は言葉を失い、顔を覆った。  

「……失礼します」

 フォレスが馬車の隅に置かれた小箱を開け、化粧道具を取り出した。

「なに……?」

「そのままでは、国境を越えられるかわかりませんので」

 彼は手際よく、私の頬に薄く紅を差し、瞼に影を落とす。

 トレーナーの輸出が止められたのだから、私自身が止められる可能性もある。

 馬車は、夜の森を抜けて進んでいく。  
 その先にあるのが自由か、破滅か──わからない。



 

 国境の検問所に到着した。  
 兵士たちは、眠たげな目をこすりながら馬車を止める。

「通行手形を」

 フォレスが差し出した偽造書類に、兵士が目を通す。  
 数秒の沈黙の後、あっさりと通行を許可された。

「通って、よし」

 馬車が再び動き出す。  
 私は思わず振り返った。  
 母国の空が、もう遠ざかっていく。

「アルセインに入りました」

 フォレスが静かに告げた。
 この国には、ティエルがいる。

「どこに行くの?」

「堂々とした方が、怪しまれないはずです。ホテルに泊まりましょう」

「……それからは?」

「海へ出て、ヒーイズル国を目指します」

 私は目を見開いた。

「ヒーイズル……遠いと聞いたわ」

 船で半年~1年。  
 もしトーレンたちが追ってきたら、合流できるのだろうか。

「遠い方がいいでしょう」

 フォレスの声は、どこまでも静かだった。  

 

 ホテルの窓辺に立ち、異国の街並みを見下ろした。  

「皆には感謝してるけど……きっと私、まだ戦えたはずだわ。  
 こんなふうに逃げるべきじゃなかった」

 フォレスは椅子に腰かけたまま、私を見上げた。

「なら、この国で成功なさっては?」

「え……?」

「どういう理由でティエル殿下がいなくなったのか、私は知りませんが、亡命は受け入れてくれるはずです」

「……でも」

「むしろ、相手に罪悪感がある方が、亡命は成功するでしょう」

 私は胸元に手を当てた。  
 服の下に隠した、ティエルからもらったエメラルドの指輪をそっとなぞる。

「亡命に成功したら、トーレンたちと合流できる?」

「ええ。予め、身内は逃がしました。  
 彼らも、こちらに来るしかありません」

 私は深く息を吸い、ゆっくりと頷いた。

「わかった。
 ごめんなさい、私のせいで」  

「私が勝手にしたことです」

 窓の外、夕陽が街を照らしていた。  
 新しい国で、私の物語がまた始まろうとしていた。




 

 アルセイン王宮の正門は、朝の光を受けて白く輝いていた。  
 高くそびえる門扉の前に立つと、まるで自分がとても小さな存在に思えてくる。

 私は、灰色のドレスの裾を整えながら、深呼吸をひとつ。  
 隣に立つフォレスは、黒の礼装に身を包み、騎士団長としての威厳を纏っていた。

「こちらはフローディア国、フリージア・ノルディエ辺境伯令嬢。私は護衛、ノルディエ辺境騎士団長フォレス・ローデン子爵。亡命の許可をいただきに来ました」

 門番の男が眉をひそめ、あからさまに不快そうな顔をした。

「亡命だと? それも辺境伯? ダメダメ、火種にしかならん。帰った帰った」

 私は前に出て、彼をまっすぐに見据えた。

「門番なのに、私を知らないの? 3ヶ月ほど前、フローディアの建国祭でティエル殿下が私を『側室にする』と公言して、新聞にも載ったわ」

 門番の顔が引きつった。  
 けれど、すぐに言い返してくる。

「しかし、あなたが本物だと言う証拠は? 辺境伯令嬢が来ると連絡はなかった。それに、殿下の婚約者なら、なぜ我が国の護衛がついてない」

「あ……ホテルに置いて来てしまったわ。護衛は辺境伯のホテル。私が実物かどうかは、貴族名鑑で確認すればいい」

 門番はしばらく黙り込み、やがて小さく頭を下げた。

「……しばし、お待ちを」




「お入りください」

 戻ってきた門番の声に、私は思わず息をついた。  
 肩の力が抜けて、膝が少し笑いそうになる。  
 よかった──これで、ようやく前に進める。

 けれど、案内されたのは、王宮の正門ではなかった。  
 私たちは、城の裏手へと回され、石造りの階段を下りていく。  
 空気が冷たく、湿っていて、足音がやけに響いた。

「これは……」

 思わず声が漏れる。  
 目の前に広がっていたのは、鉄格子の並ぶ地下牢だった。

「上の判断で、投獄することになった」

 門番が無表情で言い放つ。

「貴族名鑑に貴様の絵姿はなかった。入国に不備がある」

「それはっ!」

 言いかけた私の声を遮るように、兵士たちが私とフォレスを押し込んだ。  
 重い鉄の扉が閉まり、鍵が回る音が響く。

 冷たい石の床に腰を下ろし、私は膝を抱えた。  
 何がどうして、こんなことに。  
 亡命のはずが、牢獄だなんて。

 フォレスが隣に腰を下ろし、そっと私の肩を抱いた。  
 その腕のぬくもりが、かろうじて私を現実につなぎとめてくれる。

「……どうなるのかしら」

「さっさとヒーイズル国を目指すべきでした」

 彼の声は悔しさに滲んでいた。  
 私は首を振る。

「そうやって、何でも自分のせいにしないで」

 顔を上げると深緑の瞳が、まっすぐに私を見ていた。  
 その視線に、胸が締めつけられる。

 ──そのとき。

「婚約者の前で浮気とは、感心しないな」

 聞き覚えのある声が、向かいの牢から響いた。

「っ……! もしかして、ラマルク侯爵? その臭さは……」

 湊鼠色の髪はボサボサ。シャツはヨレヨレ。  
 顔は整っているけれど、髭で半分わからない。
 ──グレゴール・ド・ラマルク侯爵。  
 私の元夫。いや、婚姻無効だから元婚約者。

「うるさい。看守が風呂に入れてくれないのだ」

「自分で入れ」

 看守の声が冷たく響く。  
 しばしの沈黙が、牢の中に落ちた。

 私は、ため息をついた。  
 ──まさか、こんな場所で再会するなんて。  
 皮肉にもほどがある。

「ここで……何してるの?」

「何してるも何も、突然拉致されたんだ。なぜ俺が、ここにいる?」

 私は隣に座るフォレスに視線を向けた。  
 彼も私を見返してくる。  
 その一瞬の沈黙に、グレゴールが苛立ったように声を上げた。

「見つめ合うな!」

 ……うるさい。

「どういうことかな?」

 私はフォレスに問いかける。  
 彼は少し考えるように深緑の目を伏せてから、静かに答えた。

「ラマルクを拉致したのがティエル殿下の差し金なら理解できますが、それなら何故、お嬢様を助けに来ないのか……」

「うーん?」

 確かに。あのチャラ王子、姿を見せない。  
 あれだけ「君を離さない」とか言ってたのに。

「何とかしろ」

 グレゴールが不機嫌そうに言ってくる。  
 ……何様のつもり?
 とりあえず、こちらの言いたい話をしよう。

「あの……私は王命でフローディア王家と結婚するよう言われたんだけど、それを辺境伯騎士の1人が王子に決闘を申し込んで、覆させてしまって」

「……王家? 具体的に誰との結婚だ?」

「最初は、国王の後宮って言われた。
 で、あなたがいなくなった後、カイエン殿下の側室って言われたから、ラッシュ殿下を婿にくれって返したの。  
 そしたら、ラッシュ殿下が来て……騎士が……」

「ラッシュ殿下は、陛下の勅使状を持ってたか?」

「いえ、見てないけど」

「……ラッシュ殿下の単独行動かもしれないな」

 グレゴールが顎に手を当てて、何かを考え込むように呟いた。

「えっ」

「ラッシュ殿下は、王妃の子が1人しか生まれなかったために取られた側室の子だ。  
 カイエン殿下が近く即位するのに邪魔になったから、消したい勢力が多い。  
 ラッシュ殿下は辺境に逃れることで、命を繋ごうとしたのでは?」

 そんな事情があったなんて……。  
 あの乱暴な王子にも、背景が。

「ラッシュ殿下とうちの騎士は、どうなるの?」

「さあな。お前がさっさとラッシュ殿下と結婚してしまえば生き延びただろうが、ここにいるのだから──最悪、処刑だろうな」

 処刑。  
 その言葉が、冷たい刃のように胸を刺した。

「……形だけでもラッシュ殿下と結婚して辺境伯を継げば、丸くおさまったのかな」

 私の問いに、フォレスが静かに答える。

「王家は体面のために結婚を認めたでしょうが……あの王子が領主になって、民は幸せでしょうか」

 その言葉に、私は何も言えなくなった。  
 正論すぎて、反論の余地がなかった。  

 カツン、カツン──。

 硬質な足音が、石の階段を下りてくる。  
 その音だけで、空気が変わった。  
 誰かが来る。しかも、ただ者じゃない。

 現れたのは、背の高い女性だった。  
 青碧色の長い髪を高く結い上げ、銀のドレスが地下の闇に映える。  
 その姿はまるで、氷でできた女王のようだった。

「ふうん。そちが新しい鼠か。殿下も呆れたものだ」

 冷たい声が、牢の中に響く。  
 私は思わず立ち上がった。

「っ、どなた?」

「わらわはヴァネッサ・アルセイン。王太子妃じゃ」

 ──えっ。

 思わず息を呑んだ。  
 この人が、ティエルの正妻……?

「正……妃殿下……におかれましては、ご機嫌麗しゅう。お初にお目にかかります。ノルディエ辺境伯が娘、フリージアです」

 慌てて礼を取ると、ヴァネッサは鼻で笑った。

「ふん。あっちの鼠と違って、挨拶はできるのだな」

「あっちの鼠とは……?」

「じきにわかる。まあいい。そちを、わらわのメイドにする」

「……え?」

 思わず聞き返した。  
 牢の中がざわつく。フォレスも、グレゴールも、言葉を失っていた。

「お嬢様は商人として、この国の役に立ちたく──」

 フォレスが口を開いたが、ヴァネッサは一蹴した。

「亡命を許可する条件はそれじゃ。拒否するなら斬る」

 その言葉に、私は背筋が凍るのを感じた。  
 選択肢なんて、最初からなかった。

「……拝命を、承りました」

 私が頭を下げると、ヴァネッサは満足げに笑った。

「衛兵、牢から出して使用人部屋に連れて行け」

 兵士が鍵を開け、私の腕を取る。  
 扉の向こうに引き出されながら、私は振り返った。

「あ、あの……フォレス──護衛は?」

 彼女は、にやりと笑う。

「人質じゃ。そちが従順でいるように」

 その言葉に、私は何も言えなかった。  
 ただ、フォレスの姿が遠ざかっていくのを、必死に目で追った。


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