当て馬系ヤンデレキャラから脱却を図ろうとしたら、スピンオフに突入していた件。

マツヲ。

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*49.容赦のない責め苦がはじまった件*

 脳天からつま先まで、一気にビリィッと激しいなにかが駆け抜けた。
 なんだ、今のは……??
 むずがゆいのとはちがうけれど、でもガマンのできない刺激という意味では、まちがいない。
 そして少し遅れて、腰から背中にかけてキュンキュンとせりあがるように、甘い疼きが広がっていく。

「……うふ、見ぃつけた。兄さま、が気持ちいいんでしょう?」
「ヤっ、やめろっ!ばっかり弄んなぁ……っ!」
 コリコリと指先で引っかかれるたびに、つま先まで余計な力が入り、からだは勝手にビクビクとハネてしまう。

「ンっく、ふあぁっ……っ!!」
 なんだ、これ?!
 あまりにもすぎる快楽に、じわりと視界はにじんでいく。

「えへへ、兄さまってばそんなに気持ちいいの?ふるえちゃって、もうかわいいんだから♪大丈夫、時間はたっぷりあるんだから、これからいっぱい気持ちよくなろうね?」
 夏希なつきの細い指が、容赦なくばかりをこすっていくたび、さっきから腰の奥にかけて、しびれるほどの甘い疼きが何度も走っていた。

「やめろ、やめてくれ……っ!」
 こんな屈辱、耐えられるものか!
 さっきからこらえきれずにもれ出る声に羞恥心が増す一方だというのに、口をふさぎたくとも手首にはめられた枷からのびる鎖が邪魔をして、金属のこすれる硬質な音を立てるばかりで、どうしようもない。

「ダーメ、やめてあげない。こんなものじゃ、まだ兄さまはでしょ?」
「なにを反省しろというんだ!?」
 もちろん自分が完ぺきな人間でないことなんて、百も承知しているけれど、それでもこの場で夏希が言わんとしていることは、まちがいなくこちらの想定するものとは異なっているであろうことは、十分に想像ができた。

「なにって……兄さまの危機感のなさです!だって外の世界は兄さまを狙う狼だらけで危ないって言ってるのに、アレクさんを丸め込んで、安全なここから逃げ出そうとしたじゃない!だからこうして僕が代わりにどんな目に遭うのか、教えてあげようとしているんだからね!?」
 不満げにくちびるをとがらせる夏希は、おかしなことを言う。

 なんなんだ、その理屈は……!?
 結局夏希がおなじことをするというのなら、もはやここですら安全とは言えないと思うのだが、言っている本人は、そうは思わないのだろうか?
 あまりにも突飛すぎる相手の発想に、どうにも理解が及ばない。

「もうっ!その顔はわかってなさそうだね?それならいいもん、これから先はやさしくしてあげないから!」
「ンッ!」
 いきおいをつけてローションまみれな指を引き抜くと、夏希はていねいにそれをハンカチでぬぐい、さりげなくベッドのうえに置いてあった紙袋へと手をのばす。

「おい夏希!?ちょっと待て、なんだそれは……」
「なにって、これから兄さまにいっぱい気持ちよくなってもらうために使う道具だよ?」
 小首をかしげる夏希の顔はあまりにもふしぎそうで、むしろこちらのほうがおかしなことを言っているかと勘ちがいしてしまいそうだった。

「これが追加分のローターでしょ、それからこっちは、徐々に慣れてもらおうと思っていたから用意した、いろんなサイズのヤツと、いろんな動きができるバイブね。あとは、こっちがコックリングで、それと尿道プジーは痛そうだからやめたんだけど、興味があるなら延々とイキつづけるっていうエネマグラとかもあるからね!」
「馬鹿だろ、おまえは!だいたいどうしてこんなものを持っているんだ!?」
 嬉々として説明をはじめる夏希に、思わず声を荒らげる。

 だって仕方ないだろう、いきなりアダルトグッズの紹介なんてされたところで、どうしろと言うのだろうか!?
 なにより、こんないかがわしいものを大量に入手する夏希とか、考えたくないんだが。

「あぁこれね、昔の職場から押しつけられたものなんだ。兄さまに助けてもらう前、僕が働いていたお店がね、こういうものを売るお店だったんだ───実演しながら、ね……」
「え……?」
 ちょっと待て……それはまちがいなくゲーム本編でも出てくるエピソードだ!

 たしかそれは、深夜までやっている喫茶店で働いていた夏希がオーナーに気に入られ、さらに時給単価の高い会員制サロンで働かないかと誘われるところからはじまる。
 生活に困窮していた夏希は一も二もなく応じ、すぐにそのセレブ向けのティーサロンでのバイトをはじめることになったわけだ。

 しかしそこで、うっかりして夏希が何百万円もするようなアンティークのティーカップを割ってしまい、弁償を求められたところで、当然のように払えるはずもなく。
 ならばと、代わりに連れていかれたのが『店員でお試しができる』ことを売りにするような、アダルトグッズの実演販売なども行う秘密のサロンだったという感じの話だ。

「あ、でも安心してね兄さま、さすがにからだを売るようなことはしていないから!僕の月兎つきとさんだし!」
 ほんのりと頬を赤く染めながら弟に言われたからといって、俺はどんな顔でそれを聞けと言うのだろうか。

「説明にもどると、これがお店のいちばんおすすめのバイブでね。このシリコンのイボがまた、あたまのなかが真っ白になっちゃうくらい、クるんだよね」
 笑顔のままに取り出したのは、血管を模したようなスジだのイボだのがびっしりとつけられたグロテスクな見た目のバイブで、その太さや長さといい、とても初心者向けのものには見えなかった。

「ま、待て、夏希!」
 まさかを使おうとしているのか?!
 そんなの、冗談じゃない!!
 自分でもわかるくらい、サァッと血の気が引いていく。

「大丈夫、最初はゆっくりなじませてあげますからね~」
 そんなやさしげな笑みを浮かべられたところで、なんのなぐさめにもなりはしない。
 そうして、先ほどまで指でしっかりとほぐされていたそこに、ゆっくりと押し当てられた。

「ぅあ、あ……あぁっ!!」
 何度もノックをするようにつつかれ、そして拒否する気持ちを無視して、ローションのぬめりを借りてカリ首に相当する部分が押し込まれた。

「ほら、ちゃんと息をしないと。苦しくなっちゃうよ、兄さま」
「や、やめ……っ」
 苦しい、助けて……!!
 先ほどまでの指とはあまりにもちがう質量でもって、無理やりに広げられる感覚に、太ももはガクガクとふるえる。

「大丈夫だから、ゆっくりと息を吸って、吐いて……」
「アッ、あ……ヤダ……ぁっ!」
 そんな俺をなだめるように夏希は腰のあたりをさすり、しかしもう片方の手はバイブを巧みにあやつり、入り口の浅いところをゆっくりと広げるようにかきまぜてくる。

 なんだこれ、なかが……なかが熱い!
 嫌なはずなのに、そんな気持ちを無視して勝手にヒクヒクとわななきはじめる括約筋は、とうの昔に受け入れる準備が万端のようだった。

「んっ、く……」
 バイブの表面を覆うシリコンにある無数のスジとイボとを無意識に締めつけてしまうせいで、ゆるゆると動かされれば、やわらかな内側を無遠慮にこすりあげられ、そのたびに甘くしびれが広がっていく。
 せいぜいできることといったら、無様なあえぎ声を出さないために、必死に歯をくいしばるだけだ。

「ヤダな、そんなに緊張しないでも、兄さまに痛い思いなんてさせないよ?ただ……気持ちよすぎて苦しくなることはあっても、ね?」
 手を止めた夏希が、かすかに笑う。
 そのせいで、先ほどまでその指でさんざんに責め立てられていた場所には、微妙に届きそうで届いていない。

 クソ、そのせいで、かえってそこが疼きはじめているなんて。
 それどころか、まるで鷲見わしみ社長に襲われたときに使われたローションを思い起こさせるように、からだが熱い。
 嫌だ、これ以上はやめてほしい……!!

「ふふ、そんなもの欲しそうな顔をしないでも、ちゃんとあげますから」
「ち、ちがっ」
 懇願する気持ちで見あげれば、真逆の意味ととらえられた。

「ヒッ、やめ、もうっ!!」
「うんうん、が気持ちいいんですよね?」
 一瞬の力のゆるみを逃さずに、ずぶずぶと奥に向かって押し込まれるバイブが先ほどの箇所をかすめた瞬間、思わず息が詰まる。

「じゃあここで、あらためてスイッチを入れて、ついでに上もさみしくならないように強くしてあげるからね?」
「ぅあぁっ!!」
 ブブブブ……と音を立てたそれが、なかでふるえ出す。
 間を置かずして、胸を責め立てていたローターの振動もはげしくなった。

「あのね、これすごいんだよ。速さや強さが変えられるのはもちろん、動きのパターンだって変えられるんだから!」
「ぅあ、あぁっ、あっ!」
 カチカチとスイッチを入れ替えるたびに、なかの振動は強くなっていき、そしてまた弱くなったと思った矢先に、今度はなかでぐるぐるとまわりはじめる。

「ほら、気持ちいいでしょ?だってこっちも反応してるもんねぇ?」
 回転するたびに内壁をこすりあげるのは、シリコンのイボとスジとで、それが人の指ではとうてい再現できないような、おかしな快楽を引き寄せてくる。
 情けないことに相手の指摘するとおり、その刺激に負けた前は、ゆるやかに勃ちあがりはじめていた。
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