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16.タイミングとしては、神がかり的にヤバいヤツ
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この部屋の外にはオレの生徒がいて、そしてオレはバカ姉貴のせいで絶賛裸に剥かれ中だ。
いや、断じてやましいことをしているわけではないけれど、見る人が見たら誤解するのはまちがいない。
「あ、姉貴!来客、人が来たからそこまでにしとけってば!」
あわてて、暴走気味な姉貴に声をかける。
残念ながら物理的に止めたくても、今のオレは『絶対服従の呪い』の効果で姉貴には逆らえないから、軽く肩をつかむくらいしかできなかった。
「えぇい、うるさい!こういうのは早めに確認しとかなきゃでしょうが!あんまり抵抗すると縛るわよ?!」
「って、もうやってるし!?」
なのに横暴なる姉上様は、オレの話なんて聞く耳を持っていないどころか、さらに事態を悪化させてくる。
気がつけば魔力を込めてあやつったのか、姉貴が髪を結ぶのに使っていたリボンで、まとめて手首を縛られていた。
おぉう、まちがいなく人に見られたら誤解まっしぐらなヤツだ、これ……。
「……あのー、シェイラ・リリウム様?」
「いらっしゃいますよね……?」
ドアの外からは、返事がないことをいぶかしむような声がふたたびかけられる。
室内のやりとりは、詳細には聞こえていないまでも、だれかがいることだけはわかるのだろう。
立ち去るでもなく、しかし入ってよいのかもわからず、困惑している様子がうかがえた。
「だから、人が来てるから……やめろってば!」
「もう、おとなしくしてなさい!!」
「あ、あの、失礼します!」
そしてしびれを切らしたらしいガウディオとナタリアがドアを開けるのと、おなじくしびれを切らした姉貴がオレを来客用ソファーの上に押し倒すのは、同時だった。
「あ………………」
「え…っと……………て、ぼっちセンセ!??」
「ちょっと、ガウディオなにして……えぇぇっ!!??」
オレの上にかぶさる姉貴の肩越しに、思いっきりガウディオと目が合う。
どうしてくれんだよ、この状況。
まるで凍結の魔法をかけられたみたいに、ガウディオとナタリアのふたりが、目を見開いたまま固まる。
もちろん、オレもだ。
つーか、さっきも思ったことだけど、こんな姿してたら『誤解してくれ』と言わんばかりじゃねぇか。
それも姉貴によって脱がされたシャツはひじのところでとどまり、余計に身動きがとれない原因になっているし、下のパンツはベルトとホックまでもがはずされている。
当然のようにオレの肌の上には、さっきシエルによってつけられた紅い痕がいくつも散らされていて、まぁひとことで言うならば『情事真っ最中』にしか見えなかっただろう。
固まったままの状態から、先に脱却したのはガウディオたちのほうだった。
「「お取り込み中、大変失礼しましたーーっ!!!」」
直角にからだを折り曲げてあやまったふたりは、そのまま脱兎のごとく部屋を飛び出していく。
「あら?だれかしら?」
「待て、ガウディオ、ナタリア、もどってきてオレを助けろーっ!!」
のんきにふりかえって首をかしげる姉貴はさておき、オレにとってはガチで死活問題だ。
特にあいつらがクラスメートにこの話をしてみろ、明日からオレはただの変態あつかいされる未来しか見えないだろ!
───と思ったけれど、あれだ、ひょっとしなくてもオレがこのまま講師をつづけるわけにいかなくないか?
だって、オレはシエルにとって───魔王の執着の対象になってしまったわけで、きっとこれから先もオレのもとに、アイツはあらわれるにちがいない。
そうなったとき、オレの生徒たちを次も必ず守れるとはかぎらないんだよな……。
もし生徒のためを本当に思うなら、オレがここを辞めるしかないと思う。
ズキン……!
辞めるしかない、そう思った瞬間、ふいに心臓が痛みを訴えてきた。
「あれ……?」
おかしいな、オレは子どもが嫌いだし、ここの臨時講師を受けたのだって、姉貴のせいで無理やり引き受けさせられたようなものだったのに……。
なのに、なんだろう、この喪失感のようなものは。
ズキズキと胸のあたりが痛みを訴えてくるのに、オレはただ、とまどうしかなかった。
いや、断じてやましいことをしているわけではないけれど、見る人が見たら誤解するのはまちがいない。
「あ、姉貴!来客、人が来たからそこまでにしとけってば!」
あわてて、暴走気味な姉貴に声をかける。
残念ながら物理的に止めたくても、今のオレは『絶対服従の呪い』の効果で姉貴には逆らえないから、軽く肩をつかむくらいしかできなかった。
「えぇい、うるさい!こういうのは早めに確認しとかなきゃでしょうが!あんまり抵抗すると縛るわよ?!」
「って、もうやってるし!?」
なのに横暴なる姉上様は、オレの話なんて聞く耳を持っていないどころか、さらに事態を悪化させてくる。
気がつけば魔力を込めてあやつったのか、姉貴が髪を結ぶのに使っていたリボンで、まとめて手首を縛られていた。
おぉう、まちがいなく人に見られたら誤解まっしぐらなヤツだ、これ……。
「……あのー、シェイラ・リリウム様?」
「いらっしゃいますよね……?」
ドアの外からは、返事がないことをいぶかしむような声がふたたびかけられる。
室内のやりとりは、詳細には聞こえていないまでも、だれかがいることだけはわかるのだろう。
立ち去るでもなく、しかし入ってよいのかもわからず、困惑している様子がうかがえた。
「だから、人が来てるから……やめろってば!」
「もう、おとなしくしてなさい!!」
「あ、あの、失礼します!」
そしてしびれを切らしたらしいガウディオとナタリアがドアを開けるのと、おなじくしびれを切らした姉貴がオレを来客用ソファーの上に押し倒すのは、同時だった。
「あ………………」
「え…っと……………て、ぼっちセンセ!??」
「ちょっと、ガウディオなにして……えぇぇっ!!??」
オレの上にかぶさる姉貴の肩越しに、思いっきりガウディオと目が合う。
どうしてくれんだよ、この状況。
まるで凍結の魔法をかけられたみたいに、ガウディオとナタリアのふたりが、目を見開いたまま固まる。
もちろん、オレもだ。
つーか、さっきも思ったことだけど、こんな姿してたら『誤解してくれ』と言わんばかりじゃねぇか。
それも姉貴によって脱がされたシャツはひじのところでとどまり、余計に身動きがとれない原因になっているし、下のパンツはベルトとホックまでもがはずされている。
当然のようにオレの肌の上には、さっきシエルによってつけられた紅い痕がいくつも散らされていて、まぁひとことで言うならば『情事真っ最中』にしか見えなかっただろう。
固まったままの状態から、先に脱却したのはガウディオたちのほうだった。
「「お取り込み中、大変失礼しましたーーっ!!!」」
直角にからだを折り曲げてあやまったふたりは、そのまま脱兎のごとく部屋を飛び出していく。
「あら?だれかしら?」
「待て、ガウディオ、ナタリア、もどってきてオレを助けろーっ!!」
のんきにふりかえって首をかしげる姉貴はさておき、オレにとってはガチで死活問題だ。
特にあいつらがクラスメートにこの話をしてみろ、明日からオレはただの変態あつかいされる未来しか見えないだろ!
───と思ったけれど、あれだ、ひょっとしなくてもオレがこのまま講師をつづけるわけにいかなくないか?
だって、オレはシエルにとって───魔王の執着の対象になってしまったわけで、きっとこれから先もオレのもとに、アイツはあらわれるにちがいない。
そうなったとき、オレの生徒たちを次も必ず守れるとはかぎらないんだよな……。
もし生徒のためを本当に思うなら、オレがここを辞めるしかないと思う。
ズキン……!
辞めるしかない、そう思った瞬間、ふいに心臓が痛みを訴えてきた。
「あれ……?」
おかしいな、オレは子どもが嫌いだし、ここの臨時講師を受けたのだって、姉貴のせいで無理やり引き受けさせられたようなものだったのに……。
なのに、なんだろう、この喪失感のようなものは。
ズキズキと胸のあたりが痛みを訴えてくるのに、オレはただ、とまどうしかなかった。
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