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教会と天使
悪い天使
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「……生徒会に入らなかったら?」
「その場合は……残念ですがその悪魔を滅しさせていただきます」
「そんなに悪魔が憎いんですか?」
「いいえ。実際のところそうではありません。他の方であれば特に問題ないのですが、問題はその悪魔がついているのが貴女だと言うことです」
……私?
「貴女は特別なのです。私達天使にとっても、その悪魔にとっても、ね」
「はぁ」
「実感はないでしょうけど、ね」
特別と言われても、自分が特殊だと思うのは徹底的な放任主義で育ったことくらい。他に特別な事なんて感じたことはない。……まぁ、最近は多いけど。
「それで良いのです。貴女はそのまま素直に育ってくれればそれで良い。もしも、それをその悪魔が邪魔するというのなら、私が滅しなければならない。そう思っていたのです。ですが、その悪魔はそう言う悪魔ではなさそうです。因みに名前は分かりますか?」
「え、とら君の?」
「それは人間としてのお名前でしょう? そうではなく、悪魔としての名前です」
そんなこと言われても分かるわけがない。とらという名前もとら君がお名前を聞いても答えてくれないというか知らなかったそうだ。だから、ねこの弟、と言うことで、男の子らしくとら君。それだけ……。
「ア、ス?」
「アス……なんですか?」
その言葉にピクリと三神先輩が反応し、にこやかだった顔が引き締まる。
「いえ、それも何となくというだけで」
正直、アスと頭に浮かんできたものの、それ以上は分からない。そもそも、どうしてそんな名前(?)が浮かんできたのかも分からない。
「そうですか……」
「でも! とら君は良い子です!」
とら君を見つめる先輩から隠すようにとら君を抱きしめる。
「……それを見極めるためにも貴女を継続的に観察させていただきたいのです。生徒会入り、お願いできますね?」
「で、でも、生徒会には――
「今年は既に1年生から二人、2年生から三人の立候補者が出ているようです。例年、生徒会の役員枠は6人。今年は2年生からの立候補者が少なく、1年生からも多く役員を選ぶしかない状況です。ですから、秋津さんと争うことにはなりませんよ?」
まるで見透かしたかのようにそう言われてしまう。でも、生徒会に入れば帰りが遅くなりとら君を迎えに行くのが遅くなる。少しくらいなら美晴さんもOKしてくれるだろうけど、人の行為にばかり甘えていてはいけない。
「大丈夫です。事情を鑑みて仕事の配分は考えますし、私も全力でサポートさせていただきます。それに、我が校では部活なり委員会に必ず所属する必要があります。このままでは下手をすればより時間のとられる委員会に所属することになりかねませんよ?」
「……え?」
「もう6月ですからね。何かに入らなければ強制的に先生方に決められますよ?」
ニッコリと天使様は笑顔で脅してきた。……どうやら本当に良い悪魔も悪い天使も実在するらしい。
翌日、私は先生に生徒会選挙への立候補を届け出た。
「その場合は……残念ですがその悪魔を滅しさせていただきます」
「そんなに悪魔が憎いんですか?」
「いいえ。実際のところそうではありません。他の方であれば特に問題ないのですが、問題はその悪魔がついているのが貴女だと言うことです」
……私?
「貴女は特別なのです。私達天使にとっても、その悪魔にとっても、ね」
「はぁ」
「実感はないでしょうけど、ね」
特別と言われても、自分が特殊だと思うのは徹底的な放任主義で育ったことくらい。他に特別な事なんて感じたことはない。……まぁ、最近は多いけど。
「それで良いのです。貴女はそのまま素直に育ってくれればそれで良い。もしも、それをその悪魔が邪魔するというのなら、私が滅しなければならない。そう思っていたのです。ですが、その悪魔はそう言う悪魔ではなさそうです。因みに名前は分かりますか?」
「え、とら君の?」
「それは人間としてのお名前でしょう? そうではなく、悪魔としての名前です」
そんなこと言われても分かるわけがない。とらという名前もとら君がお名前を聞いても答えてくれないというか知らなかったそうだ。だから、ねこの弟、と言うことで、男の子らしくとら君。それだけ……。
「ア、ス?」
「アス……なんですか?」
その言葉にピクリと三神先輩が反応し、にこやかだった顔が引き締まる。
「いえ、それも何となくというだけで」
正直、アスと頭に浮かんできたものの、それ以上は分からない。そもそも、どうしてそんな名前(?)が浮かんできたのかも分からない。
「そうですか……」
「でも! とら君は良い子です!」
とら君を見つめる先輩から隠すようにとら君を抱きしめる。
「……それを見極めるためにも貴女を継続的に観察させていただきたいのです。生徒会入り、お願いできますね?」
「で、でも、生徒会には――
「今年は既に1年生から二人、2年生から三人の立候補者が出ているようです。例年、生徒会の役員枠は6人。今年は2年生からの立候補者が少なく、1年生からも多く役員を選ぶしかない状況です。ですから、秋津さんと争うことにはなりませんよ?」
まるで見透かしたかのようにそう言われてしまう。でも、生徒会に入れば帰りが遅くなりとら君を迎えに行くのが遅くなる。少しくらいなら美晴さんもOKしてくれるだろうけど、人の行為にばかり甘えていてはいけない。
「大丈夫です。事情を鑑みて仕事の配分は考えますし、私も全力でサポートさせていただきます。それに、我が校では部活なり委員会に必ず所属する必要があります。このままでは下手をすればより時間のとられる委員会に所属することになりかねませんよ?」
「……え?」
「もう6月ですからね。何かに入らなければ強制的に先生方に決められますよ?」
ニッコリと天使様は笑顔で脅してきた。……どうやら本当に良い悪魔も悪い天使も実在するらしい。
翌日、私は先生に生徒会選挙への立候補を届け出た。
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