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ホテル「サラ」
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lineで連絡のあったホテル「サラ」は幡ヶ谷駅から徒歩1分だった。
ロビーですでに吉良と蔵良が待っていた。
合流してエレベーターに乗る。
「部屋はすでに取ってある。最上階のツインルームだ。」
「はい、お嬢ちゃん、鍵。」
蔵良が黒江にカギを渡してきた。
「1015室ですね。」
「坊やと一緒だよ。朝までごゆっくりどうぞ♪」
「えっ!ヤダ!男の子と一緒って。」
「蔵良さん、冗談でしょ。」
「あたしは先生と一緒にゆっくりさせてもらうから。お互いお邪魔しないようにしよ。」
「蔵良君、その辺にしておきたまえ。部屋は私と白野君が1016、蔵良君と黒江ちゃんが1015だ。」
「ですよね。」
「つまんない組み合わせだね。坊や、今からでも変わらない?」
「止めておきます。録音機とか仕掛けられてそうで。」
「おや、お嬢ちゃんを襲う気はあるんだ。」
「ヤダ!サイテー!!」
黒江はそっぽを向いてしまった。
「いや、そういうわけでは。黒江さん、ちょっと誤解しないで。」
「誤解も何も無いと思う、おバカ。」
「あの、その、襲うとかそういうことしないって。っていうか。」
「っていうか?」
「……えっと。」
白野は蔵良の方をちらっと見て言い淀んだ。
「何よ、はっきりしないさいよ、おバカ。」
そう言ってるうちにエレベーターは最上階に着いた。
「蔵良さん、さっさと部屋に入りましょう。襲われでもしたら大変ですから、鍵はかけて立て籠りましょ。」
「しょーがないねえ。」
黒江が蔵良を押し込むように1015室に入った。
1015室のドアは閉められ、中からガチャガチャがする。おそらくドアガードがかけられたのだろう。
「もう、おバカなんだから。」
ドアガードがかかったことを確認し、黒江は荷物を置いてベッドに飛び込む。
蔵良も荷物を置いてベッドに座った。
「まぁまぁ、お嬢ちゃん。坊やも襲う気は無いと思うよ。」
「どうして言えるんです。あの人巨乳の先輩にふらふらついて行っちゃう人なんですよ。」
「ドーテイだからね。襲い方がわからない。多分坊やはそれを言いたいんだけど。」
「言いたいんだけど?」
「言ったら、あたしにイジられる。それが嫌で言わないだけだと思うよ。」
「……蔵良さん、そうやって人をイジるのやめません?」
「あんたらがまだるっこしくてね。あの坊やも一度説教したんだけど、まだあんたに手を出そうとしない。」
「…そうですけど。」
「お嬢ちゃん、あんたも積極的にいったらどうだい?」
黒江は、歓迎会で先輩が言っていたことを思い出した。
「バイト先の人に告ったらうまくいってさぁ」
「いいかもしれないですけど、それでもやっぱり、男の人から来て欲しいというか。」
「気持ちはわかるよ。あたしだって、前に結婚した時は、そりゃぐいぐい来られたからね。」
「だから、やっぱりあの人おバカなんですよ!女の子の気持ち全くわかってない!」
「そうだね。」
蔵良は立ち上がった。
「まぁ、長話してもなんだし、シャワー先に使わせてもらうよ。」
「どうぞ。」
白野と吉良も部屋に入った。
「蔵良君のお遊びにも困ったものだ。」
「もう、慣れました。」
白野は荷物を下ろすとジャージを取り出し着替え始めた。
「ほう、すぐに動けるようにかね。」
「はい、先生もですね。」
「こんな恰好は久しぶりだよ。タンスの奥から引っ張り出してきたが。」
吉良もジャージに着替えていた。
「ところで、お話があります。突拍子もないことかもしれませんが。」
「言ってみたまえ。」
「甲斐は何故潜伏したのでしょう。」
「それは、一つには新星会を破門されたことで、今まで敵対を控えていた連中がここぞとばかりに襲ってくるのをかわすためだろう。実際、破門されるということはヤクザ社会からの追放に等しいからね。下手をすると昨日までの兄弟分までが手のひらを返すこともある。」
「他には?」
「無論、新星会へ事を起こすためだ。むしろこちらの方が大きいだろう。」
「そうでしょうか?」
「何が言いたいのかね。それが最大の目的だろう。甲斐は発砲した。敵対を宣言しているようなものだ。」
「死者は出てないですよね。」
「……そうだが。君は何を考えている。」
「先生の言う新星会へ事を起こすって、普通、幹部クラスの暗殺じゃないですか。」
「まぁ、そうだね。」
「今回、甲斐は会議に出席してます。居並ぶ幹部クラスをことごとく殺すこともできたんじゃないですか。」
「言われてみればそうだが、破門される前にそれはさすがにできんだろう。」
「破門された後ならできるでしょう。今回、甲斐はかなり手際よく逃げて潜伏してます。破門の可能性も考慮していたのは間違いないですよね。」
「それは疑う余地はない。現金化できるものは全て現金化したというからな。」
「なら、破門宣告の直後に銃を乱射して新星会にダメージを与えることもできたはずです。覚悟してないならともかく、覚悟していればその後の行動もできるでしょう。だけど、甲斐は逃げて潜伏しただけだった。」
「新星会とやる気は無い。しかし、ならば甲斐は何を考えている?破門されたことによる襲撃の回避だけなのか?」
「それなら江戸川さんに『覚悟』なんて言わないでしょう。」
「ちょっと待ちたまえ、江戸川さんに今回の甲斐の発言を確認してみる。」
吉良はメモを準備し、携帯を取り出し会話を始めた。
メモを取りながら話し込む。しばらく手が止まるのは江戸川が思い出すのに時間がかかっているのか。
「ありがとうございました。お休みなさい。」
吉良を電話を切った。
「ざっとこんな感じだったそうだ。細かい言葉の違いはあるだろうが、意味は間違っていないと思うと言っている。」
白野は、メモを食い入るように見つめた。
ロビーですでに吉良と蔵良が待っていた。
合流してエレベーターに乗る。
「部屋はすでに取ってある。最上階のツインルームだ。」
「はい、お嬢ちゃん、鍵。」
蔵良が黒江にカギを渡してきた。
「1015室ですね。」
「坊やと一緒だよ。朝までごゆっくりどうぞ♪」
「えっ!ヤダ!男の子と一緒って。」
「蔵良さん、冗談でしょ。」
「あたしは先生と一緒にゆっくりさせてもらうから。お互いお邪魔しないようにしよ。」
「蔵良君、その辺にしておきたまえ。部屋は私と白野君が1016、蔵良君と黒江ちゃんが1015だ。」
「ですよね。」
「つまんない組み合わせだね。坊や、今からでも変わらない?」
「止めておきます。録音機とか仕掛けられてそうで。」
「おや、お嬢ちゃんを襲う気はあるんだ。」
「ヤダ!サイテー!!」
黒江はそっぽを向いてしまった。
「いや、そういうわけでは。黒江さん、ちょっと誤解しないで。」
「誤解も何も無いと思う、おバカ。」
「あの、その、襲うとかそういうことしないって。っていうか。」
「っていうか?」
「……えっと。」
白野は蔵良の方をちらっと見て言い淀んだ。
「何よ、はっきりしないさいよ、おバカ。」
そう言ってるうちにエレベーターは最上階に着いた。
「蔵良さん、さっさと部屋に入りましょう。襲われでもしたら大変ですから、鍵はかけて立て籠りましょ。」
「しょーがないねえ。」
黒江が蔵良を押し込むように1015室に入った。
1015室のドアは閉められ、中からガチャガチャがする。おそらくドアガードがかけられたのだろう。
「もう、おバカなんだから。」
ドアガードがかかったことを確認し、黒江は荷物を置いてベッドに飛び込む。
蔵良も荷物を置いてベッドに座った。
「まぁまぁ、お嬢ちゃん。坊やも襲う気は無いと思うよ。」
「どうして言えるんです。あの人巨乳の先輩にふらふらついて行っちゃう人なんですよ。」
「ドーテイだからね。襲い方がわからない。多分坊やはそれを言いたいんだけど。」
「言いたいんだけど?」
「言ったら、あたしにイジられる。それが嫌で言わないだけだと思うよ。」
「……蔵良さん、そうやって人をイジるのやめません?」
「あんたらがまだるっこしくてね。あの坊やも一度説教したんだけど、まだあんたに手を出そうとしない。」
「…そうですけど。」
「お嬢ちゃん、あんたも積極的にいったらどうだい?」
黒江は、歓迎会で先輩が言っていたことを思い出した。
「バイト先の人に告ったらうまくいってさぁ」
「いいかもしれないですけど、それでもやっぱり、男の人から来て欲しいというか。」
「気持ちはわかるよ。あたしだって、前に結婚した時は、そりゃぐいぐい来られたからね。」
「だから、やっぱりあの人おバカなんですよ!女の子の気持ち全くわかってない!」
「そうだね。」
蔵良は立ち上がった。
「まぁ、長話してもなんだし、シャワー先に使わせてもらうよ。」
「どうぞ。」
白野と吉良も部屋に入った。
「蔵良君のお遊びにも困ったものだ。」
「もう、慣れました。」
白野は荷物を下ろすとジャージを取り出し着替え始めた。
「ほう、すぐに動けるようにかね。」
「はい、先生もですね。」
「こんな恰好は久しぶりだよ。タンスの奥から引っ張り出してきたが。」
吉良もジャージに着替えていた。
「ところで、お話があります。突拍子もないことかもしれませんが。」
「言ってみたまえ。」
「甲斐は何故潜伏したのでしょう。」
「それは、一つには新星会を破門されたことで、今まで敵対を控えていた連中がここぞとばかりに襲ってくるのをかわすためだろう。実際、破門されるということはヤクザ社会からの追放に等しいからね。下手をすると昨日までの兄弟分までが手のひらを返すこともある。」
「他には?」
「無論、新星会へ事を起こすためだ。むしろこちらの方が大きいだろう。」
「そうでしょうか?」
「何が言いたいのかね。それが最大の目的だろう。甲斐は発砲した。敵対を宣言しているようなものだ。」
「死者は出てないですよね。」
「……そうだが。君は何を考えている。」
「先生の言う新星会へ事を起こすって、普通、幹部クラスの暗殺じゃないですか。」
「まぁ、そうだね。」
「今回、甲斐は会議に出席してます。居並ぶ幹部クラスをことごとく殺すこともできたんじゃないですか。」
「言われてみればそうだが、破門される前にそれはさすがにできんだろう。」
「破門された後ならできるでしょう。今回、甲斐はかなり手際よく逃げて潜伏してます。破門の可能性も考慮していたのは間違いないですよね。」
「それは疑う余地はない。現金化できるものは全て現金化したというからな。」
「なら、破門宣告の直後に銃を乱射して新星会にダメージを与えることもできたはずです。覚悟してないならともかく、覚悟していればその後の行動もできるでしょう。だけど、甲斐は逃げて潜伏しただけだった。」
「新星会とやる気は無い。しかし、ならば甲斐は何を考えている?破門されたことによる襲撃の回避だけなのか?」
「それなら江戸川さんに『覚悟』なんて言わないでしょう。」
「ちょっと待ちたまえ、江戸川さんに今回の甲斐の発言を確認してみる。」
吉良はメモを準備し、携帯を取り出し会話を始めた。
メモを取りながら話し込む。しばらく手が止まるのは江戸川が思い出すのに時間がかかっているのか。
「ありがとうございました。お休みなさい。」
吉良を電話を切った。
「ざっとこんな感じだったそうだ。細かい言葉の違いはあるだろうが、意味は間違っていないと思うと言っている。」
白野は、メモを食い入るように見つめた。
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