過去と現在を結ぶ異世界ストーリー

なつきいろ

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第5章 唯愛の賢妻と傲慢勇者

~親しき同級生と友愛の奇跡~傲慢勇者の誕生日⑥

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前書き

会話パート

「」ユウジ {}エステル []シャルロッテ

〔〕シルヴィ 【】エルナ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


なにやら危険な匂いがするアーネや受付三人娘達を避けるように、シャル達の元へとやってきた

[ハクト様、お誕生日おめでとうございますですわ]
 〔ハクトさん、お誕生日おめでとうございます〕
 【ハクト君、お誕生日おめでとうぉ】
 「ありがとう、みんな。急な誘いで悪いな」

シャル、シルヴィ、エルナは本当に急な誘いだった

愛しいエステルがいきなり誘おうと言い出してきたのだ
 きっと、俺との仲をシャル達に自慢したいのだろう

 もともとパーティーは家族だけでささやかに済ます予定だった
 それがあれよあれよといつのまにか、ギルド組や日本の同級生まで参加することになった

今更シャル達三人が増えたところで問題はない
 それに愛しいエステルからのお願いを断れるはずもなかった

 それにしても、シャル達を見ると改めて思う

「さすが貴族令嬢。ドレスが似合うな」

 急な誘いだったのにも係わらず、シャル達は見事なドレスに身を包んでいた

 パーティー会場にはドレスを着た家族達ももちろんいる
 みんなきれいなのは言うまでもない

言うまでもないのだが......

身に纏う上品さというのは隠しきれないのだろう
貴族組である、セリーヌやシャル達は特に華やいでいた

〔それは嫌味ですか?〕
 確かに俺は貴族嫌いだが、本当お前は俺に対しては厳しいよな!

 「これって普通は褒め言葉になるだろ」
 [ハクト様ですしね]
 〔ハクトさんだからですよ〕
 【ハクト君だからねぇ】
 {お師匠様じゃしのぅ}
ひどい!?シャル達だけでなくエステルまで!?

どうやら俺の貴族嫌いの件は、シャル達貴族組には相当深く根をもたれているらしい

(でもまぁ仕方ないのかな?事あるごとに貴族は嫌いだと、貴族であるシャル達の前で言っているしな。シャル達だからこそ言える愚痴でもあるんだが......)

□□□□

[それにしても驚きましたわ。ハクト様には婚約者の方がたくさんいらっしゃっるのですね......]
あっ、シャルはやっぱりそこが気になる?

シャルは今にも、きぃ~!悔しい!とばかりに、ハンカチを噛み締めそうな勢いだ

(シャルは俺に好意を抱いているもんな。シャルは可愛いから、俺との仲を望むなら大歓迎なんだがなぁ。ぶっちゃけ、アーネ達よりかは全然いい!)

 〔エステル様の件も驚きましたが、まさかあんなに......。どこがいいんですかね?〕
おぉい!ハッキリ言い過ぎだから!もっと包め!

シルヴィは信じられないとばかりに呆れた表情をしていた

(お前が百合っ子だから、俺の魅力に気付かないだけだろ!現にお前の親友のシャルは俺に惚れてるんだから!)

 【あんなにきれいな人がいっぱいいるのにぃ、私達にもエッチなことするんだねぇ】
 関係ないから!一種のコミュニケーションだから!

エルナは迎えにいった時のことを思い出して、遠い目をしていた

(や、やりすぎたかな?久々に会えたから嬉しくて、過剰にセクハラしすぎたかもしれない。エルナにはつい意地悪したくなっちゃうんだよなぁ)

シャル達に家族を紹介するのは今回が初めてだった
当然女性ばかりの家族構成や多数の婚約者に驚いていた
 それでも日本の同級生に比べたら、驚きは少なかったほうだ

 このへんは貴族故、いや、異世界人の常識なのだろう

[婚約と言えば、エステルさんにもされたのですか?]
 「あぁ、今日プロポーズしたよ」
 [〔【今日!?】〕]
 {これがその証なのじゃ!}

エステルがふんすっと鼻息荒くシャル達の前に左手を差し出した
 その左手には淡い桜色に輝く婚約指輪が嵌められていた

(やっぱりシャル達に自慢したかったんだな、エステル......)

シャル達はキラキラした目で目の前の婚約指輪を眺めていた
 あのシルヴィでさえこの有様.....
やはり婚約指輪というものは、イリアスでも特別なものらしい

 しばらく婚約指輪を眺めていたシャル達だったが、次第に婚約指輪について考察し始めた

[ハクト様?これってダイヤモンドではありませんわよね?しかし輝きがダイヤモンドに似ているような......]
ほぅ。さすがシャル。目敏いな。侯爵令嬢は伊達じゃないってか

〔ピンクサファイアとは輝きが異なりますし。見たことない宝石ですね......まさかこれって!?いやいや。いくらハクトさんでも......〕
ほぅ。さすがシルヴィ。宝石の正体に気付きかけてるな

【はぁ~。きれいな宝石だねぇ。エステル様いいなぁ】
・・・う、うん。エルナはエルナだな

 シルヴィがなにやら気付きかけていたが、シャル達貴族組でも答えは出なかった
 やはりオラクロアはそれだけ希少なのだろう

 エステルをちらっと見ると、ひどくご満悦な表情をしている

十分自慢できたことだろう。苦笑しか出ないよ!

 {なんじゃ?妾の顔になにかついておるのか?}
 「いや。いつも通りの可愛い顔だよ」
 {お、お師匠様はなにを言っておるのじゃ!?}
ほら、可愛い顔になった!何も間違ってない!

ごく自然に褒められたエステルは顔を赤くして照れていた

 その姿がとても可愛らしかったので抱きしめたい衝動に駆られた
 てか、シャル達の前だが当たり前のように抱きしめた

[相変わらず仲がよろしくて、羨ましい限りですわ]
 〔今息を吐くようにさらっと言いましたね?とんだジゴロですね〕
 【ハクト君とエステル様はいつも仲良しさんだねぇ】

シャル達は、そんな俺とエステルのやり取りを見て苦笑している

 もはやエステルとのいちゃいちゃは魔法学校でもお馴染みだ
 シャル達からしてみれば、やれやれ、といった感じなのだろう

〔それで?この宝石の正体はなんですか?〕
おっと!エステルといちゃいちゃしていて忘れてた

「それな、オラク......」
 {オラクロアなのじゃ!}
あっ。俺のセリフ......まぁいいか、別に

[〔【オラクロア!?】〕]

シャル達はまるで目玉が飛び出しそうな勢いで驚いていた
貴族組であるシャル達ですら見たことがないのだろう

(そういえばエステルも、初見はシャル達と同じように驚いていたな)

 [オ、オラクロアとはあのオラクロアですわよね!?]
どのオラクロアかは知らないが、多分シャルが言ってるやつだな

 シャルの体はわなわなと震えている
侯爵令嬢をして、この反応。改めてオラクロアの希少価値を思い知った

〔あ、あなた、どんだけ無茶苦茶な人なんですか......〕
いやいやいやいや。俺だからこそだろ

 シルヴィは奇異のものでも見るかのような目で見てきた
気持ちはわかる。数も少ないし、探すの大変なんだよな
 と言っても、俺はもう今はレーダーで簡単に探せるが......

【はぁ~。きれい......私もオラクロア欲しいなぁ】
エルナのうっとりした顔、色っぽいな

 エルナはうっとりとした表情で婚約指輪を眺めていた
 そしてぽつりっと無意識のうちに本音を漏らした

「え?別にいいぞ?余ってるし」
 [〔【え!?】〕]

 俺の言葉に固まるシャル達
そんなシャル達を尻目に俺は告げた

「なんだったら、今この場で創っちゃうか!」

□□□□

今、俺とエステル、シャル、シルヴィ、エルナは円陣を組んでいる
当然パーティー会場でこんなことをすれば、みんなの注目を集めていた

 みんなが一心に見つめる中、俺達はマジックアイテム作成を始めることにした

 そんな時、

 [この円陣も懐かしいですわね]

シャルが懐かしむようにつぶやいた
 その表情はどこか幸せそうだ

 シャルは対等で気軽な付き合いを渇望していた
 そういう意味では、この円陣でのマジックアイテム作成なんかは、シャルが希望するそれに近いのかもしれない

{懐かしいとな?そうなのか?}
そうか。エステルは知らないんだよな

「シャル達が身につけているミサンガを創る時にやったんだよ」
 {そうなのじゃな。お師匠様とシャル達は本当に仲がよいのじゃ。その場にいなかったのが悔やまれるのじゃ}

エステルは本当に残念そうな顔をしていた
 シャル、シルヴィ、エルナは自身のミサンガを見つめ、そして互いに微笑みあっていた

(本当にこの三人は仲がいい。強い絆で結ばれている)

だからこそ、その中に俺とエステルも入れて欲しい!
 強い絆で結ばれた親しい同級生として......

(いつまでも変わらない友情を育みたい!)

 「じゃあ創り始めるぞ」

 俺はエステルとシャル達を順番に見ていった
 それぞれが俺に頷き返し、両隣の人と手を繋いでいく

俺の隣にはエステルとシャルがいる
 エステルの手は小さいが肉付きがよくムチムチしている
 シャルの手は相変わらず細く繊細でスベスベしている
 う~ん、二人とも全く違う感触で気持ちいい!......げへへ

「少し大変かもしれないが、お互いがお互いのことを強く想うんだ。エステルは俺とシャル達の事を、シャルは俺とエステル、そしてシルヴィ達の事を、シルヴィとエルナもシャル同様に頼む」

 俺達五人はお互いのことを想い始めた
 そして俺はもう一言付け加えた

「そして俺からもみんなに想いを込めよう。俺から込める、みんなへの想いは『友愛』だ......俺はシャル、シルヴィ、エルナの三人の変わらぬ友情を羨ましく思う。そしてできることならみんなと、これからもずっと変わらぬ友情で結ばれていたいと思う。身分を超えて、親しい同級生としてこれからも接していきたい。だから、俺からの友愛の気持ちをみんなに精一杯込める!」

 {妾もみなと結びたいのじゃ!}
 [ええ、もちろん当然ですわ]
 〔なにを今更なこと言ってるんですか〕
 【みんなで仲良くしよぉ】

 俺の言葉を聞いて、みんなは俺に微笑んだ
 それぞれ違った魅力のある四人の笑顔は可愛らしかった

「じゃあ、いくぞ!」

 俺の魔力色である赤い魔力で俺達円陣を包み込んでいく
 まわりのギャラリーから歓声が上がった

【マジックリング『友愛のオラクロアリング』を作成】
 【マジックリング『友愛のオラクロアリング』を作成】
 【マジックリング『友愛のオラクロアリング』を作成】

そこには三個のオラクロアリングが創られていた
 デザインも込められた想いも全く一緒のものだ

「{ええええ!?}」
 [〔【?】〕]

この結果に、俺とエステルはかなり驚いた
 マジックアイテム作成において有り得ないことが起こったからだ

 シャル達が分からないのは無理もない
通常マジックアイテム作成は同じものが出来にくい
強い想いを込めたマジックアイテムは特にだ

想いはその時、その場面、込める人によってそれぞれ違う

例えば、以前ヘイネやサーシャにプレゼントした勇愛のイヤリング
 あれは俺がその時の勇者としての愛をありったけ込めた逸品だった
 だからこそ一つしか創れなかった
 そして、同じものはもう二度と創ることができない

家族の親愛のオラクロアリングをいくつも創れる熟練した俺ですら、強い想いを込めたマジックアイテムの作成は困難を極める

俺が一人でシャル達のリングを創ったなら、同じものができるこの結果はなんてことはない
家族の親愛のオラクロアリングを創るのと同じ要領だからだ

 でも、今回は違う

 ミサンガを創った前回同様、シャル、シルヴィ、エルナ、それぞれの想いを受け取って作成した
 だから、それぞれ違う想いが込められたマジックアイテムが出来上がるはずだった

確か前回はそれぞれ、友情、愛情、尊敬といった感じで分かれた
 それが普通だ。それぞれが抱く想いは違うのだから

 そして、当然今回もそうなると思っていたのだが......

結果は全く同じ想いが込められたリングが出来上がった
 これには驚かざるにはいられなかった


俺はシャル達に驚いた事情を説明した上で改めて尋ねた
 どうして三人が三人とも同じ想いを紡いだのか......

[当然のことですわ。ハクト様とエステルさんが、私達に変わらぬ友情である友愛を誓ってくれたのですから。それなら当然わたくしもお二人に友愛を誓いますわ]

 〔シャルロッテ様とほぼほぼ同意見ですね。ハクトさんと変わらぬ友情である友愛を誓うのはすごく、いえ、かなりすごく悩みますが.....まぁ嫌ではないですし〕

 【私もシャルロッテ様やシルヴィちゃんと同じだよぉ。あっ!別にハクト君のことはなんとも思ってないからねぇ!】

 (な、なるほど.....シルヴィやエルナの件については色々物申したいが、さすが仲良し三人組といったところか。それでも......ありがとう!お前達は最高の友達だよ!)

こうして、俺とエステル、シャル、シルヴィ、エルナは、いつまでも変わらない友情である友愛を結ぶことになった


 それは親しい同級生が起こした有り得ない奇跡

 『友愛の奇跡』と呼ばれる最高の誕生日プレゼントだった
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