スペースウォーリャーズ

大和煮の甘辛炒め

文字の大きさ
30 / 40
phase1 三章 第十一回イベント

二十九話 驕りの代償(1)

しおりを挟む
次の日、『スペースウォーリャーズ』にログインした俺と峰岡と楓はユカにミドリの場所を聞き、そこへ向かうことにした。

有栖川は用事があるといってログインもせずに帰ってしまった。

「ユカさんはフューラン基地に向かえって言ってたけど、、、、、」

《バカヤロウ!後ろについてるぞ!》

《援護してくれ!》

無線から怒号が飛び交う。

「戦争やってね?」

「俺たちゃ傭兵ってか」

ミネーが苦笑いして言う。

「なんでボク達に頼むんだろうね、プライマルクランなんて腐るほどプレイヤーがいるだろうに」

「さあな、色々事情があるんだろ」

三機のエリアルアーマードスーツが戦火煌めくフューラン基地に接近する。   

「あのー、ミドリさんはいますかー?」

俺は戦場に向けて問いかけた。

《あ?誰だてめえら!》

すぐに怒鳴り声が返ってきた。

「ピースコンパスの」

《リーダーが言ってた奴らか!頼む、手伝ってくれ!》

「わ、分かりました」

ミドリのあまりの勢いに少々尻込みしながら戦闘態勢に入る。

「エリアルヘロン、交戦」

「エリアルシュトレイン、交戦」

「エリアルゴースト、交戦」

《俺とユート、カジノの識別信号を送った!俺たち三人以外は全部敵だ!》

ミドリから指示が飛ぶ。

「分かった!」

敵のアーマードスーツから通信が入る。

「ゼ、ゼウス、敵の増援が来たよ」

「落ち着けよ、ショウタ。こっちにはバーストマグナムとビットンがあるんだぞ」

「そうだぞ、ショウタ。俺たち『サイキョースコードロン』は最強なんだぜ」

「どうせ雑魚だろ、行くぞー!」

ミドリ達と敵対していたプレイヤー達の声はまだ声変わりしきっていないようだ。

オープンチャンネルなのでその会話はミドリ達に筒抜けだった。

《ちっ、ガキども、、、、、!》

ミドリが苛立ちを募らせる。

「この子達、中学生ぐらいか?」

ミネーが切り結びながら呟く。

《くそっ!》
プライマルクランのアーマードスーツがやられたようだ。

《ユートがやられた!戦力差は歴然だ!一旦退こう》

カジノが撤退を促す。

『ちっ、アーマードスーツだけならまだしもコイツら、ビットンやらバーストマグナムまで使ってきやがる。つくづく忌々しい兵器だぜ、コイツらは』

《おい、ピースコンパス、頑張っているところ悪いが態勢を立て直したい。撤退するぞ!》

ミドリが後退する。

「え!ちょ、ちょっと!」

俺たちも慌てて後を追う。

《へへー!ざまーみろ!》

《ザーコザーコ!二度と来るんじゃねーぞ!》

子供達の煽り文句が耳に障る。

「なんなんだ?アイツら」

ミネーが困惑する。

「あんな若い子達珍しいねー」

ヴァリュートも少々驚いたようだ。

《話は船に着いてからだ》

ミドリが吐き捨てるように言う。

⭐️⭐️⭐️

俺たちはミドリに従ってプライマルの戦艦に着艦させてもらった。

すぐにコックピットから出る。

「さっきはすまなかったな、怒鳴っちまって」

「いやいや、大丈夫です。ところで、あの子達はなんですか?」

「アイツらはなぁ、つい昨日襲撃を仕掛けてきたんだ。素性も分からん。『サイキョースコードロン』とかほざいてたから大方中学に上がりたてのガキだろうが」

ミドリがため息をつく。

「さっきの奴らはビットンやらバーストマグナムに物言わせてるだけで素体はそこまでの脅威じゃない」

「んじゃどうして攻めあぐねてるの?」

ヴァリュートが尋ねる。

「単純な人員不足、要塞の防衛設備、ガキどものリーダー格三人。これが攻めあぐねてる理由だ」

「人員不足って、カガリさんに言えばなんとかなるでしょ?」

ヴァリュートの至極当然な指摘を受けたミドリはバツが悪そうに俯く。

「いや、俺たちだけで大丈夫だって言っちまったから、、、、、」

「、、、、、頼るに頼れないのね、自分でそんなこと言った手前」

「リーダーは分かってたんだろう。俺たちが攻めあぐねるだろうってな。お前達を紹介という形でここに送り込んだのもリーダーの気遣いだったのかもしれんな」

ミドリにもプライドってやつがあるんだろう。

カガリはそれを傷つけないようにプライマルクランの増援じゃなく、第三者の俺たちを向かわせたんだろう。

優しくて強くて気遣い出来るとかどんな聖人だよあの人。

「話を戻すぞ。防衛設備の件だが、こちらはもういい。基地の主導権を握らなければどうにもならんからな」

「それじゃ残りは、、、、、」

ミドリが俺の言葉を引き継ぐ。

「リーダー格三人だ。コイツらは腕がいい。フューラン基地を返してほしければそいつら三人を倒せ、とかほざきやがる。ガキの戯言に付き合ってる暇なんてないから昨日と今日奇襲を仕掛けたんだが、、、、、この有様だ」

「なるほどね、とりあえずピーチクパーチクうるさい取り巻き共を先に潰しちゃいましょう。リーダー格は出てきた時点でボク達三人が対処するから」

「分かった。装備は好きなように選んでくれ」

ミドリがすぐに同意する。

よほど怨みが募っているのだろうか。

「ノータイムでオッケー出したぞ」

「アイツら相当煽ったんだろうな」

自機に乗り込むミドリを眺めながら俺とミネーが囁き合う。

「あの子達中学生ぐらいでしょ?バッドマナーはイケナイってこと、しっかり叩き込んであげないとね」

ヴァリュートが笑いながらエリアルゴーストへ向かう。

「ま、黒蛇ソロで倒したお前がいるし負けんだろ」

ミネーは俺の肩をポンポンと叩くとエリアルシュトレインに乗り込んだ。

「さて、俺も頑張るか」

エリアルヘロンのコックピットに入り、操縦席に座る。

ハッチが閉まる。

⭐️⭐️⭐️

フューラン基地では『サイキョースコードロン』の面々が二度の勝利に大騒ぎしていた。

アーマードスーツがダンスを踊ったりしていて中々滑稽である。

《プライマルクランに二回も勝ったんだぜ、俺たち》

《大したことねーじゃん!》

《今度は俺たちから仕掛けに行こうぜ!》

甲高い声がピーピー飛び交う。

《ねえ、ゴッド様達はいつ来るの?》

《あと十分ぐらいだと思うよ》

《ふーん。あ、レーダーに敵を捉えた!》

《また来た!カモだカモ!》

サイキョースコードロンのメンバー達が突撃していく。

⭐️⭐️⭐️

「見て、真っ直ぐ突っ込んでくるよ」

ヴァリュートが笑いながらフルチャージバーストマグナムをぶっ放す。

バギュゥゥゥゥン!!

《きゃー!》

《うわー!》

相変わらずオープンチャンネルなので悲鳴が聞こえてくる。

「今ので五機は墜としたよ」

ヴァリュートが呆れる。

「バーストマグナム強すぎ」

《よし、ビットンに気を付けろよ!》

ミドリが忠告する。

「了解!」

俺とミネーはこちらに向かってくるアーマードスーツに全速力で突っ込んだ。

《うわー!ぶつかる!》

誰かがそう叫び、全員が散開した。

「よしやるぞ」

ミネーと俺は背中合わせになり、ライフルで、敵を各個撃破していった。

《ビットンでもくらえー!》

撃ち損じたアーマードスーツからビットンが射出される。

《ビットンが来てるぞ!数が多い!距離を取れ!》

ミドリが焦って忠告する。

が、しかし。

エリアルヘロンはビットンから繰り出される激しい攻撃を難なく避けきり、エナジーブレードで一つずつ切り裂いて始末していく。

これにはミドリも唖然とする他ない。

ミネーもハナサギほどではないが、これといった被弾もなくビットンの処理に成功した。

「凄いでしょ、ボクのハナサギ君は」

ヴァリュートが自慢げにミドリに言い放つ。

《ハナサギ、、、、、ってあの!?》

「うん、もしかして知らなかった?」

《ああ、もう一人のシンギュラリティ、、、、、!》

ミドリが呆然とする。

襲いくるビットンを全て処理したエリアルヘロンはビットンを射出した主に狙いを定めた。

《チーターだ!チーターがいるぞ!逃げろ!》

まさかビットンがやられるとは思っていなかったのだろうか、驚きと恐怖の混じった、ホラーゲームでしか聞かない悲鳴が聞こえてくる。

無論、エリアルヘロンが見逃すわけもなく、一瞬でやられてしまった。

《ハナサギもすごいが、シュトレインの方もなかなか凄いな》

ミドリはもう褒めることしか出来なくなっていた。

その時、また通信が入った。

《なんだよ、みんなやられちゃったのかよー》

《使えない奴らだな》

《弱すぎぃー!マジありえなーい》

基地の方から三機のアーマードスーツが出撃してきたのだ。

「これまたガキ臭い奴らが来たな」

「コイツらがリーダー格か」

「さっさと潰して基地を取り返そっか」

エリアルヘロン、エリアルシュトレイン、エリアルゴーストが並ぶ。

《勝てるのか?》

ミドリが心配そうに尋ねるが、ヴァリュートたちが一蹴する。

「なに言ってんの?ボク達はあんなのに負けないよ」

「ああ、完封する」

「黒蛇より断然マシだよ。心配しなくてもフューラン基地は取り返すよ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

処理中です...