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第6章
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ななのちゃんも学校が始まったのか、しばらく来てなかったが、水曜日、僕が部屋にいると
「こんにちわー まだ 外は暑いやんかー」と、言いながらベッドのところに行って、スカートを脱ぎ出した。そして、スカートをベッドに丁寧に置いたら、ベッドにくしゃくしゃになっているタオルケットを敷き直しながら
「シュウ くしゃくしゃのまんまやんかー 広げとかんと湿気たまったまんまになるでー シーツもくしゃくしゃやしー」
「わかったよー 洗濯して、さっき 取り込んだとこなんや」
「そしたら よけいやー 熱いままやったら 又 湿気こもるやんかー 広げて冷まさなー」
「うん そーだな ななのは本当に家事のこと万能やのー それより 早く何か穿かないのか?」
「これ オーバーパンツやんかー この下にもパンツ穿いてるでー」と、ずり下げて見せようとしてきた。
「わかったよ もう いいよ」
「なんやねん シュウかって 短パンやんか」と、カバンからプリントを取り出していた。
結局、上は学校のブラウスのままで下は紺色のパンツ姿で勉強を始めたのだ。しばらくすると
「これっ 宿題やってん 次は、数学の予習 わからへんかったら、聞いて良い?」と、後ろに馬の尻尾みたいに留めていた髪の毛を上にもちあげるようにして留め直して、おくれ毛を耳のうしろに描き上げるしぐさで僕のほうを見つめてきた。
そのしぐさにドキッしている僕のことを気に留めることも無く、ななのちゃんは数学の本を開いていたのだ。だけど、傍で本を読んでいる僕に何かを聞いてくるようなことは無かった。
「よし! 完了 数学は方程式になるんだぁー まぁ ちゃんとやってれば理解できるんだけどネ わかんなくなったら、シュウ お願いネ 今日は、もう帰るネ 暗くなる前に」と、スカートを又、穿きだしたけど、めくりあげるようにして
「このスカート 暑いから嫌いやー 長いし うっとおーしい 短こぉーしたら、先生に叱られるしなーぁ」とブツブツ言いながら帰って行った。
でも、確か今のは夏物になってるはずなんだけどなぁー。ずーと、あの子は短パンのことが多かったからなんだろうな。僕は、そうだ問題集を買っておいてあげようと思っていた。
― ― ― * * * ― ― ―
次の土曜日。グラウンドをななのちゃんが後ろに束ねた髪の毛を揺らすようにして元気に走っていた。
僕がグラウンドの脇で見ていると、朝宮監督が寄ってきて
「北番君 女子のほうも試合をやってみようと思ってるんだ。とりあえず、隣のチームでね そこは、社会人も入っているんだが・・・年齢はウチにあわせてくれるらしい 練習だから」
「そーなんですか いや いいんじゃぁないですか 彼女たちも張り合い出るだろーし」
「うん みんなもやりたいと言っていた。それでな 相談なんだけど ユニフォーム揃えようと思うんだけど・・・それぞれの負担じゃぁ どうだろーうな」
「あぁ ななのの分は 僕はべつに構わないですけど・・ 事情があって、負担となると重荷になる子もいるかもしれませんねぇー」
「だよなー やっぱり 協賛金という形で父兄から集めたほうが いいかぁーなぁ 送迎のバスは僕の知り合いの自動車屋から借りて、僕が運転するんだがな それは男子の時もなんだ」
「あのー 僕も 偉そうなことは言えませんけど、協力させてもらいますんで 足らなかったら言ってください 監督もかなり負担してるんでしょ」
「まぁ それは 僕の楽しみでもあるからな」
結局、目標には届かなくて、僕もボーナスから不足分を協賛していたのだ。併せて、ななのちゃんのシューズも新調することにしていた。
その日、僕が部屋に帰ると、ななのちゃんが、駆け寄ってきて
「あかんよー こんなんにお金使わんとって」
僕は、数学と英語の問題集をテーブルの上に置いておいたのだ。
「どうして? 問題やっていったほうが実力つくよ」
「そーなんやろけどー 私は、予習復習もちゃんとやってるでー 平気やー」
「それは わかってる だけどな・・ こういうのやってると 授業では触れないこともわかるようになってくるんや 僕は、ななのが頑張ってるの知ってるからこそ こういうことも必要だと思う 珠には 言うこと聞け!」
「うぅー わかった でも ありがとう シュウ」
「それとな 明日 僕が帰ったら、スポーツ店に一緒に行く 朝宮監督の紹介 ななののシューズ買いに」
「えぇー 要らん 要らん そんなん」
「要らんことないやろー もう、小さいはずだよ この半年で、だいぶ背が伸びているよ それに、横の方が破れ掛けている 貰ったもんだからな」
「シュウ 私・・・ そんなんしてもうてー・・どうしたら ええのん?」
「だからー 前に言ったろー ななのは 勉強もサッカーも伸び伸びとやって 明るく真直ぐに成長していってくれれば 僕も楽しいんだよ 今は、余計な事考えるなよー」
「・・・ウン ええのかなー シュウに甘えてて」と、下を向いていたかと思ったら、長いまつ毛を濡らして上目遣いで僕を見てきていた。僕は、動揺していたが
「いいよ 僕は、ななのの笑顔が好きだよ さぁー 今日のご飯は?」
「えへっ 私の愛情たっぷりの 豚肉のオムレツあんかけとマカロニサラダ」と、可愛い笑顔を見せてきたのだ。その絵顔とおいしい食事だけで、僕は満足なんだよ
「こんにちわー まだ 外は暑いやんかー」と、言いながらベッドのところに行って、スカートを脱ぎ出した。そして、スカートをベッドに丁寧に置いたら、ベッドにくしゃくしゃになっているタオルケットを敷き直しながら
「シュウ くしゃくしゃのまんまやんかー 広げとかんと湿気たまったまんまになるでー シーツもくしゃくしゃやしー」
「わかったよー 洗濯して、さっき 取り込んだとこなんや」
「そしたら よけいやー 熱いままやったら 又 湿気こもるやんかー 広げて冷まさなー」
「うん そーだな ななのは本当に家事のこと万能やのー それより 早く何か穿かないのか?」
「これ オーバーパンツやんかー この下にもパンツ穿いてるでー」と、ずり下げて見せようとしてきた。
「わかったよ もう いいよ」
「なんやねん シュウかって 短パンやんか」と、カバンからプリントを取り出していた。
結局、上は学校のブラウスのままで下は紺色のパンツ姿で勉強を始めたのだ。しばらくすると
「これっ 宿題やってん 次は、数学の予習 わからへんかったら、聞いて良い?」と、後ろに馬の尻尾みたいに留めていた髪の毛を上にもちあげるようにして留め直して、おくれ毛を耳のうしろに描き上げるしぐさで僕のほうを見つめてきた。
そのしぐさにドキッしている僕のことを気に留めることも無く、ななのちゃんは数学の本を開いていたのだ。だけど、傍で本を読んでいる僕に何かを聞いてくるようなことは無かった。
「よし! 完了 数学は方程式になるんだぁー まぁ ちゃんとやってれば理解できるんだけどネ わかんなくなったら、シュウ お願いネ 今日は、もう帰るネ 暗くなる前に」と、スカートを又、穿きだしたけど、めくりあげるようにして
「このスカート 暑いから嫌いやー 長いし うっとおーしい 短こぉーしたら、先生に叱られるしなーぁ」とブツブツ言いながら帰って行った。
でも、確か今のは夏物になってるはずなんだけどなぁー。ずーと、あの子は短パンのことが多かったからなんだろうな。僕は、そうだ問題集を買っておいてあげようと思っていた。
― ― ― * * * ― ― ―
次の土曜日。グラウンドをななのちゃんが後ろに束ねた髪の毛を揺らすようにして元気に走っていた。
僕がグラウンドの脇で見ていると、朝宮監督が寄ってきて
「北番君 女子のほうも試合をやってみようと思ってるんだ。とりあえず、隣のチームでね そこは、社会人も入っているんだが・・・年齢はウチにあわせてくれるらしい 練習だから」
「そーなんですか いや いいんじゃぁないですか 彼女たちも張り合い出るだろーし」
「うん みんなもやりたいと言っていた。それでな 相談なんだけど ユニフォーム揃えようと思うんだけど・・・それぞれの負担じゃぁ どうだろーうな」
「あぁ ななのの分は 僕はべつに構わないですけど・・ 事情があって、負担となると重荷になる子もいるかもしれませんねぇー」
「だよなー やっぱり 協賛金という形で父兄から集めたほうが いいかぁーなぁ 送迎のバスは僕の知り合いの自動車屋から借りて、僕が運転するんだがな それは男子の時もなんだ」
「あのー 僕も 偉そうなことは言えませんけど、協力させてもらいますんで 足らなかったら言ってください 監督もかなり負担してるんでしょ」
「まぁ それは 僕の楽しみでもあるからな」
結局、目標には届かなくて、僕もボーナスから不足分を協賛していたのだ。併せて、ななのちゃんのシューズも新調することにしていた。
その日、僕が部屋に帰ると、ななのちゃんが、駆け寄ってきて
「あかんよー こんなんにお金使わんとって」
僕は、数学と英語の問題集をテーブルの上に置いておいたのだ。
「どうして? 問題やっていったほうが実力つくよ」
「そーなんやろけどー 私は、予習復習もちゃんとやってるでー 平気やー」
「それは わかってる だけどな・・ こういうのやってると 授業では触れないこともわかるようになってくるんや 僕は、ななのが頑張ってるの知ってるからこそ こういうことも必要だと思う 珠には 言うこと聞け!」
「うぅー わかった でも ありがとう シュウ」
「それとな 明日 僕が帰ったら、スポーツ店に一緒に行く 朝宮監督の紹介 ななののシューズ買いに」
「えぇー 要らん 要らん そんなん」
「要らんことないやろー もう、小さいはずだよ この半年で、だいぶ背が伸びているよ それに、横の方が破れ掛けている 貰ったもんだからな」
「シュウ 私・・・ そんなんしてもうてー・・どうしたら ええのん?」
「だからー 前に言ったろー ななのは 勉強もサッカーも伸び伸びとやって 明るく真直ぐに成長していってくれれば 僕も楽しいんだよ 今は、余計な事考えるなよー」
「・・・ウン ええのかなー シュウに甘えてて」と、下を向いていたかと思ったら、長いまつ毛を濡らして上目遣いで僕を見てきていた。僕は、動揺していたが
「いいよ 僕は、ななのの笑顔が好きだよ さぁー 今日のご飯は?」
「えへっ 私の愛情たっぷりの 豚肉のオムレツあんかけとマカロニサラダ」と、可愛い笑顔を見せてきたのだ。その絵顔とおいしい食事だけで、僕は満足なんだよ
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