僕は 彼女の彼氏のはずなんだ

すんのはじめ

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第8章

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 9月第2週にナカミチの1周年感謝セールが始まった。その前の週に、2回新聞の折り込みを入れたということだった。2回目のメインは、シニア向けのメニューで牛ヒレステーキ2切れにカニクリームコロッケで\800、それにお子様向けに小さなハンバーグとカニクリームコロッケにアイスクリームを付けていた。下の方には、大人向けなのか、期間限定のビーフシチューを、これも、\800で乗せていた。うちの会社に特注でオーダーしたもので、牛すね肉を使用したものだ。特別に肉の卸会社に頼み込んで安価な値段でうちの会社に卸していた。それも、松永さんのお店でも販売するということにして、何とか50Kgのロットで製造した。僕も、社長と工場長に頭を下げて頼み込んだものだった。

 案の定、シャルダンもチラシを入れて、ステーキセットの2割引きセールを始めた。僕が、驚いたのは、美鈴はそのことを予想していて、前の週から、来たお客にステーキセットの割引を始めるというチラシを手渡ししていたのだ。それも、シャルダンのセールが終わる前日からのものだった。

 そして、シャルダンのセールが終わると、もう一度、感謝セール第二弾でステーキの割引セールのチラシを入れていた。

「美鈴、仕掛けたのか」と、僕は、聞いてみた。

「そうよ まともに、シャルダンとやりあっても仕方ないじゃぁない。向こうは、意味のないセールで利益減らせばいいのよ。うちは、固定客プラス新規のお客様を獲得するわ。有難いことに、うちの固定客は向こうには、行かないって言ってくれたわ。それに、年配のお客様も増えたし、それに、時間的に余裕のある人達だから、平日でも並んで待ってくれている人もいるのよ。だから、お茶をご用意して、お話するのに丁度いいって、だから、椅子も用意したわよ。お子様連れのお客様も、うちに足を運んでくれているし。ビーフシチューも好評だし、普段ステーキのお客様もオーダーしてくれて それに、付けるパン一日2回仕入れて、比較的焼きたてを召し上がっていただいたからね」

 美鈴は、自分の思ったことが、うまくいっているので、調子よく話してくれていた。光瑠の情報によると、工務店の堤さんとか、掲示板を利用している俳句とか絵を掲げているグループとか若いお母さん達が、かなり宣伝して、誘ってくれたとのことだった。みんな、美鈴を応援しているらしい。

 10月になって、松永さんから連絡があった。

「あのビーフシチューはなかなかの出来だったな。好評だったよ。ナカミチの感謝セールも好評だったみたいだな」

「ええ あれは晋さんが色々と注文をつけてきてー 良いもんに仕上がりました」

「そうか あいつも、研究しているんだなー 立派な料理人だよ ところでな、シャルダンのセールはガタガタだったみたいで、あれ以降、逆に客足が落ちているみたいだよ 近隣の6店舗の中でも最低らしい 従業員の削減に走っているみたいだけど、余計にサービス低下でな 悪循環だよ」

「そうなんですか ナカミチの影響ですか?」

「それは、わからない でも、気にしているのは確かだろうな」

「じゃぁ ますます、対抗してくるんじゃあ」

「いや 向こうは、母体が大きいから、ナカミチなんか相手にしてないと思うけどなぁー わからん お嬢さんも、良くやってるからな 目障りな存在ではあるだろう 今回は完全に向こうの裏を突いたような形だったからな あんまり、刺激しないでやって行く方が良いと思うのだが」

「そうなんですよ ブレーキを掛けようとするんですけどね あの時の美鈴の悔しい思いを聞くと・・」

「昔ナカミチに居た上野が、まだ、シャルダンに居るんだったら、どんな気持ちになっているんだろうな」

「そうですね 気にならない訳がないですよね 美鈴も意識しているのかなあー」

 それから、しばらくして、美鈴にあった時

「感謝セールはうまくいったし、しばらくは、おとなしくしているね クリスマスまで」と、言っていたので、僕は、少し安心した。 
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