絢と僕の留メ具の掛け違い・・

すんのはじめ

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第5章

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 翌3月になって、僕は希望の大学の海洋学部に合格した。家族のみんなも喜んでくれていたが、お母さんの思いは複雑だったみたい。長男は東京で就職、次の兄もサッカーの名門大学で出て行った。だから僕もってなると家には子供が誰も居なくなるからだ。

「絢チャンはどこの大学に行くの?」

 唐突に聞いてきた。ずーと会っていないし、連絡も取り合っていないのをお母さんは知らなかったのだ。だけど、良い加減な返事で誤魔化していた。

 
 僕は、大学ではとりあえず学生寮に入ることにした。

 向かう前に、小学校の時の恩師の植田先生に挨拶に行った。喜んでくれて、そのうち絢の話題になってしまった。長いこと連絡も取り合っていないことを告げると

「私、あの娘が高校1年の時に警察に引き取りに行ったことがあったのよ。カラオケで高校生がお酒飲んでいるグループが居るって補導されてね。もちろん、本町さんは一緒に居ただけだからすぐに許されたのだけど、親にも言えないって私に連絡がきて引き取りに行ったの。本町さんは小野さんに誘われて、懐かしいからって、出掛けて行ったんだけど、男の子が居るって知らなかったみたい。けれど、小野さんのことを考えて、その場に一緒に居たみたい。小野さんも後で泣いて謝っていたみたいだけど」

「そのことを水島君は知らないよネ」と言って、先生はお茶を入れ直しに行った。

 僕は、あの時、絢が話を聞かないって言っていたのはこのことだったのかと、僕は自分を責めた、どうして絢を信じてやれなかったのだろう。こぶしを握り締めていたのかも知れない。

 座り直した先生は続けて

「6年生の夏休みに本町さんの描いた絵を覚えている? あの絵を市のコンクールに出したのだけど、最優秀賞だったのよ、それで市民会館のロビーに飾るってことになったし、「旭屋さん」の包装紙に使わして欲しいって話もあったのだけど、あの娘は全部断って絵を返してほしいって言い張っていたの。とっても大切だったのよ、多分、水島君と を描いていたから・・・。本当に慕っていたみたいね。でも、君も本町さんと頑張ったよネ。あの娘のいいところ引き出したんだから」

 絢 絢 すまない 君はやっぱり 僕の・・・

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