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第1章
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私は、パンツスーツで出掛けることにした。お化粧も、今日は、控えめにしていた。朝ご飯の時、普段のとおりに、チッチも自分のお皿でご飯を食べていた。
昨日のことが、夢だったのかしら、と思いながら、駅に向かった。坂の下の公園にさし掛かった時
「すずりちゃんと、出会った場所だよね。樹が大きくなった」
「プチッ やっぱり、夢じゃぁなかったんだ。居てくれたんだ」
「そうだよ 安心して」
― ― ― * * * ― ― ―
就業時間が終わって、お化粧を直して、
「さあ いくぞ プチ」と言うと
「ああ 居るよ 一緒に」って声が聞こえた。
ホテルのロビーで待ち合わせして、港が見える最上階のレストランだった。相手は30才になろうかというところで、建設会社で、まもなく課長に昇進するという話だ。少し、太り気味なのに、神経質なところがあって、私は、気にいらないが、うちの会社にとっては、お世話になっているらしい。
会社の先輩は「適当に受け流して、ごちそうになってくればいいのよ」と気楽に言っていたが、私、こんなの初めてだから・・。
「こんな、かわいい人と食事が出来るなんて、夢のようだよ」しきりに、歯が浮くような言葉を言ってくる。
港の見える景色は、きれいで、お料理もおいしかった。私は、食べることに、感動していたが、その人は、一生懸命、今まで手掛けてきた建設のことを話していて、不思議なことに、プチが私の声を借りて、適当に相槌を打ってくれていた。その間に、しきりとワインを勧められたが、私は、一口、飲んだだけで、誤魔化していた。
レストランを出る時に、もう一軒、飲みに行こうと、しつこく誘ってきて、断っていたが、ホテルを出ると、「じゃぁ 公園を少し、歩こうよ」と、私の腰に手をまわそうとしてきた。その時、
「シャーァ」とすごい声がした。私、じゃぁ無い!
その人も驚いたみたいで、手を引いて黙ってしまった。やっと
「さっき、何か、言った? 気のせいかな すごい、声がした もう、送っていくよ」と言ってきたが、声が震えているようだった。
「私、父と一緒に帰るので、待ち合わせしていますので 今日は、ありがとうございました とっても、おいしかったです」
「そーなんですか じゃ ここで」 と、足早に人込みの中に去って行った。
「あんなの最低の男じゃないか よく、あんなのとデートするよ」とプチの声
「でも、少し、かわいそうな感じ」
「同情しちゃぁダメだよ すずりちゃんをなんとかしようと、下心みえみえだよ」
「そうだったね ありがとう、プチ 私、ずるずると断れなかったかも でも、お料理おいしかったわよ」
「そうだね 自分だけ、楽しめて良かったね」
「プチ 怒ってるの わかった プチの分、お肉買って帰るから」
― ― ― * * * ― ― ―
家に帰ってきて、直ぐに、お風呂に入ろうとした。
「すずりちやん、俺も一緒なのか」
「なんでー いつも、一緒だったじゃない」
「それはー 今までは、お互い、子供だったから」
「べつに プチとだったらいいよ それに、あなたには、見えないじゃぁないの まだ よく、わかんないのよ プチと一緒って でも、なんだか、うれしいわ」
脱衣所で身体拭いていると 「すずりちゃん 胸も成長したね」
「なに言ってんのよ 見えないんでしょ」
「鏡に映っているの見た 白くて、きれいだよ」
「あのさー プチ 割と、エッチなの? 変だよ、プチって私のなんなの? お肉あげないよ」
「ごめん もう、言わない でもさ、変なのはすずりちゃんだよ 俺は、猫なんだよ」
お風呂から出て、私は缶ビールを開けていると、チッチが足元にすり寄ってきた。そうだ、プチが戻ったんだ。お肉忘れていた。お皿に出して、あげているとおいしそうに食らいついていた。
「あら さっき、ご飯あげたのに 生のままって、ダメよ 虫がわくから でも、そんなに、お肉食べたかしら チッチって」と、お母さんが言っていた。
「だって プチが食べたいって言ったんだもの」
「すずり なに言ってるのよ チッチでしょ あなた、まだ、プチのことを・・ さっきも、お風呂で、独りでなんかしゃべていたし なんか、おかしいわよ 大丈夫?」
私が、2階へ行くと、チッチ(プチ)が付いてきた。ベッドに寝そべって、頭を撫でながら
「プチ なんか、心強いよ 帰ってきてくれて、ありがとう」と、言うと
プチは、私の耳と髪の毛を舐めてくれていた。
昨日のことが、夢だったのかしら、と思いながら、駅に向かった。坂の下の公園にさし掛かった時
「すずりちゃんと、出会った場所だよね。樹が大きくなった」
「プチッ やっぱり、夢じゃぁなかったんだ。居てくれたんだ」
「そうだよ 安心して」
― ― ― * * * ― ― ―
就業時間が終わって、お化粧を直して、
「さあ いくぞ プチ」と言うと
「ああ 居るよ 一緒に」って声が聞こえた。
ホテルのロビーで待ち合わせして、港が見える最上階のレストランだった。相手は30才になろうかというところで、建設会社で、まもなく課長に昇進するという話だ。少し、太り気味なのに、神経質なところがあって、私は、気にいらないが、うちの会社にとっては、お世話になっているらしい。
会社の先輩は「適当に受け流して、ごちそうになってくればいいのよ」と気楽に言っていたが、私、こんなの初めてだから・・。
「こんな、かわいい人と食事が出来るなんて、夢のようだよ」しきりに、歯が浮くような言葉を言ってくる。
港の見える景色は、きれいで、お料理もおいしかった。私は、食べることに、感動していたが、その人は、一生懸命、今まで手掛けてきた建設のことを話していて、不思議なことに、プチが私の声を借りて、適当に相槌を打ってくれていた。その間に、しきりとワインを勧められたが、私は、一口、飲んだだけで、誤魔化していた。
レストランを出る時に、もう一軒、飲みに行こうと、しつこく誘ってきて、断っていたが、ホテルを出ると、「じゃぁ 公園を少し、歩こうよ」と、私の腰に手をまわそうとしてきた。その時、
「シャーァ」とすごい声がした。私、じゃぁ無い!
その人も驚いたみたいで、手を引いて黙ってしまった。やっと
「さっき、何か、言った? 気のせいかな すごい、声がした もう、送っていくよ」と言ってきたが、声が震えているようだった。
「私、父と一緒に帰るので、待ち合わせしていますので 今日は、ありがとうございました とっても、おいしかったです」
「そーなんですか じゃ ここで」 と、足早に人込みの中に去って行った。
「あんなの最低の男じゃないか よく、あんなのとデートするよ」とプチの声
「でも、少し、かわいそうな感じ」
「同情しちゃぁダメだよ すずりちゃんをなんとかしようと、下心みえみえだよ」
「そうだったね ありがとう、プチ 私、ずるずると断れなかったかも でも、お料理おいしかったわよ」
「そうだね 自分だけ、楽しめて良かったね」
「プチ 怒ってるの わかった プチの分、お肉買って帰るから」
― ― ― * * * ― ― ―
家に帰ってきて、直ぐに、お風呂に入ろうとした。
「すずりちやん、俺も一緒なのか」
「なんでー いつも、一緒だったじゃない」
「それはー 今までは、お互い、子供だったから」
「べつに プチとだったらいいよ それに、あなたには、見えないじゃぁないの まだ よく、わかんないのよ プチと一緒って でも、なんだか、うれしいわ」
脱衣所で身体拭いていると 「すずりちゃん 胸も成長したね」
「なに言ってんのよ 見えないんでしょ」
「鏡に映っているの見た 白くて、きれいだよ」
「あのさー プチ 割と、エッチなの? 変だよ、プチって私のなんなの? お肉あげないよ」
「ごめん もう、言わない でもさ、変なのはすずりちゃんだよ 俺は、猫なんだよ」
お風呂から出て、私は缶ビールを開けていると、チッチが足元にすり寄ってきた。そうだ、プチが戻ったんだ。お肉忘れていた。お皿に出して、あげているとおいしそうに食らいついていた。
「あら さっき、ご飯あげたのに 生のままって、ダメよ 虫がわくから でも、そんなに、お肉食べたかしら チッチって」と、お母さんが言っていた。
「だって プチが食べたいって言ったんだもの」
「すずり なに言ってるのよ チッチでしょ あなた、まだ、プチのことを・・ さっきも、お風呂で、独りでなんかしゃべていたし なんか、おかしいわよ 大丈夫?」
私が、2階へ行くと、チッチ(プチ)が付いてきた。ベッドに寝そべって、頭を撫でながら
「プチ なんか、心強いよ 帰ってきてくれて、ありがとう」と、言うと
プチは、私の耳と髪の毛を舐めてくれていた。
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