私の中にあの猫がいる

すんのはじめ

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第1章

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 12月に入って、響先輩にお買い物に付き合ってと誘われていた。

「プチ 今日は 私が、助けてって、言うまで手を出さないでね お願い」

「なんで すずりちゃんに、ちょっかい出してくる変な奴は許せないじゃん」

「うん 有難いんだけど、今日は響先輩と一緒だし、この前のこと、なんか、おかしいって、まだ、疑っているんだよ だから、私が、助けてって言うまで・・お ね が い」

「わかったよ おとなしく、見守っているから」

 私達は、先に、ビァレストランで食事兼ねて、少し飲むことにしていた。

「すずりちゃん 下の階のリッコ(Ricco)って知っているでしょ あそこの社長の早坂さん、まだ、若いんだけど・・見たことあるでしょう?」

「ああ 多分 でも、良く、知らないですけどー」

「そう すずりちゃんって、ぜんぜん、男の人を無視しているものね 目に入んないんだ 私ね、朝、ちょくちょく一緒になるんだ。2回ほど、ランチもごちそうになったわ 30近いけど、独身よ、とっても紳士だし、面白い人よ」

「そうなんですか 先輩 彼氏 婚約者居るのに―」

「あらっ ぜんぜん、変な関係じゃぁないわよ 普通 まぁ、それは良いとしてね この前、早坂さんから、すずりちゃんの話が出てね 一度、話したいんだって 会っても、頭下げるだけで、話し掛けられない雰囲気なんだって 前はね、どこか影があるって思っていたんだけど、最近、表情も明るくなったって それは、私も感じていた。 可愛いから、なんとか、知り合いになりたいってよー どうする?」

「そんなこと、言われても 突然だし」

「じゃぁなくて あなたが、あの人のことどう感じているかよー」

「ええ 丁寧で、優しそうな人だと思います」

「そう じゃぁ 一度、お話してみればー ランチでも」

「でも よく、知らない方ですしー」

「そんなこと言ってるから 彼氏できないのよー そのままじゃぁ、一生、独身のままょ そんなに可愛いのにもったいないわよ」

 私達は、お店を出て、三宮の商店街を歩いていた。響先輩の目的は、ランジェリーのお店だった。彼と一緒に暮らし始めるから、最初の夜にドキドキするものを着て見せるから、買いに来たんだと言っていた。勇気を出して、少し派手なのを買うので、付いてきてほしかったのって言うことらしい。

 お店に入って、先輩は白くて胸元がレースで全体がふわっとしたものを選んでいた。

「すずりちゃんにも買ってあげる。可愛いの選んであげるから」

「先輩 私 そんなの いいです」

「いいわよ 必要になるから あなた、自分じゃぁこんなの買わないでしょ デートの時は、見せるんじゃぁ無くても、自分が可愛くなるんだからね」

 と、サイドが大きなリボンになっていて、レースで飾られているブラセットを買ってくれた。可愛いけど、こんなすごいの、身に着けたことが無い。

 別れて、帰りの電車で、プチが

「一度 会ってみれば良いじゃあないか 知り合うだけでも、実になるよ」

「そうねぇ 悪い人じゃぁ無いと思うから」

 私は、駅を降りると、自然とあの店の前を通って、帰って行った。正直、もう一度、あの人のやさしそうな微笑みを見たいと思っていたのかも知れない。

  ― ― ― * * * ― ― ―

 前の日に「明日は早坂さんとランチに行くから、お弁当なしよ」と響先輩に言われていた。私は、朝からシャンプーして、スカートで出勤した。

 お昼になると、ビルの玄関で待ち合わせしているからって、付いて行った。早坂さんは先に来て待っていて

「お待たせ すずりちゃんよ」

「こんにちは、早坂です。時々、すれ違うんだけど、会釈はしてくれるんだけど、なんか声を掛けずらくてね」

「すみません 私 よく、知らなくって・・ ごめんなさい」と、何だか謝っていた。

「いや 僕の方こそ、あつかましく、河田さんに頼んでしまって 申し訳ない」

「じゃぁ 私は、用事あるからね ふたりで行ってきて」と、響先輩は、いきなり言い出した。

「えぇー 先輩 そんなー 困ります、私」

「そうだよ 僕も、困るよー なんか、だましたみたいでー 一緒してくださいよー」

「いいの いいの ご馳走してあげてね 大事な、後輩なんだから」さっさと行ってしまった。

「いつもマイペースな人だなぁー まぁ、良いか ご飯、何がいいですか?」

「はい でも、あんまり、時間ないから・・ 私、ピラフがいいです」と、そんなに食べたいわけではなかったが、上品に食べるには、無難かなと思った。

「ピラフですかー じゃぁ あそこのイタリアンで良いかな」と、早坂さんは歩き出した。

 私、付いて行ったけど、並んで歩いて良いものか、迷いながら、後ろから少し、離れて歩いた。

「すずりちゃん そんなに緊張するなよ もっと、気楽にな 顔が多分、引きつっているぞ」とプチの声がした。

「だって 緊張するよー こんなの 先輩も居なくなっちゃうし」

 お店に入って、私、ホタテのピラフを選んだ。早坂さんも同じものと、ジンジャーエールを頼んでくれていた。

「すずりさん そんなに、固くならないでくださいよ 何か、独りでぶつぶつ言ってたけど 本当に申し訳ない こんなつもりでは、なかったのですが」

「ごめんなさい 私 早坂さんって 真面目で、安心した」と、少し、笑った。

「ああ 笑ってくれた! その方が、可愛いよ」と言ってくれて、少し、緊張がほぐれていった。 

「早坂さんは、すれ違うと、いつも足早で・・そんなに、お忙しいんですか?」

「あぁ そうかな、なんか、歩いているのって時間がもったいなくてね そう見えたかな 事務所では、いつも、ぼーっと、しているよ 窓から、外を見たりしてね」

 その時、私、少し声を出して笑ったもんだから

「その笑顔、素敵だなぁ 可愛いよ すましていると、何だか、美人すぎてね 近寄りがたい」

「有難うございます 私 そんなにすましています?」

「うーん なんか、影があった 最近、雰囲気が和やかになったんだけど、なんかあった?」

「私 そんな感じだったんだ 実はね、相棒ってか、帰ってきたんです」

「それは、彼氏? かな」

「いいえ 違いますよー 何だろうなー 秘密です そのうち、お話します」

「そうかー 彼氏でなくて、安心したよ」

 お昼ごはんを済ませて、今度は、少し並んで歩いた。趣味のことなんかも、聞かれたりして、親しみやすくなったからだ。会社の前で、別れる時

「又、食事付き合ってくれると嬉しいな」って言われて

「ハイ」って応えてしまった。どうしょうと思いながら、事務所に戻ると

「響先輩 ひどいー いなくなってしまってー」

「ごめんね でも、良い人だったでしょうー」と、先輩はなんでも無かったかのように

「ぇぇ まぁ 素敵でした」と、私は、小さく返事した。本当は、もっと好感を持てていたのだ。

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