私の中にあの猫がいる

すんのはじめ

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第3章

3-5

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 その日は、なずなとご飯の約束をしていて、元町の駅で待ち合わせをしていたのだが、急に仕事が伸びてしまって来れないと連絡が入った。

 仕方ないので、私は、その場で少し思案していたら、

「ねぇ 左近じゃぁない? やっぱり、左近すずりだよね」と、男の人が馴れ馴れしく声を掛けて来た。私は、そっちを見て・・誰だか、わからないまま

「・・・えーと・・・」

「だよね 可愛いから、すぐにわかったよ 俺だよ 俺 上杉雅人 高校の時同級生だったろ」

「あぁ あぁ 上杉君」

「そう 思いだしてくれた? どうしたんだよ さっきから、ぼーっとしてたよ」

「えー 見てたの? なずなと待ち合わせしてたんだけど、急にふられちゃった」

「そうか 俺もな さっき、馬鹿な女にふられたとこなんだよ せっかく、ディナーの約束してたんだけど、俺が、港のホテルに行こうって、言ったらな 私はそんな軽い女じゃぁありませんって帰っちゃったんだ 勘違いしてんだよな 俺は、あのホテルのフレンチって思ってただけなのに・・」

「うふっ 見た目で判断されたんじゃぁない?」確かに、チャラチャラしてるみたいなんだもの

「それ どういう意味だよー でも、あわよくばって、思ってたけどな」

「うん 正直でよろしい」と、私、少し浮かれていた。可愛いって言われたから・・。

「そうだ 左近さー 一緒に飯食いに行かない? 金はあるからおごるよー」

「うーん どうしょうかなぁー」

「いいじゃん なずなとそのつもりだったんだろー 左近 何食べたい?」

「えーと お肉」と、言ってしまった。

「わかった じゃぁ 行こう」決められてしまった。と、背中に手を添えられて・・。元町の古くからあるステーキハウスに連れられて行ったのだ。

「なんでも、好きな物 選べよ 遠慮しないでいいよ 今夜は、そのつもりだったから それに、左近みたいな可愛い娘と一緒出来て、ラッキーだもんな」

「そんなー 本当に良いの? 悪いみたいだしー」

「いいよ いいよ 俺 高校の時 左近のこと、良いなぁーって思ってたんだぜー だけど、お前って いつも、キリリとしていて、男を寄せ付けない感じで、声掛けれなかったんだよ 今日は、神様の思し召しだなー これって、運命だよ」

「そんなー 大袈裟よ でも、帰っちゃった女の人に悪いわねー」

「いいんだよ ちょっとした知り合いだけだから あの馬鹿女 調子に乗りやがって でも、お陰であこがれのすずりちゃんと一緒できて、感謝だよ」

「うふっ そんなに褒められたら、女って弱いのよねー いつも そんな調子なの? ねぇ 上杉君って 今、お仕事何してんの?」

「そーだな 宝石売ってるんだ お金持ちにな 調子いいよ」

「そう 調子いいんだぁ 売れるもんなんだね」

 私達は、帰るとこが同じ駅なので、一緒に電車に乗ることになった。横断歩道を渡る時などに、上杉君が、私の腰に軽く手を添えるようにしてくるのが、気になっていたが、舜がしていたのはこういう風だったんかなと思いながら、任せていた。

 電車の中でも、並んで座っていたんだけど、どうも、太腿を寄せて来るんで、私は嫌な感じだったんだ。だけど、他の人も居るし・・。

 駅を降りた時も送って行くよと、しつこく付いてきた。そして、坂の下の公園にさしかかって、私は、もうここで良いからと言おうと思った時、私の腰を引き寄せて

「すずりちゃん 俺と付き合ってくれ 好きなんだよ」

「うー 待って 私は・・そんな・・ ごめんなさい」と・・。だけど、無理やり肩を抱き寄せられて・・唇が迫ってきた。その時 !

「シャー フンガー」

「ア 痛いー なんだー 今の声 何なんだー」と、ほっぺを押さえていた。

「どうかした? あのね 上杉君 良い人なんだけど、私、お付き合いできませんから」

「うん なんかー でもなー」

「フガー」と、又、低い声で・・

「すずりちゃん 俺 どうも、祟られているみたい 寒気してきたし・・ じゃあな」と、足早に帰って行った。

「プチ やりすぎだったんじゃぁない?」

「許せないだろう すずりちゃんだって、さっきから嫌だったんだろう?」

「うん 鳥肌立っていた 私って 嫌な女なのかなー お金 使わせてしまって・・」

「良いんじゃぁ無いの― 向こうだって、楽しそうだったから だけど、すずりちゃんはそんな簡単な女じゃないよ もっと、スマートになれよと、あいつに言いたいよ」

「プチったら 私より、厳しいかもね」
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