彼は いつから私の彼氏? 好きと感じた時から・・・でも、別の道を進むねん

すんのはじめ

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第8章

8-3

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 連休が明けて、キャプテン若葉で練習が始まった。と言っても、若葉の掛け声だけが響いて、これまでとたいして変わらない。しいて言えば1年生が混じって、練習するようになっただけで・・・私なら、練習前のランニングはジャンプしながらするとか、メンバーを1軍2軍3軍に別けて、各自の胸に青黄赤の印をするとか・・・勝手なことを想像していた。だけど若葉の場合には、きっと 思っても胸に収めて慎重にことを進めるのだろう。

 数日後、石切コーチに呼び止められて

「香の動きが良くなって 腕の振りも違ってきたのよー スマッシュも水澄に似てるみたい 何か ハッパ掛けたの?」

「みたいですね 香も目覚めたんじゃぁないですかー」と、とぼけていたんだけど、香は私達の言ったことを忠実にやりだしたのだ。

「コーチが 香は動きが良くなったって褒めてたわよー」と、帰りの電車で香に言うと

「うん 自分でもわかる この前 4人で合宿したお陰やー でも 3人について行くのって しんどいけどなー」

 でも、これで何とか4人揃って、大阪大会、全中といけるようになってきたと実感していたのだ。

「ねぇ これっ 見て!」と、香は携帯を見せてきて (練習大変だろうけど がんばれ! 応援してるよ! 香が試合で跳ねているのを見るの楽しみだよ それと、今度の日曜 クリームコロッケだろう? これも楽しみにしている) 一真さんからのラインなのだ。それもこの前の合宿の帰りなのだ。

「何よー これっ あの時の帰り? 送ってたの?」

「うん 一応 報告したんだぁー 応援してるよ だってー だから ♡ 返事したんだぁー」

「ああ そーですか! このクリームコロッケって 何?」

「今度の日曜日 作りに行くの 一真さんのために・・・」

「ふ~ん そんなの作れるんだぁー」

「お母さんに教えてもらいながらーネ」

「・・・お母さん? ・・・」

 結局、香には 私等の言葉より 一真さんの一言のほうが効き目あったみたいなのだ。

 日曜日、練習試合から帰ってきたお兄ちゃんの声で起された。朝、ジョギングをしてきた後、シャワーして全日本選手権のビデオを見ていて、そのまま寝入ってしまったのだ。

「水澄 なんて恰好で寝てるんやー 股 開いてよー 口はだらしなく開けてー 玄関の鍵だって開けっ放しやんかよー」

 私、ビデオ見ながら、片足をソファーの背もたれに乗せて見ていたものだからー。それに・・・ルームウェアの短パンなのだ。

「それと 短パンの奥に見えてるぞー レインボーカラーのパンツ」

 それでも、お兄ちゃんは私の脚をじぃ~っと見つめていたから

「なんなん お兄ちゃん そんな いゃーらしそうに見んとってーなー 私のパンツ 興味あるんかぁー?」

「ちゃう! 水澄 最近 太腿・・・逞しくなってきたなぁーって ちょっと前まで、折れてしまいそうなー」

「そーやろかー?」

「あぁ 完全に筋肉の塊がついているでー そらぁー 毎日 ステップ踏んで鍛えてるんやものなー 肩と腕も太くなった」

「えー どーしょう 美少女コンテストに出られへんやろかー」

「それは 水澄の目指しているもんとちゃうやろーぅ? その肉が少しでも胸のほうに付いたら良かったけどなー まぁ 美少女ボディビルダーには出れるかもなー」

「なんやねん! 私が一番気にしてることを・・・ うぅーぅ 晩ご飯 お兄ちゃんは みそ汁だけなー この前 お父さんがなー 自分はハイジャンプやってたって言ってたやろー お母さんも高校の時 ハンドボールやってたんやってー そやから 私がステップして脚強いのって お父さんとお母さんの遺伝やろーってさ!」

「うー 親父の遺伝なぁー・・・」

「あっ もう3時やんかー 仕込み しやなー お母さんからミートローフにしなさいって言われてるのー もう、こんな時間なんやー」

「水澄 ず~っと 寝てへんねんやろー? 昨日も 何時に寝た?」

「・・・3時か4時かなー」

「勉強してたんやろけどー お前 身体壊すでー 朝も 休みでも6時前に起きてるんやろー」

「平気やー 若いんやからー 4時間も寝れば」

「睡眠は大切なんやでー 大谷さんもゆうとるやないかー それに、若いうちの睡眠は脳にもお肌にも良い刺激を与えるんだってよー 4時間睡眠なんて 昔の話だよ」

「そんなことゆうけどなー 学校から帰って来て7時~7時半やろー それから、晩ご飯の支度して、食べ終わって、後片付けしたら10時やろー それから素振りとステップ横跳びトレーニングして、お風呂洗ってから、入って、ようやく11時頃から勉強やねん・・・3時頃になるヤン 朝は、朝ご飯に私等のお弁当やろー お母さんも居るけど手伝わなあかんヤン 5時半に起きやなー間に合わへんねんでー」

「水澄 そんなんやったんやー 2.3時間しか寝てへんねんやー いゃ すまん 知らなかった」

「う~ん でも 日曜日は時々 お昼寝 してるからー」

「わかった! 風呂洗いは俺がやる それと、朝はバタートーストとハム、ウインナーで良い 自分でやる 弁当も前の日におにぎりを3つあればいいよー おかずは要らん 空いた時間もっと寝るようにしろ!」

「う~ん 本当かなー」

「やるよ! 水澄の為だ それより 小腹 空いてるんだ 何か ないか?」

「お兄ちゃん! その一言が、私の時間を奪ってるのよーぉー さっき ゆうてたことと ぜんぜん ちゃうヤン」



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