彼は いつから私の彼氏? 好きと感じた時から・・・でも、別の道を進むねん

すんのはじめ

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第11章

11-6 忍埜山女学園の影

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「本堂監督は2月いっぱいで退職されました。後は、私が監督兼コーチでやって行きます。今までの監督の方針を引き継いでいくつもりですので、みんなも動揺すること無く、練習に集中するように!」と、3月に入ると石切コーチがみんなを集めて言ったのだ。みんなが驚きの声をあげていたが

「ウチ 監督にいつもアドバイスいただいてー・・・何でなんですか? そんな急に・・・」と、莉子が問うように言うと

「それはね・・・色々と事情があるのよ 大人のね まぁ みんなも驚いたでしょうけど、あなた達は眼の前のボールを打ち返すことに集中してちょうだい 練習は少し早いけど、今週いっぱいで休みにするわ 期末考査の準備してちょうだい それと、今年の春合宿は少し早い目で3月28日から4泊5日 1日長くなるのよ でも、学校からの補助金 増やしてもらうから 個人の負担は少なくなるの」

 もっと、前に知っていれば、送別会とかやったのに、知らないうちに居なくなってしまった。私達に何の説明も無く。そんな 関わりでしかなかったのかと、私にはショックだったのだ。

 それから、1週間程して、私が夕方学校から帰ると、玄関にお客様の靴が男物2足。お母さんから、リビングに呼ばれて

「水澄ちゃん こちら 忍埜山女学園の人 水澄ちゃんにお話があるんだって ここに 座ってちょうだい」

 私は、頭を下げて・・・名刺を見ると、事務長という人と運動部部長という人なのだ。

「今日 お邪魔させていただきましたのは 水澄さんに ぜひウチの学園でプレーをしていただけないかと 突然で 誠に申し訳ないんですが うちも 今 運動部にチカラを入れてまして 選手達にとっては いい環境でプレーしていただけると思っているのです 理事長も前向きに、良い選手を招いてと取り組んでいるんです お母様には さき程 転校の環境とか条件をご説明させていただきました」と、その運動部部長という人が私に向かって話をしてきた。

「あのー 卓球ですか?」

「はい! 卓球部には特にチカラを入れてまして、今年の高校の進学時には、各地から有力選手に入園していただくことが決まっております。寮のほうも清潔な部屋を完備しておりまして、全室個室です。中学生の方も、今年の全中制覇を目指してまして、来年の高校総体優勝に繋げたいと思っております」

「はあ・・・ でも・・・私は 今年 全中2連覇するんです」

「その 去年の全中優勝のメンバーの方にもお声がけしております お名前は出せませんがー 準優勝の学校の方にも 前向きに考えると言っていただいております 水澄さんにも ぜひ 来ていただいて、中心になっていただいて、みんなを引っ張っていただければと思います 我が学園は全国でも圧倒的に強力なチームを結成することが目標なんです できれば、今年の全中優勝をと」

「・・・あのねぇー 私達は結束の強い仲間なの そんな話にフラつくような子は居りません それに、監督とかコーチに 何にも知らない私を指導してくれて みんなが、ここまで来たの! 辛いことがあったけど・・・努力して・・・だから、勝った 喜びがあるのよ そんな 強い人を集めて、勝ったって 嬉しくもなんにもないわ! 勝って当たり前の試合をして 何が嬉しいのよ! 選手の気持ち わかってないわ!」

「はぁ さすが 太子女学園だ 素晴らしい意思を持ってらっしゃる だけど、名前は 今 言えませんが さる有名中学の監督をされてた方にも お声掛けしてましてね その方が来られたら、選手の方々も今よりもず~っと成長できると思いますよ 考えてみてもらえないですかねー お母様には、ご説明させていただきました。 失礼とは思いましたが ご両親への経済的なものも、ご負担が楽になると思いますよ これから、大学進学まで、ずいぶん 教育費も掛かりますからね」

 私は、お母さんの顔を見たが、顔を傾げていて、どういう風に思っているのかわからなかった。それよりも、本堂監督のことが・・・あの人 ここに行くのかしら・・・それで、私達を裏切って・・・だから、突然と消えてしまったのかしら。

「とにかく! 私は 私を育ててくれた 今の太子女学園が好きですし、うちのクラブの部員達も誰ひとりとして、お宅の学校に行く人はいないと思います! 私達はお金では買えない物を教えてもらってるんです そして、絶対に全中では2連覇するんですから・・・ 失礼ですが もう 私には 声を掛けないでください! 私は本堂監督に一から指導して育てていただきました 感謝していますし、そんな外来種みたいな人には絶対に負けませんと その監督さんにも、言っておいてください 失礼します」と、私は2階に駆け上がって行った。

 あの人達が帰って行ったのを見計らって、着替えて降りて行くと、お兄ちゃんが

「水澄 すごい啖呵切っていたなー お母さんとも 話し合っていたんだが お母さんの娘は何者なんだよーってな」

「お母さん ごめんなさい 待遇面で学費とかいろんなとこが助かるんだろうけど・・・」

「いいのよ もともと 覚悟してることだからー それよりも 水澄ちゃんが 自分の考え方をしっかり持っていてくれて 堂々と意見を言えるって すごく成長したんだって 嬉しいわ!」

「ありがとう お母さん それにしてもさー あいつ等 お母さんのお休みの日を調べて、私も早く帰ってくるの調べて来たんだよー いくら 仕事だって言っても 上から命令されたんだろうけど・・・私達の気持ちも考えないようにして・・・悲しいね 大人の事情って」

「水澄ちゃん 何かあったの? 感傷的になって」

「うん お世話になってきた監督さんが2月いっぱいで 急に辞めちゃったんだよね 大人の事情だって さっき 話に出てた監督さんって 本堂監督のことじゃぁないかなってー あんな人でも待遇面で考えちゃったのかしら」

「水澄 監督とか全国から優秀選手を招いているって言ってたけど 大丈夫なのか?  今年」と、あの人達が持ってきたカステラ饅頭を無神経にもほおばっていた。

「お兄ちゃん 私等は太子女学園の四天王だよ 最強に決まってるヤン 結束も固いんだよ!」
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