彼は いつから私の彼氏? 好きと感じた時から・・・でも、別の道を進むねん

すんのはじめ

文字の大きさ
95 / 96
第13章

しおりを挟む
 2週間後、退院の許可が降りたのだけど、私は もう 1週間 リハビリのことがあるので、退院を伸ばしていた。その間に、おばあちゃんが シジミの炊いたのを病院食はもの足りないだろうからと持ってきてくれたり、土日には翔琉、十蔵、智子が来てくれたり、みずき、瑠利も、香も一真さんと一緒に見舞ってくれたりしていた。

 私は、リハビリの先生が若い男の人で好感が持てるし、同じリハビリをやっている人で、大腿骨骨折をしたというおばぁさんとか、同じ靭帯断絶をしたという大学でラグビーをやっているという男の人とかとお友達になって、お互い励まし合って楽しく過ごしていたのだ。だけど、神様には 片方のオッパイならって言ったのにー 足は嫌やって言ったやんかー と 文句を言っていた。

 退院した夜は、うちで祝ってくれて、お父さんがスマホを見せてきて

「水澄すごいぞ (太子女学園のふたり 決勝戦すごい  神だ)(香月水澄さん 早く治して 又 元気な姿見せてください 私は あなたから 勇気貰ってます) (水澄 最後のスマッシュ あの球は私の希望です  頑張れる) とか 水澄を応援する言葉がなー みんな応援してくれてるぞー」

「そう だけど・・・私 もう・・・」涙も出て来ていたけど・・・もう 私 ダメかも・・・

「まぁ 今は ゆっくり 休んで リハビリをなー」 

 退院した後、膝は堅牢なサポーターをして、心元無いので松葉杖をしたまま 登校することにしていた。駅までは、お母さんが付き添ってくれて、それからは、みずきと瑠利に香も学校まで付き添ってくれていた。私には、校長先生に言いたいことがあったので、無理してでも学校に行きたかったのだ。

 途中、私の姿を見た学校の生徒から「がんばってください」「応援してます」とかの声を掛けられながら、ゆっくりと校門をくぐったのだ。とうぜん、クラスの皆からも拍手で迎えられて、私はお昼休みにクラブの仲間達と一緒に、職員室を通って先生方からの拍手で送られて校長室に入った。

「やぁ 出てきたか 良かった 良かった」と、迎えられて

「校長先生 ご心配お掛けいたしました。何とか 登校できるまでに・・・ 私達 校長先生にお聞きしてもらいたいことがあって来ました。私達の石切監督は、いつも みんなの体調に気を掛けながら指導してくださってます。私があんなことになったのは、私が強引に無理をお願いしたからなんです。監督が居られなければ、私達は優勝出来ていません。精神的にも強くしてくれました。日本一の監督さんです。来年も後輩達は、引き続けるでしょう それを証明しろっておしゃるんでしたら、私達5人 成績でも みんな5番以内目指します」

「いやー なんだ と思ったらー そんな無茶苦茶なこと言うなよー Sクラスも居るんやからー 君達が優秀なのはわかるけどなー いや 君達なら 本当にやるかも知れないなー けど 色々と聞いてみるとな 石切監督も予選の時から、苦心して闘ったみたいだなー 君達の体調も考えてー 君達の言いたいことはわかった 石切監督にはワシのほうから敬意を伝えるよ 同時に素晴らしい生徒を育ててくれてありがとう これからもよろしく頼む ともな そうだ 君宛ての手紙を預かっている 封は開けてないぞ おそらく励ましの手紙だろう」

 と、手紙の束を渡された。全国の人からのハガキだった。中には封書も・・・応援と励ましのメーッセージが描かれていた。小学生らしき子からも・・・

 休憩時間には、同級生とか下級生とかから、サインとか写メを頼まれていて、サインまでは出来ないけど、撮影には応じていたのだ。

 そして、放課後の練習に顔を出して、みんなに心配掛けたことの挨拶をして、しばらく練習を見ていたのだけど・・・莉子の新キャプテンのもと、元気な声が聞こえていて、3年生の中でも花梨だけは参加していた。私は、そのうち 一緒に動けない自分に耐えきれなくなってきて、花梨に帰ると伝えていた。

「そう みずきに一緒に帰るように言おうか?」

「ううん 大丈夫 ゆっくり 帰るから ひとりで」と、言って帰ってきたのだ。家に帰って、励ましの手紙を眺めて、独りで泣いていた。その中には、全日本で活躍している人からもあった。私 応援してもらっても もう 前みたいに動けないかもーと・・・不安だった。

 数日後の放課後、私が帰ろうとすると花梨がやって来て

「水澄 帰るん?」

「うん リハビリに行かなきゃあーね」

「そう クラブにも顔出してよー 2年生を見て欲しい」

「だね でも・・・」

「ウチな 全日本ジュニァに出ようと思う 校長の意向もあるし 監督の立場もあるからな 大人の事情ってやつやー」

「そう 良いんじゃーぁ無い 頑張ってね」

「水澄 その後は ウチは待ってるでー 復帰するの また ペァでー」

「・・・花梨 私は もう 前みたいにステップ出来ひんかもしれん・・・ 以前と同じ状態まで戻すのは難しいって先生もゆうとるんやー 神様にそっぽ向かれたんやー」

「そんなこと無いやろー 水澄は今は 弱気になってるだけやって! 頑張れば・・・」

「もう あかん 神様に見放された気がする」

「なに アホなことゆうとるんやー 仮に左がアカンでも右足があるやろー それでもアカンかったら ウチがおるヤン カバーしたる! それが相棒やろぅ!」

「・・・花梨・・・オリンピック行くんやろー 私は、負担になりとー無い 頑張ってー ペァの相手は高校に行ったら見つかるってー 花梨にふさわしい子が」

「なに言い出すネン ウチの相棒は水澄しかおらへん ず~っとやってきたヤン 絆忘れたんかぁー 乳揉んだろうか?」

「もう ええねん やめてー ・・・ 花梨 あの決勝の前の晩 若葉は足を摩ってくれて、花梨は・・・私の胸を撫でててくれたやんかー あれは、私に 胸に向かって攻めてこいって 意味やったんやろー 私に優勝させようと・・・そやから、花梨との決勝で・・・今までもありがとう 夢の中に連れてきてもらってー 楽しかったよ」

「・・・ 水澄 そんなに根性無しやったんかぁー あんないっぱい 全国から水澄を応援してくれてるんやんかー 応えなあかんやろー ウチ等の絆って そんなにペラペラのもんやったんかぁー? 自分でも情けないワー ウチって・・・相棒やって・・・勝手に・・・ウチはなぁー 水澄が居るからオリンピックめざそうと思ったんやでー!  水澄と一緒にって・・・ ウチ アホやってんなぁー もう 知らんわー 勝手にいじけときぃーな! サ イ ナ ラ!」と、涙を拭きながら教室を出て行った。

 私だって、ず~と花梨とやって行きたいわよー でも・・・。独り 駅への道をよたよたと歩いて・・・涙が止まらなかった。花梨 絶対にオリンピックの夢 叶えてよね 花梨なら出れるわよー 私達 別々でも いつまでも相棒だよ 私は忘れないわ と 松葉杖を外して ゆっくりとでも、よろよろしながら駅に向かって自分の足で歩いていたのだ。涙が溢れていた。

 駅までは遠かったけど、このまま学校の体育館に続いてればいいのにと 花梨の居る体育館に戻れ・・・だけど、私の思いとは違って・・・涙に滲んで、駅が見えて来ていた・・・ふと 後ろから、声が聞こえたような・・・振り返ると 陽炎のように・・・花梨の姿が・・・だんだん 大きくなってきて・・・私も 引き寄せられるように 数歩・・・
 
   Did a great play!  Mizumi !


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

光のもとで2

葉野りるは
青春
一年の療養を経て高校へ入学した翠葉は「高校一年」という濃厚な時間を過ごし、 新たな気持ちで新学期を迎える。 好きな人と両思いにはなれたけれど、だからといって順風満帆にいくわけではないみたい。 少し環境が変わっただけで会う機会は減ってしまったし、気持ちがすれ違うことも多々。 それでも、同じ時間を過ごし共に歩めることに感謝を……。 この世界には当たり前のことなどひとつもなく、あるのは光のような奇跡だけだから。 何か問題が起きたとしても、一つひとつ乗り越えて行きたい―― (10万文字を一冊として、文庫本10冊ほどの長さです)

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

処理中です...