それから 本町絢と水島基は

すんのはじめ

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第1章

1-7

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 水泳部の新入生歓迎会が市内の海鮮居酒屋でしていて、僕は、そこに居た。僕は、入学式の時のことがあったので、酒の印象良くなかったから、先輩から勧められても、ほどほどに交わしていた。同級生の慎二は調子よくやっていたし、同じく海洋の松田美波も平気で飲んでいた。自己紹介の時に、地元出身で漁師の家と言っていたのを思い出した。

 隣の部屋は、サッカー部で、かなり騒々しく、盛り上がっている。団体競技と、どちらかと言うと個人では、連帯感が違うのかなと思うぐらい、むこうに比べて、こっちは静かだ。女子が数人居るにもかかわらず。逆に言うと、そのせいかな。

 盛り上がりに欠けているせいか、話題が、3回生の桂川音海の話になった。先輩連中の何人かが、アタックしていった時の、成り行きの話をそれぞれしていた。彼女は今年から、地元のTV局でキャスターとして出るらしい。

「去年の今頃、俺は、彼女が独りで歩いていたので、話しかけて友達になってくれと言ったら、良いですよという返事で、喜んでいたのに、一週間ぐらい後、話かけたら、誰でしたっけとか言われた。八方美人ってあんなのを言うんだろうな」と先輩の一人がグチっていた。

 別の人の話も似たり寄ったりで、あんまり、彼女の評判は良くない。今年の新入生は豊作だよなとか言っているのも聞こえた。

「音海って、観光協会のポスターの話もあるらしいぞ。スターだからな。美波ちやん、どう思う」

「私みたいな雑な女に言い寄って来る男の人は居ませんから、わかりません。でも、私なら、もっと男を大事にしちょるなぁ」さばさばした娘だ。

 最後は、桂川音海の話で済んで、絢のことにまで及ばなかったのは、みんなが僕に気を使ってくれたのか、気にしすぎることじゃぁないのかな・・。

 同じ寮なので、慎二と帰っていたら、肩を組んできた、酔っているようだ

「なぁ もとし 本町絢と吉野茜は良い娘だよな 二人とも、気立て良くて、明るくて 俺たちのアイドルみたいなもんだ お前、絢ちゃんを大事にしろよな」

 あれ以来、昼休みに5人で居ることが、ちょくちょくあり、こんな風に言っているのだろう。でも、こいつは良い奴だなぁ 僕は、ここに来ての初めての親友のような気がしていた。
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