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第5章
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我が家も新年を迎えていた。朝早くから、着物姿でお母さんがキッチンで動き回っていたので、私
「なにしたら えぇ?」
「今朝は、座敷だから、お皿とか、もう、おせちのお重もいいから運んで」
昨日は、一日中、おせち料理の準備を手伝っていた。じつは、私、こんなお料理手伝うの初めてだった。今まで、ずーと知らんぷりしていたけど、そろそろ、知っておかなきゃって思ったから。煮物とか鰤の照り焼きとか、でも、お母さんはもっと前の日から、下ごしらえしていたんだと初めて知った。私、知らないことばっかで・・。
お兄ちゃんは、明け方帰ってきて、今、お風呂に入っている。大晦日は、お客さんが居るから、午前3時まで店を開けると言っていた。今日は、お休みだけど、明日からお店を開けるらしい。お店が軌道に乗ってきたので、頑張っている。
「絢ちやん、運んだら、お餅焼いて そこの電熱器でね お餅、その紙の箱 粉をよくはたいてね 「旭屋」さんのだから、粉が付いているのよ」
「わかった いくつ?」
「お父さんは一つ、お母さんは二つ、あとは、紳とあなたの分」
「お兄ちゃん、幾つかなぁ そー言えば、あの人、お餅って久しぶりなんじゃぁないのかな」
「絢ちゃん、焦がさないように、しょっちゅうひっくり返していないとダメよ 膨らんできたら、少し、焦げめをつけてね あの人、焼き方にうるさいんだから・・」
「そーなん お母さんも、そんなことでも、苦労してんだね」
「ほらっ 煙出てるわよ 焦がしちゃダメだって 手、やけどしないようにね 紳に幾つか聞いて来るわね 焼けたら、この蓋付きの鍋の中に入れといて」
私、今まで、元旦も、ぼー っとしてたけど、お母さん、こんなこと一人でやってたんだ。会社のことも忙しかったはずなのに・・。私に、手伝えなんて、一言も言わなかった。「ありがとう お母さん」 向こうの家では、お姉ちゃんが、当たり前のように、台所にいつも立っている。私、何にもできない。ガンバロー!
「絢 なにボーっとしてるの 紳は5つだって でも4つで良いよ 焼けたら あなた、その恰好じゃあね もう少しましなのに着替えてらっしゃい」
私、ボァボァのタオル地の上下着てたんだけど、「これじゃぁ駄目かぁー 可愛いんだけどな 去年もスェットの上下だったんだけどなぁ なんか、今年はお父さんも気合が入ってんのかな」
白いブラウスにベスト、ロイヤルブルーのチェックのプリーツスカートにして、髪の毛を整えて出て行った。お父さんも着物着て座っていたけど、お兄ちゃんなんか、スェットスーツやんか!! まして「暑い 暑い」って、上を脱いで、Tシャツ1枚になっていた。
「あけましておめでとう こうやって、みんなが揃うのは、何年ぶりだろう やっぱり、うれしいぞ」
と言って、みんなにお屠蘇だからと注いでいた。みんなは、当たり前のようにしているけど、私、おそるおそる飲んでみた。しばらくして、喉の奥から、熱くなって、あわててお雑煮を食べ出した。
お兄ちゃんも、お雑煮を食べて、お重のものをつまんでいたけど
「うまいなぁ この味 忘れていたよ おやじ ビール飲んで良いか?」
お母さんは、直ぐにビールを取りに行ったみたい。私は、お父さんにお酌をしたら
「おぉ 絢にお酌してもらえるなんて、思ってもみなかった 感激だよ なあ紳?」
「おやじにとったら、絢は宝だもんな」
「そうだけど、ワシは家族みんな宝だと思っているし、社員のみんなもな」
「後で、初詣行くのよ 絢ちゃんも、着物作ったから、着てってね」
「俺は、リタイヤする。少し寝かせて みんなで行ってきてよ」とお兄ちゃんは逃げた。
「なにしたら えぇ?」
「今朝は、座敷だから、お皿とか、もう、おせちのお重もいいから運んで」
昨日は、一日中、おせち料理の準備を手伝っていた。じつは、私、こんなお料理手伝うの初めてだった。今まで、ずーと知らんぷりしていたけど、そろそろ、知っておかなきゃって思ったから。煮物とか鰤の照り焼きとか、でも、お母さんはもっと前の日から、下ごしらえしていたんだと初めて知った。私、知らないことばっかで・・。
お兄ちゃんは、明け方帰ってきて、今、お風呂に入っている。大晦日は、お客さんが居るから、午前3時まで店を開けると言っていた。今日は、お休みだけど、明日からお店を開けるらしい。お店が軌道に乗ってきたので、頑張っている。
「絢ちやん、運んだら、お餅焼いて そこの電熱器でね お餅、その紙の箱 粉をよくはたいてね 「旭屋」さんのだから、粉が付いているのよ」
「わかった いくつ?」
「お父さんは一つ、お母さんは二つ、あとは、紳とあなたの分」
「お兄ちゃん、幾つかなぁ そー言えば、あの人、お餅って久しぶりなんじゃぁないのかな」
「絢ちゃん、焦がさないように、しょっちゅうひっくり返していないとダメよ 膨らんできたら、少し、焦げめをつけてね あの人、焼き方にうるさいんだから・・」
「そーなん お母さんも、そんなことでも、苦労してんだね」
「ほらっ 煙出てるわよ 焦がしちゃダメだって 手、やけどしないようにね 紳に幾つか聞いて来るわね 焼けたら、この蓋付きの鍋の中に入れといて」
私、今まで、元旦も、ぼー っとしてたけど、お母さん、こんなこと一人でやってたんだ。会社のことも忙しかったはずなのに・・。私に、手伝えなんて、一言も言わなかった。「ありがとう お母さん」 向こうの家では、お姉ちゃんが、当たり前のように、台所にいつも立っている。私、何にもできない。ガンバロー!
「絢 なにボーっとしてるの 紳は5つだって でも4つで良いよ 焼けたら あなた、その恰好じゃあね もう少しましなのに着替えてらっしゃい」
私、ボァボァのタオル地の上下着てたんだけど、「これじゃぁ駄目かぁー 可愛いんだけどな 去年もスェットの上下だったんだけどなぁ なんか、今年はお父さんも気合が入ってんのかな」
白いブラウスにベスト、ロイヤルブルーのチェックのプリーツスカートにして、髪の毛を整えて出て行った。お父さんも着物着て座っていたけど、お兄ちゃんなんか、スェットスーツやんか!! まして「暑い 暑い」って、上を脱いで、Tシャツ1枚になっていた。
「あけましておめでとう こうやって、みんなが揃うのは、何年ぶりだろう やっぱり、うれしいぞ」
と言って、みんなにお屠蘇だからと注いでいた。みんなは、当たり前のようにしているけど、私、おそるおそる飲んでみた。しばらくして、喉の奥から、熱くなって、あわててお雑煮を食べ出した。
お兄ちゃんも、お雑煮を食べて、お重のものをつまんでいたけど
「うまいなぁ この味 忘れていたよ おやじ ビール飲んで良いか?」
お母さんは、直ぐにビールを取りに行ったみたい。私は、お父さんにお酌をしたら
「おぉ 絢にお酌してもらえるなんて、思ってもみなかった 感激だよ なあ紳?」
「おやじにとったら、絢は宝だもんな」
「そうだけど、ワシは家族みんな宝だと思っているし、社員のみんなもな」
「後で、初詣行くのよ 絢ちゃんも、着物作ったから、着てってね」
「俺は、リタイヤする。少し寝かせて みんなで行ってきてよ」とお兄ちゃんは逃げた。
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