それから 本町絢と水島基は

すんのはじめ

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第6章

6-3

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 慎二が缶ビールを下げてきて

「モトシ ちょっと付き合えよ 表で飲もうぜ」

 僕らは、構内にある水が出ていない噴水の縁に座って、始めた。

「俺な 美波と付き合おうかと迷っているんだ。ただな、あいつには、全然、性的なものは感じないんだけど、一緒に居ると気が楽なんだよ。今まで、そんなんじゃぁ悪いかなって、思っていたんだけど、あいつに告白されてな」

「それは、わかる気がするけど・・返事したのか?」

「いや 誤魔化した モトシ、どう思う? 女を感じないなんて、言われたら、あいつ、傷つくやろー だから、どう言えば良いかなって、迷ってる。 普通に付き合う分には良いんだけど、向こうにしたら、男と女の間で、手も出さない訳にいかないやろー」

「うーん どうかな 美波も一応、女の子だからなぁー 意識するやろな でも、あいつの場合、想像つかんけどな でも、女らしいところもあるけどー」

「そうかー 俺の頭中では、女じゃ無いんだよ」

「でも、美波は今まで見てきた男の中で、慎二に告白までしたっていうのは、よっぽど、慎二に何かを感じているんだろうよ。詩織ちゃんも、お前のこと、気になっているって、知ってる?  あのさー、前から、ちょっと気になってるんだけど、女に対して何かあるのかー? 何か、女にもてる割には、控え目だよな」

「そんなことないよー 色んな女の子のこと、直ぐに好きになるよ 俺は・・・」

「うそつけー 言うだけやんか 最初、僕もこいつはチャラチャラしてるなって思ったけど、違うよな 無理やり、言うだけ 何かあるやろー」

「モトシに秘密持ちたくないから、話すけどな 俺は、好きな女性がいる。高校の1年先輩でな、告白したんやけど、相手にされなかってな、向こうには、もう好きな男がいたんや。相手は社会人でな、彼女、大学に入学して、直ぐに同棲したんだけど、半年ぐらいで捨てられてな。その時には、妊娠していたんだ。彼女は、同棲した時に、家から勘当されてて、男にも言わず、自分で育てると言っていたんだ。でも、今でも、俺はその人のことが忘れられないんだ。女神みたいに思っている」

「慎二が惚れるんだから、素敵な人なんだろうな 今でもなんか?」

「うん 今でもな 綺麗でな、誰に対しても、笑顔で優しくて・・俺が、告白した時も、(ごめんなさい、本当にごめんなさい、こんな私でも、ありがとうございます)と謝ってくれてな」

「なんで、そんな人がひどい男と一緒になったんだ」

「彼女が、高校3年生の時付き合いだして、やられちまったみたいで、そのままずるずると言う感じらしい 相手が大人だと思って、魅かれたんだろうな 自分でも見る目がなかったと言っていた」

「女って、思い詰めると怖いな」

「で、まだあるんだ。俺が、3年の夏だった。彼女のアパート訪ねたんだ。近所のスーパーでバイトしてるって言ってたけど、あの美人がやつれててな。でも・・・誘ってくれてな、これぐらいしか、あげるものないからって。俺、初めてだったから、直ぐに、中で終わってしまって」

「したのかー それが想い出になってるんか」

「そーなんだ 去年の夏も訪ねたんだけど、会えなくて、正月にも行ってみたんだ。彼女はアパートに居て、迎え入れてくれたんだ。なんとか、やっているって言ってた。前みたいに綺麗で・・俺、金に苦労してるだろうなって、バイト代持ってたんだけど、叱られた。(貰う筋合い無い)ってな。けれど(本当に私のこと思ってくれているから)って、抱かしてくれた。今度は、いろいろと女の扱い方を教えてくれて、夢心地だったよ。俺は、卒業したら、結婚して欲しい って言ったら (私は100%全力で、この子を育てるの。父親は要らない。今のは、入学祝い。貴方は、こんな使い古しじゃぁ無くて、もっと理想の女の子見つけなさい。ちゃんと卒業しなさいよ。もう、今日限りで会いに来ないで)と言われたんだ」

「慎二、なんか、すごい経験してるんだなぁー だから、人の気持ちを考えてくれるんだ」

「そんなことないけど 彼女の気持ちを考えると、もう、これ以上、踏み込めないなって思った。もう、忘れようと、努力する」

「うん 僕には、よく解らないけど、その人の生活は僕らとは、次元が違うと思う。もう、無理だよ 話してくれて、ありがとう、慎二」

「こんなこと、お前にしか話せないよ すっきりしたよ お前も隠し事するなよ」

「僕は、なんにもないよ」

「俺、駅弁の配達のバイトしてるだろぉー 藤や商店って、確か絢ちゃんの知り合いだろう?」

「わかった 慎二の言いたいのは あれは隠しているんじゃあなくて、絢の内緒事なんだ」

「やっぱりか 似てるなって思ってたけど 内緒なんか 解ったよ でも、あんな子が近くに居たなんてなー」

 それより、美波のことは、どうすんだよー
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