それから 本町絢と水島基は

すんのはじめ

文字の大きさ
34 / 80
第6章

6-3

しおりを挟む
 慎二が缶ビールを下げてきて

「モトシ ちょっと付き合えよ 表で飲もうぜ」

 僕らは、構内にある水が出ていない噴水の縁に座って、始めた。

「俺な 美波と付き合おうかと迷っているんだ。ただな、あいつには、全然、性的なものは感じないんだけど、一緒に居ると気が楽なんだよ。今まで、そんなんじゃぁ悪いかなって、思っていたんだけど、あいつに告白されてな」

「それは、わかる気がするけど・・返事したのか?」

「いや 誤魔化した モトシ、どう思う? 女を感じないなんて、言われたら、あいつ、傷つくやろー だから、どう言えば良いかなって、迷ってる。 普通に付き合う分には良いんだけど、向こうにしたら、男と女の間で、手も出さない訳にいかないやろー」

「うーん どうかな 美波も一応、女の子だからなぁー 意識するやろな でも、あいつの場合、想像つかんけどな でも、女らしいところもあるけどー」

「そうかー 俺の頭中では、女じゃ無いんだよ」

「でも、美波は今まで見てきた男の中で、慎二に告白までしたっていうのは、よっぽど、慎二に何かを感じているんだろうよ。詩織ちゃんも、お前のこと、気になっているって、知ってる?  あのさー、前から、ちょっと気になってるんだけど、女に対して何かあるのかー? 何か、女にもてる割には、控え目だよな」

「そんなことないよー 色んな女の子のこと、直ぐに好きになるよ 俺は・・・」

「うそつけー 言うだけやんか 最初、僕もこいつはチャラチャラしてるなって思ったけど、違うよな 無理やり、言うだけ 何かあるやろー」

「モトシに秘密持ちたくないから、話すけどな 俺は、好きな女性がいる。高校の1年先輩でな、告白したんやけど、相手にされなかってな、向こうには、もう好きな男がいたんや。相手は社会人でな、彼女、大学に入学して、直ぐに同棲したんだけど、半年ぐらいで捨てられてな。その時には、妊娠していたんだ。彼女は、同棲した時に、家から勘当されてて、男にも言わず、自分で育てると言っていたんだ。でも、今でも、俺はその人のことが忘れられないんだ。女神みたいに思っている」

「慎二が惚れるんだから、素敵な人なんだろうな 今でもなんか?」

「うん 今でもな 綺麗でな、誰に対しても、笑顔で優しくて・・俺が、告白した時も、(ごめんなさい、本当にごめんなさい、こんな私でも、ありがとうございます)と謝ってくれてな」

「なんで、そんな人がひどい男と一緒になったんだ」

「彼女が、高校3年生の時付き合いだして、やられちまったみたいで、そのままずるずると言う感じらしい 相手が大人だと思って、魅かれたんだろうな 自分でも見る目がなかったと言っていた」

「女って、思い詰めると怖いな」

「で、まだあるんだ。俺が、3年の夏だった。彼女のアパート訪ねたんだ。近所のスーパーでバイトしてるって言ってたけど、あの美人がやつれててな。でも・・・誘ってくれてな、これぐらいしか、あげるものないからって。俺、初めてだったから、直ぐに、中で終わってしまって」

「したのかー それが想い出になってるんか」

「そーなんだ 去年の夏も訪ねたんだけど、会えなくて、正月にも行ってみたんだ。彼女はアパートに居て、迎え入れてくれたんだ。なんとか、やっているって言ってた。前みたいに綺麗で・・俺、金に苦労してるだろうなって、バイト代持ってたんだけど、叱られた。(貰う筋合い無い)ってな。けれど(本当に私のこと思ってくれているから)って、抱かしてくれた。今度は、いろいろと女の扱い方を教えてくれて、夢心地だったよ。俺は、卒業したら、結婚して欲しい って言ったら (私は100%全力で、この子を育てるの。父親は要らない。今のは、入学祝い。貴方は、こんな使い古しじゃぁ無くて、もっと理想の女の子見つけなさい。ちゃんと卒業しなさいよ。もう、今日限りで会いに来ないで)と言われたんだ」

「慎二、なんか、すごい経験してるんだなぁー だから、人の気持ちを考えてくれるんだ」

「そんなことないけど 彼女の気持ちを考えると、もう、これ以上、踏み込めないなって思った。もう、忘れようと、努力する」

「うん 僕には、よく解らないけど、その人の生活は僕らとは、次元が違うと思う。もう、無理だよ 話してくれて、ありがとう、慎二」

「こんなこと、お前にしか話せないよ すっきりしたよ お前も隠し事するなよ」

「僕は、なんにもないよ」

「俺、駅弁の配達のバイトしてるだろぉー 藤や商店って、確か絢ちゃんの知り合いだろう?」

「わかった 慎二の言いたいのは あれは隠しているんじゃあなくて、絢の内緒事なんだ」

「やっぱりか 似てるなって思ってたけど 内緒なんか 解ったよ でも、あんな子が近くに居たなんてなー」

 それより、美波のことは、どうすんだよー
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

処理中です...