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第7章
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7時に絢はやってきた。去年より、いい場所を探そうといって、早目にしたのだ。去年も着ていた蛍とつゆ草の浴衣だったけど、帯が赤茶で違っているように思えた。向こう岸の公園の少し高くなっているところで、座ることにした。僕は、首から下げていたタオルを絢のお尻に敷くようにした。
「詩織がね 最近、理工の3年と付き合っているみたいなんだよね まだ、そんなでも無いみたいなんだけど あの子、慎二君のこと、気になってるみたいなんやけど、最近会うことも無いしね 女は会ってないと、だんだんね」
「慎二は詩織ちゃんのことは、良い子だとは思っているけど、多分、そこまでだよ あいつは 誰にでも」
「慎二君 好きな子いるの?」
「それはわからないけど 今は、縛られるのが嫌みたいだよ」
「モト君も 縛られるの嫌?」
「そんなー 僕は、手を離さないようにしているだけだよ」と、しっかり握り直した。
そのうち、始まりを告げる花火が上がり始めた。少しでも、よく見えるように、まだ移動している人達もいる。少しぐらい見えない部分があっても、良いじゃぁ無いかと思うんだが、多くの人はそうもいかないみたいだ。
始まると、去年よりは良く見えた。絢も歓声をあげていたが、途中、ポツンと
「こうやっているのって、幸せだよね ずーと、こうやって見られるといいね 場所変わっても」
それは、何となく、難しいことかもと、僕は感じていた。答えられなかった。
「モト君 どういうところに就職するか 決めているの?」
「うん 大体だけど、海洋生物を守る仕事なんかあるといいな、と思っている。うまい具合にあれば良いけど 絢のこともあるしな」
「ウチのことは、考えないでよー 負担になるの嫌だ ウチは何とかするわよ お願いだからね」
「うん まだ、何も、決まっている訳じゃぁないから その時、考えよー 絢 僕の前では、もう、モトシでいいよ 君は要らない」
花火が終わって、人の流れが少なくなるのを待って、僕達は、橋に向かった。市街地はどこも満席で、結局、ホットドッグとコーヒーを買って、公園で食べた。僕達は、いつもこんな感じだ。そして、いつものように、お城公園に歩いて行った。
どちらからともなく、公園の中を歩くようにしていた。木陰には、カップルが多く、歩きつづけていると
「あんなの 見られているみたいで、嫌」と、絢が言ったまま、出口まで来てしまった。
「残念 仕方ないよね 我慢 我慢」と言って、僕に向かって、チュッとしてきた。
その日は、結局、絢の家の近くまで送って行っただけだった。
「詩織がね 最近、理工の3年と付き合っているみたいなんだよね まだ、そんなでも無いみたいなんだけど あの子、慎二君のこと、気になってるみたいなんやけど、最近会うことも無いしね 女は会ってないと、だんだんね」
「慎二は詩織ちゃんのことは、良い子だとは思っているけど、多分、そこまでだよ あいつは 誰にでも」
「慎二君 好きな子いるの?」
「それはわからないけど 今は、縛られるのが嫌みたいだよ」
「モト君も 縛られるの嫌?」
「そんなー 僕は、手を離さないようにしているだけだよ」と、しっかり握り直した。
そのうち、始まりを告げる花火が上がり始めた。少しでも、よく見えるように、まだ移動している人達もいる。少しぐらい見えない部分があっても、良いじゃぁ無いかと思うんだが、多くの人はそうもいかないみたいだ。
始まると、去年よりは良く見えた。絢も歓声をあげていたが、途中、ポツンと
「こうやっているのって、幸せだよね ずーと、こうやって見られるといいね 場所変わっても」
それは、何となく、難しいことかもと、僕は感じていた。答えられなかった。
「モト君 どういうところに就職するか 決めているの?」
「うん 大体だけど、海洋生物を守る仕事なんかあるといいな、と思っている。うまい具合にあれば良いけど 絢のこともあるしな」
「ウチのことは、考えないでよー 負担になるの嫌だ ウチは何とかするわよ お願いだからね」
「うん まだ、何も、決まっている訳じゃぁないから その時、考えよー 絢 僕の前では、もう、モトシでいいよ 君は要らない」
花火が終わって、人の流れが少なくなるのを待って、僕達は、橋に向かった。市街地はどこも満席で、結局、ホットドッグとコーヒーを買って、公園で食べた。僕達は、いつもこんな感じだ。そして、いつものように、お城公園に歩いて行った。
どちらからともなく、公園の中を歩くようにしていた。木陰には、カップルが多く、歩きつづけていると
「あんなの 見られているみたいで、嫌」と、絢が言ったまま、出口まで来てしまった。
「残念 仕方ないよね 我慢 我慢」と言って、僕に向かって、チュッとしてきた。
その日は、結局、絢の家の近くまで送って行っただけだった。
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