それから 本町絢と水島基は

すんのはじめ

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第10章

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 大学対抗では、優勝したのは、慎二と美咲だけだった。美波は、バタフライに専念していのだが、100も200もタッチの差で2位に終わっていた。僕も、葵も宏美も2位だった。ただ、番外の混合リレーの女子は3チームの中では最終の美咲が頑張って、トップになった。

 宏美はよっぽど、悔しかったんだろう、レースが終わった後も着替えないで、裏で、泣いていた。葵がそばに付いていたから、僕達は、声もかけなかった。今年になって、他の者よりも、黙々と頑張って、独りでランニングなんかもこなしていたから、なおさらだろう。

 試合が終わった時、4人で集まっていて

「ほんと 2年の男、だらしないよね 二人とも、ビリだったじゃぁない。慎二もモトシも女の子にばっか、かまってるからよ 男なんだから、もっと 厳しくてもよかったんじゃあないの!」と、美波が痛烈なこと言ってきた。初めて、優勝出来なかったから、少し、イラついていたのかもしれない。

「でも、舞野は4位になったわよ 慎二が一生懸命教えていたし、未経験者なのに、すごいわよ」と、葵もかばってくれた。僕は、自分のことしか、やってなかったから、少し、救われた。

「次の部長はどうする? 」と慎二がみんなの顔を見ながら聞いてきた。

「実力からすると、美咲がダントツよね でも、ちょっと性格的に調子いいとこあるけどね」と、美波は言っていたが

「私は、周りを見ているのは、宏美だと思う。だけどね、この前、試合終わった後、側に行って声かけていたじゃあない その時ね、あの子、あんなに感情出したの初めてだよ でもね、何言っても応えないんだよ 自分の中で、押し殺しちゃって 私、背中をさするしかしてあげれなかった リーダーシップという点では ?マークかなー」

「葵 すまんな いつも、側に居る僕が、慰めるんかも でも、女の子だしな」

「モトシが行っていると、ややこしくなるから 葵で良かったんだよ」と、美波が言ってくれた。

「宏美はタイプ的に葵タイプだよな 葵より線が細いみたいだけど」と、慎二

「てもね あの子 最後に、私、体操部の練習にも参加します って 鍛えるみたいよ 私より、強いわよ」と、葵が言って、続けて

「私にはあなた達が居てくれたから、心強かったわよ それに、この頃、同じクラスだから、詩織が2・3人でいつも一緒に居てくれて、絢も茜も、授業一緒の時には駆け寄ってきてくれて いろいろ聞いてくれるし、楽しいのよ」と、葵が言っていたが、僕は、絢もやってくれているんだと思った。

「今年も、男はだめか 女性部長は碧先輩以来、伝統になりつつあるな」と、慎二は嘆いていた。

「やっぱり、僕は美咲が良いと思う 宏美では、付いていく方も大変だ 思い込みも激しすぎる」と、僕の意見を言った。

 みんなも、同じ意見だったけど、その次がもっと大変だと感じていた。今年の新入部員3人は、未経験者どころか、みんな水泳に取り組む奴なんか居ないからだ。体育系のクラブは、どこも部員が少なくなっていくので苦労してるんだ。団体競技はもっと厳しい。

 ― ― ― ☆ ☆ ☆ ― ― ―

 前期試験が始まる前に

「今年も、みんなで来るでしょ?」と、美波が聞いてきたが

「試験終わったら、僕は行きたいところあるから、今年は遠慮するよ」

「あぁ 俺も、パス 就活で行きたいと思ってるとこある」と、慎二も言ってきた。

「じゃあ 下の子達も多分、来ないわよ 部長の件、どうする 何時伝える?」と葵が心配していた。

「試験終わったら、ミーティング開こ それまでに、葵 美咲に打診できるか」と、慎二が提案した。

「うん なんとかね 説得しておくわ」

「美波は就職どうするんだ?」と、僕が聞くと

「うん この辺でいいところ探しているだけど 葵も地元で先生でしょ?」

「私 決めていない どこでも、いいんだ」と、その時 葵は慎二の方を見ていたのを、僕は見逃さなかった。

 - - - - - - - ☆ ☆ ☆ - - - - - - -

「絢 試験終わったら、独りで行ってみたいところがあるんや すまんが、今年は独りで、先に帰ってくれ」

「なんでー どこ行くの? 一緒に行ったらあかんの?」

「うん 帰ってきたら、ちゃんと話す それまで、我慢してくれ」

「サンゴの研究所に行くんやろ?」

「うん 絢は何でもお見通しなんやなー どんなことやっているのか、自分の眼で確認したいし、まだ、続くんかどうか 雇ってくれる可能性もあるのか」

「やっぱり、そうかぁー 南の島かぁー 元気で帰ってきてよ 海に沈んじゃあ嫌よ もう、ずーとあれしてないんやから 茜なんか、いつも・・・愛してもらってるてっよー」

「茜ちゃんは、就職どうするって」

「京都の採用試験受けるって 大阪にするかも知れんって 京都でも、田舎になると遠いからな でも、直ぐに結婚して、カメラ手伝うかもわからんって」

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