それから 本町絢と水島基は

すんのはじめ

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第10章

10-5

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 僕は、直接、伊丹空港に戻ってきたので、絢に連絡して梅田で待ち合わせた。絢は、ウェストの前をリボンで結んだ白い綿ワンピースでやってきた。遠くからでも、少し、走っているから、わかる。

「ごめんね ウチ あんまり、来たこと無いから、地図見ながらやってん」

 地下街の広場で待ち合わせたんだけど、なんとか、わかるだろうと思っていた。

「行きたいと思っていた所、あんまり、調子良く無いねん だから、方針変更で県の研究センターに行こうと思う。サンゴの研究も出来そうやし そのうち、元の所も、再開するかもしれないしな」

「そう ウチ モトシに付いて行って構わへんかな 仕事は、自分で考えるし」

「本当に良いのか? 金銭面では苦労すると思うよ 絢なら、もっと、条件の良い人見つけられると思うけど」

「なんで いまさら そんなこと言うの ウチは、そんなん、気にせーへん モトシの側に居られたら、幸せや 負担になるのは、嫌やけど モトシこそ、こんなにかわいい娘、手離したら、あかんやん」

「わかった もう、言わない じゃぁ、これから、それに向かって、準備するぞ」

「ウチも、色々と考えるわ」

「先生になるんじゃあないのか 夢だろう?」

「うん でも、色々とな あるねん」

「まぁ あんまり、無理すんなよ なんか 軽く食べようか あっちの串揚げ」

「うん いこー ウチ 串って初めてやー」

 絢は、ほんとうに一般的な食べ物って初めてなんだなぁ。いつものように「おいしそう」って声を出していた。僕達は、ビールも少し飲んで、階段を上って行った。もう、外は、陽が暮れていた。少し、歩くと

「モトシ 入るの? 」

 先には、少し、ネオンが明るい建物がある。絢の足が止まった。

「うん 今日は、絢を抱きたい あんまり、機会ないやろー してないって言ってたやん」

「うん でも ウチ あんなとこ、恥ずかしい」

「下向いて、付いて来ればいいねん 僕も、初めてやから」

「あんなー ウチ アレ始まるかも、しれへんでー そーしたら、ごめんやでー」

 それでも、僕はもう歩くのを止めないで、そこに、向かって行った。絢は、僕に、しがみついていた。

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