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第2章
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冬休みになって、珍しくお父さんが会社の休みの日でも家に居たので
「サダ クリスマスも近いし、今晩は皆で食べに行こうか?」と、本を読んでいた私に扉越しで声を掛けてきた。さっきから、ゴルフのビデオをしきりに見ていたのだが、飽きたのだろう。私は、会社の休みだって、ゴルフばっかりやって、殆ど家に居ないのに、たまにいると思ったら、お父さんのそんな姿がうっとおしかったのだ。私は、一人っ子で、お母さんも仕事しているから、普段は私一人のことが多いんだけど、今日みたいに3人が居ると、自分の部屋に閉じこもってしまうことにしていた。
私が部屋から出ると「あら、あら、これから、食事のお買い物に出ようと思っていたのに・・」と、お母さんは、口ではああ言っているが、もう、ドレッサーの前に座ろうとしていた。
「お父さん 私 お肉が良い」と、家の中では自分のことは私と言うようにしていた。前にお母さんからそういう風に言われていたのだ。ウチっていうのは下品でしょって
「そうかー じゃー 歩いてピノキオに行こう。そーしたら、お酒も飲めるしなー」
「うーん 少しあるなー お母さん 大丈夫?」
「仕方ないわね 私も 少し、いただきたいし・・車はダメね」
お父さんは、さっそく、電話で予約を入れていたみたいだった。だけど、混んでいるようで7時までに食べ終えてくださいと言われて、まだ、少し明るいうちに出た。
「ランプステーキ200gと鯛とツブ貝のカルパッチョ あと海老とホタテのパイ包み」
「おい おい サダ すごい食欲だなー 食べられるのかー?」
「ウン 普段はあんまり食べないからね それに、お昼 食べてないから」
お料理が並べられて、お父さんとお母さんは最初、ビール飲んでそれから二人でワインを飲んでいた。
「サダ 高校の友達 できたのか?」と、お父さんが聞いてきたら
「それがねー 仲のいい子って あんまり 評判良くない子なのよー」と、お母さんも横から言ってきた。
「そんなことないよ 気持ちいい子よ 気軽に話しかけてくれる」と、答えたんだけど
「だってさー 高校入って 服がなんだか派手になったし、スカートもだんだんと短くしちゃってね 心配よー」
私は、反論しないでおこうと思った。せっかく、家族そろっての食事なんだし、お母さんと言い合うのはまずいと感じていたのだ。こころの中では、確かに評判も悪いグループに入っているんだけど、みんな本当はやさしい人達なんだ。お母さんは知らないんだ。私が、クラスの中でもやっかいもの扱いされて除け者にされてても、普通に接してくれるんだものと、心の中では言い返していた。
「まぁ サダも今のうちだけだよ 可愛い服を選んでいてもいいじゃぁないか」
「そうね まぁ 成績も下がってないようだし・・優秀とも言えないけど、私の娘なんだから仕方ないかー」
「お母さん 成績良くなかったのー?」
「そんなことないわよ あなたよりマシだったわよ 真面目だったし」
「ところで サダ 男の子のほうはどうなんだ 誰かと付き合っているとか」
「そんなんいないわよ 安心して あなたの娘はブスで もてません」
「うー そうかー お父さんには、可愛く見えるんだけどなー 髪の毛だって、フランス人形みたいだし、眼も大きいし‥ まぁ そのうち サダをちゃんと見てくれる男も現れるよ」
「あのね サダちゃんはあなたの前では 可愛く見せてんのよ この子 眼付だって普段と違うようにしてるの 普段は睨みつけるようにしてるんだからー」と、お母さんは私の敵なのか・・。
私は、充君のことを思い出していた。みんなから、気持ち悪いって言われている私のこと、ちゃんと見てくれていたんだろうか・・私の思い過ごしかしら・・。あの時、バスに乗り込む彼の精悍な姿を思い浮かべていた。
― ― ― * * * ― ― ―
年が明けて、2月の終わり頃、茜さんの号令でグループの皆が集められていた。
「今日 集まったのは、ウチ等3年がもう直ぐ卒業する。だから、新しいリーダーを決めようと思ってな みんなから認められる子をね」と、茜さんがみんなを見回しながら言った。といっても、3年生は3人、2年生が4人、1年生は私と久美だけだった。
「最初に、推薦する子がいるんだったら、それぞれ言ってみな」と、続けた。
「十和」と、3年の一人が言うと、数人が拍手していた。
「あとはー?」と、茜さんが、又、みんなを見回して・・だけど、声が無くて
「あと 居ないんだっら ウチから・・・ サダを推薦する」と、
「えーー」と、何人かから・・驚きの声。しばらく、沈黙があって、十和姉さんが
「ウン ウチも推薦する」と、言いながら私に向かって拍手してきた。そうすると、2年生のみんなもつられて、後から拍手してきた。
「決まりね サダ 十和は補佐ってことで みんなも良いね!」と、茜さんは私に諭すように見つめてきた。観念しなさいと言っているようだった。私は、思わず ブルっと瞬間震えたと思う。
そのことがあってから、みんなが私のことを「サダ姉さん」と、呼ぶようになって、
「ねえ 十和姉さん みんな ウチのことサダ姉さんって呼ぶじゃない ウチ 上級生はなんとか姉さんやんかー 十和姉さんのことも・・ だから、サダ姉さんって・・なんかおかしないやろかー」と、十和姉さんに聞いてみた。
「かなー 可愛いやん 姉さんって」
「でも なんか ヤクザっぽい あんね 姉ちゃんじゃぁ ダメかなー」
「あのさー 幼稚園じゃない? 幼馴染とちゃうねんでー」
「でもね 仲間じゃない? みんな 仲良しグループでもええやん」
「・・・サダがリーダーなんやから 決めたら、ええねんけどな みんな戸惑うと思う」
「じゃあ 十和姉ちゃん」
「うぅー くすぐったい ウチの妹でも お姉て言ってんのやでー」
「サダ クリスマスも近いし、今晩は皆で食べに行こうか?」と、本を読んでいた私に扉越しで声を掛けてきた。さっきから、ゴルフのビデオをしきりに見ていたのだが、飽きたのだろう。私は、会社の休みだって、ゴルフばっかりやって、殆ど家に居ないのに、たまにいると思ったら、お父さんのそんな姿がうっとおしかったのだ。私は、一人っ子で、お母さんも仕事しているから、普段は私一人のことが多いんだけど、今日みたいに3人が居ると、自分の部屋に閉じこもってしまうことにしていた。
私が部屋から出ると「あら、あら、これから、食事のお買い物に出ようと思っていたのに・・」と、お母さんは、口ではああ言っているが、もう、ドレッサーの前に座ろうとしていた。
「お父さん 私 お肉が良い」と、家の中では自分のことは私と言うようにしていた。前にお母さんからそういう風に言われていたのだ。ウチっていうのは下品でしょって
「そうかー じゃー 歩いてピノキオに行こう。そーしたら、お酒も飲めるしなー」
「うーん 少しあるなー お母さん 大丈夫?」
「仕方ないわね 私も 少し、いただきたいし・・車はダメね」
お父さんは、さっそく、電話で予約を入れていたみたいだった。だけど、混んでいるようで7時までに食べ終えてくださいと言われて、まだ、少し明るいうちに出た。
「ランプステーキ200gと鯛とツブ貝のカルパッチョ あと海老とホタテのパイ包み」
「おい おい サダ すごい食欲だなー 食べられるのかー?」
「ウン 普段はあんまり食べないからね それに、お昼 食べてないから」
お料理が並べられて、お父さんとお母さんは最初、ビール飲んでそれから二人でワインを飲んでいた。
「サダ 高校の友達 できたのか?」と、お父さんが聞いてきたら
「それがねー 仲のいい子って あんまり 評判良くない子なのよー」と、お母さんも横から言ってきた。
「そんなことないよ 気持ちいい子よ 気軽に話しかけてくれる」と、答えたんだけど
「だってさー 高校入って 服がなんだか派手になったし、スカートもだんだんと短くしちゃってね 心配よー」
私は、反論しないでおこうと思った。せっかく、家族そろっての食事なんだし、お母さんと言い合うのはまずいと感じていたのだ。こころの中では、確かに評判も悪いグループに入っているんだけど、みんな本当はやさしい人達なんだ。お母さんは知らないんだ。私が、クラスの中でもやっかいもの扱いされて除け者にされてても、普通に接してくれるんだものと、心の中では言い返していた。
「まぁ サダも今のうちだけだよ 可愛い服を選んでいてもいいじゃぁないか」
「そうね まぁ 成績も下がってないようだし・・優秀とも言えないけど、私の娘なんだから仕方ないかー」
「お母さん 成績良くなかったのー?」
「そんなことないわよ あなたよりマシだったわよ 真面目だったし」
「ところで サダ 男の子のほうはどうなんだ 誰かと付き合っているとか」
「そんなんいないわよ 安心して あなたの娘はブスで もてません」
「うー そうかー お父さんには、可愛く見えるんだけどなー 髪の毛だって、フランス人形みたいだし、眼も大きいし‥ まぁ そのうち サダをちゃんと見てくれる男も現れるよ」
「あのね サダちゃんはあなたの前では 可愛く見せてんのよ この子 眼付だって普段と違うようにしてるの 普段は睨みつけるようにしてるんだからー」と、お母さんは私の敵なのか・・。
私は、充君のことを思い出していた。みんなから、気持ち悪いって言われている私のこと、ちゃんと見てくれていたんだろうか・・私の思い過ごしかしら・・。あの時、バスに乗り込む彼の精悍な姿を思い浮かべていた。
― ― ― * * * ― ― ―
年が明けて、2月の終わり頃、茜さんの号令でグループの皆が集められていた。
「今日 集まったのは、ウチ等3年がもう直ぐ卒業する。だから、新しいリーダーを決めようと思ってな みんなから認められる子をね」と、茜さんがみんなを見回しながら言った。といっても、3年生は3人、2年生が4人、1年生は私と久美だけだった。
「最初に、推薦する子がいるんだったら、それぞれ言ってみな」と、続けた。
「十和」と、3年の一人が言うと、数人が拍手していた。
「あとはー?」と、茜さんが、又、みんなを見回して・・だけど、声が無くて
「あと 居ないんだっら ウチから・・・ サダを推薦する」と、
「えーー」と、何人かから・・驚きの声。しばらく、沈黙があって、十和姉さんが
「ウン ウチも推薦する」と、言いながら私に向かって拍手してきた。そうすると、2年生のみんなもつられて、後から拍手してきた。
「決まりね サダ 十和は補佐ってことで みんなも良いね!」と、茜さんは私に諭すように見つめてきた。観念しなさいと言っているようだった。私は、思わず ブルっと瞬間震えたと思う。
そのことがあってから、みんなが私のことを「サダ姉さん」と、呼ぶようになって、
「ねえ 十和姉さん みんな ウチのことサダ姉さんって呼ぶじゃない ウチ 上級生はなんとか姉さんやんかー 十和姉さんのことも・・ だから、サダ姉さんって・・なんかおかしないやろかー」と、十和姉さんに聞いてみた。
「かなー 可愛いやん 姉さんって」
「でも なんか ヤクザっぽい あんね 姉ちゃんじゃぁ ダメかなー」
「あのさー 幼稚園じゃない? 幼馴染とちゃうねんでー」
「でもね 仲間じゃない? みんな 仲良しグループでもええやん」
「・・・サダがリーダーなんやから 決めたら、ええねんけどな みんな戸惑うと思う」
「じゃあ 十和姉ちゃん」
「うぅー くすぐったい ウチの妹でも お姉て言ってんのやでー」
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