まともに相手にしてもらえなくて・・ おまけにブスといわれて でも、好きなあの人と

すんのはじめ

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第5章

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 夏休みが終わろうかとしている時、講習中に久美からラインがきた。私は、無視をしていて、講習が終わった時に見ると「瑠衣が大変なんよ 東公園に来て」とあった。30分前の話なんだけど、塾を出て急いで行ってみると、久美と2年生の瑠衣が公園の屋根付きのベンチの下で並んで座っていた。

「ごめん 久美 講習中やったから・・遅くなってー」

「よかった 来てくれたんやー あんなー 瑠衣がなー イジメにあってなー」

 見ると瑠衣が下を見つめているが涙ぐんでいるようにも思えた。

「サダ姉さん 事情は瑠衣から聞いてー ウチ 自転車で来てるから、戻ってスカート取りに行ってくるわー」と、言うなり、久美は自転車置き場の方に走って行ってしまった。

「瑠衣 どうしたん? なんかあったんかー?」

「・・・あのなー 今日 クラスの女の子から夏休みの宿題見せあおうよーって誘われたんやー 今まで、ウチなんか・・相手にされてへんやってんかー それで、ウチ嬉しっくってー ここで 見せあいっこって感じで・・ そしたら、ウチの宿題のノートを見せてなーって、取り上げて、そのうち、コーヒーがこぼれたって・・ 汚されてしまって・・ みんなは、たまたまやからごめんなって言ってたけど・・ ほんでなー ウチもわからへんかってんけど、誰かに、知らん間にお尻のほうから、水を垂らされてたんやー そしたら、みんなでオシッコ漏らしてるって、はやしたてられて・・」

 瑠衣は思い出したのか、涙が出てきてしまってたみたい。だけど、我慢して遠くをみつめているようだった。

「あっ ごめん 思い出さしてしもたなー 悔しかったんやなー」

 瑠衣は1年の時に、グループに久美がみんなから相手にされないんだってと連れてきた子だった。だから、2年になってもいじめられてることが度々あったんだろうと思っていた。だけど、辛抱強くって、優しいとこもあるから私も仲間に入れていたのだが、おとなしい性格だから不思議といじめの対象になってしまったんだろう。

 テーブルの上には、コーヒー色になったノートと、それに、ブルーの短パンのお尻の部分が濡れて、前の方まで色が変わって、確かに、オシッコを漏らしたようになっていた。

「あのさー こんなひどいことする奴って 誰やねん?」

「うぅーん ウチが悪いねん みんなに打ち解けないから・・ せっかく誘ってくれたのに・・」

「瑠衣 アホかー こんなことされてー ええ加減にしーやー 我慢するのもー」

「サダ姉さん ほんまにええねん・・ このままじゃぁ 帰られへんやろー どうしたらええんかと 久美姉さんに連絡したんやー」

「そうかー それで スカートを・・ でもな 瑠衣 あんた なんで、そんなにいじめられるんやろなー おとなしくて、ええ子なんやのにー」

「わからへん たぶん ウチ 人見知り激しいから、1年の時から、あんまり話出来ひんやったんやー それで、仲間はずれになってしもたんやろなー 2年になって、女の子とは誰とも話せーへんし、男の子とばっかー話してたから、男に色目ばっかー使いやがってーとも、さっき言われたわー」

「・・ ひがんどんちゃうかー そいつらー」

 その時、久美が戻ってきて、瑠衣にスカートを差し出していた。久美にしたら、長めのものだった。

「サダ姉さん 話 聞いたやろー 仕返しして、とっちめてやろうぜー 瑠衣をこんな目にあわせやがってー やった奴の名前聞いた?」

「ウーン 待ちいなー 久美 瑠衣の今の気持ち考えるとなー それにな 仕返ししたって、瑠衣はそいつらと、これからも同じクラスやでー ちょっと 考えるし、ウチに任せといてーナ なっ 久美」

「うー サダ姉さんが そーゆうんやったら・・」

「ウン 瑠衣 ええなー あんたは、なんもせんでええからな 今までどおり せやけど、強い気持ちでいるんやでー 負けたらあかんでー いざとなったら、ウチ等がおるからな!」

「ウン サダ姉さん、久美姉さん ごめんなさい ウチ こんなんで迷惑かけてしもてー」

「ええよー 仲間やんかー そんなんで謝らんでええよ それより、ノート困ったなー」

「ウン あと1日あるしー 新しいのに書き換えます」

「そうかー 瑠衣って ええ子やのになーぁ 今日のことは もう 忘れ ナ!」

 ― ― ― * * * ― ― ―
 
 そして、私は、いろいろと考えてたんだけど、もしかすると、ウチの仲間に入っていることが瑠衣へのいじめの原因にもなっているんだろうかと思ったりもしていた。
 
 夏休みの最後の日。私は、思い立って、美容院に行ったのだ。

 お母さんが帰ってきて、私を見るなり

「サダ・・ なによー その頭ー どうしたのー」

「ウン サッパリしようと思って」

 私は、髪の毛をバッサリと切って、前髪はようやく摘まめるくらいだったけど、後ろと耳の横は刈り上げてスポーツをしている男の子みたいにしていた。

「サッパリって なんなのー 今まで、ちゃんとお手入れしてきたじゃーぁない! なにー それ お坊さんみたいじゃない なんでー そんな 勝手なことしてー お母さん 悲しいわー なんかあったのー」

「うん 心機一転 雑念を捨てて キヨーダイ 目指すの」

「・・・ 悲しい お母さんは あなたの考えてることわからない あぁー 悲しいワー ますます 近所の人に変な眼で見られるじゃないの!」

 始業式の日、当然、私の姿を見たクラスのみんなは声が出なかったみたいだった。そして、私は、多分、普段から瑠衣に辛くあたっているだろうと思われる天野結華を校門の出たところで待っていた。彼女は友達と二人連れで出てきたけど、構わないで私は声を掛けていった。

「天野さん」

「・・・」振り返った彼女は、私のことがわからなかったのだろう、私の頭を見て、キョトンとしていた。

「あのね 瑠衣のこと お願いがあってね」

 その時、ようやく私のことが認識できたみたいだった。

「あっ サダさん・・・ 瑠衣のこと・・ ウチ 関係ないですよ 知りませんから 何 聞いたのかわからないですけど・・」震えた声で訴えてきた。

「いいのよ この前のことは・・ 瑠衣も誰からやられたのかしゃべらなかったわ だけど、天野さんなら瑠衣と仲良くしてもらえるんじゃぁないかなって あの子 優しいのよ 良い子よ だけど クラスの中で女の子は誰も 相手してもらえないので、男の子しか話相手いないんだって おとなしい性格でしょ、引っ込み思案で・・仲良くなりたいのは女の子なんだけどー 自分からは話し掛けられないでいるの ねぇ ウチからのお願い 天野さんから 普通に お友達になってあげて 人思いだし、とってもいい子なんだよ」

「・・・そうなんですかー あの時のこと なんにも、しゃべらなかったんですかー」

「ウン 自分が みんなに打ち解けないから 悪いんだって 言ってた 他の人を悪く言うような子じゃないよ 自分があんな目にあったっていうのにーネ お願い あの子ウチらの仲間なんだよ ほっておけないんだよね わかる?」

「サダさん・・」

「わかってくれたかなー お願いします 瑠衣のこと・・・ ウチもナ 決心して、髪の毛 切ったんだよ その為じゃーないけどね 心機一転」と、頭を下げて頼んでいた。

「わかりました サダ先輩 もう、頭あげてください それにその眼で見つめられたら ウチだってー それにね ウチ 瑠衣のこと嫌いってわけじゃぁないんですよ だけど、男の子達と話しているの見たら、ついイライラしちゃってー ごめんなさい」

 そして、次の日。お昼休みに集まった時、瑠衣が

「サダ姉さん 結華ちゃんが 妙に、話し掛けてきてくれて、仲間はずれみたいにして ゴメンだってー ウチのこと、よく見てなかったってー サダ姉さんが言ってくれたように 強い心を持っていて良かったー」

「そうかー 瑠衣 良かったなー ・・・サダ姉さん なんか したんやろー? やっぱり、茜姉さんが見込んだだけのことあるみたいやなー それに、急に そんな頭になってしもーてー 迫力あるのー」と、久美が私の顔をのぞき込んで、ニャーっと笑っていた。
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