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第3章
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私は、一度アパートに帰って、歩いて行くことにしたのだ。燿さんに貰ったモスグリーンのストレートパンツに黒のカシミヤのセーターを着て、1時間程歩いたと思う。最初、正面の門のところに着いたのだけど、塀沿いに歩いてみた。そうしたら、別の勝手口みたいなところが・・。迷いながらも呼び鈴を押してみた。しばらく、待ったが、ようやく誰かの気配が
「ごめんなさいね あちらから来られると思ってたんですの どうぞ お待ちしてましたのよ 入って」と、着物姿のお母さんが出てきてくれた。
そして、案内されたのは、お台所。テーブルに座って、お茶を出してくれた。すごい香りで渋みもなくて薄い緑色をしてて甘ったるいの。初めて、こんなの飲んだ。これが日本茶なんだ。
「燿さんたらね 香波ちゃんが来るからお願いねって 自分は、出掛けてしまって 昔から我儘でね でも、一人娘だからって、主人も甘くってね 香波ちゃんも 振りまわされてるでしょう?」
「いえ そんなことないですよ いつも 優しくて 私なんかにも、気掛けてもらって ありがたいと思っているんです」
「そう あの子 あなたのこと 本当の妹みたいに思っているみたい 詳しいこと聞いて 何なんですけど あなた 親御さんも居なくて、知り合いも居ないのに、いきなり、京都に来たんですって?」
「私 小さい頃 両親を二人とも亡くしてしまって それから、おばぁちゃんに育ててもらったんですけど そのおばぁちゃんも、私が学校から帰ってきた時・・遅かったんです 脳溢血で・・ 独りぼっちになってしまって あても無いまま 京都に出て来て、働くところ探していたら、燿さんに出会って だから、あの人 私の恩人なんです それに、親切にしてくださって・・」
「そう でも ご両親はあなたに 宝物を残してくださったみたい その澄んだ眼と他人を疑わない真っ直ぐな心よ あの子ね あなたに初めて会った時 とても純真なんでね このまま突き放したら、大変だと感じたんだって だから、何かのご縁よね このまま ウチに居てくれてもいいのよ 遠慮しないで」
「ありがとうございます 私 そんなー」
「いいのよ 遠慮しないでね あっ そう 今夜 主人も燿さんも 帰り遅いから、ご飯要らないらしいのよ 二人で食べましょ と、いっても里芋の煮つけとお漬物しかないのー」
確かに、食卓には、里芋の煮っころがしと漬物、そして汁物しかなかった。
「あのー おば様 おいしいです」と、言ったら
「そうでしょ 私 福井の山奥の出なの 実家から送ってくれるのよ おいしいの でもね 香波ちやん おば様じゃぁなくって お母さんって言ってね」
「え えー そんなー いきなり」
「いいのよ その方が 私も うれしいのよ 燿さんも 香波ちゃんのこと妹が出来たと思っているのよ あの子 一人っ子だったから」
食べ終わると、お母さんは、何かを煮始めたようだった。
「椎茸 お雑煮用のね こっちは鯛の子よ そうそう お風呂は主人が帰って来るまで、待ってね あの人が先だから・・」
「いいですよ あのー 何か お手伝いできることございますか?」
「ううん いいの 明日はいろいろ お手伝いお願いすると思うわ そろそろ、あの人が帰って来るから、一緒にね」と、玄関に向かった。
そーしたら、お父さんが帰ってきたみたいで、ふたりで格子戸を開けて、門扉まで、お母さんが急いでいた。
「お帰りなさいませ」と、お母さんが・・私も、お母さんにあわせて、あわてて、頭だけ下げていた。
「うむー おぉ 来てくれていたのか」と、どんどん家の中に入って行った。やっぱり、着物姿のお父様。
私は、付いて行くわけにもいかないと思ったので、ひとり、ぽつんと台所に居た。いいのかなー 椎茸のほうは まだ グツグツいっているのだけど・・ぼーっと 見ていた。
その時、お母さんが戻ってきて
「あっ 椎茸 まだ いいんですか?」
「ええ もう少しね お汁がなくなるまでね」と、鍋を振っていた。そして、小鍋にお湯を沸かして、徳利にお酒を注いでいた。お湯が沸騰したら、火を止めて、その中に徳利を
「こうやっておくとね あの人がお風呂から出て来た時に、丁度いいのよ あとは、しじみの炊いたもの 香波ちゃん 冷蔵庫に菊の絵の青い陶器の蓋つきが入ってるから出してもらえるかしら」と、お母さんは、小皿にお漬物を用意していた。そして、私が出した陶器から小鉢にそれも入れていた。
そして、用意したものを持って、お母さんと一緒に、奥の座敷に・・
「えーと こっち来て 座んなさい 少し、相手してくれないか」と、お父様は自分の左角を指さしていた。お母さんの向いの席。
「先日は申し訳ないことを言ってしまった。あの後、燿から、さんざん叱られたわー 男の子と間違うなんて とんでもないわってな すまんが もう一度名前 教えてくれんか」
「藤原香波と申します かおる香りに海の波って書きます」
「そうか きれいな名前だ で 幾つ?」
「15です 1月に16になります」
「えっ 15? 中学生?」
「いえ 中学は卒業しています この秋に高校を中退しました」
「そうか それで 独りで京都まで来たのか― 燿から身寄りが居ないって聞いたが・・」
「ええ おばぁちゃんと ふたりで暮らしていたんですけど この秋に亡くなってしまって・・それで」
「そうかー それは お気の毒なことだったな あー 聡 先に風呂に行ってこい ワシはもう少し、香波さんに相手してもらうから 燿が帰ってきたら、香波さんは一緒に入ればいいやなー」と、私を見て来たので、うなづいた。
「そう じゃぁ そうさせてもらおうかしら あなた 女の子なんですからね 変な言い方しないでくださいね それと、お酌してもらうのも駄目ですよ まだ 未成年ですからね!」と、念押しして、お母さんは出て行った。
「なに言ってんだ ワシだって心得ているわ」と、独り言みたいに・・
「ところで お店のほうは 楽しいかねー」
「ええ お店のみんなも親切にしてくれますし、お客様も良い人ばっかりで 毎日が楽しいです」
「そうか 燿が言って居たんだけどな 香波さんが来た当初は すごい可愛い男の子がいるって、ウワサになつて、女の子のお客が増えたんだってな、それから、しばらくすると、今度は男が増えたってな あいつも、他人には言うくせに、失礼なこと言うよな 我儘に育ててしまったからな」
「そうですかー 私には、そんなこと・・少し、一方的なとこありますけど・・でも、恩人だと思っていますから」
「そうか 燿は 心は優しいからな きついように見えるけど ワシ等はしばらく子供が出来なかったんだ ようやく授かったのが燿なんだ 実はな ワシと聡とは16離れていてな 知り合いの会社で事務員として働いていたのを、ワシが強引に嫁になってくれって迫ってな 2年かかったよ うなづいてくれるまで 聡は高校の時の同級生が忘れられなかったみたいなんだな こんなこと話したのは、聡には内緒な 燿にも」
「あのー どうして、奥様は 受けてくれたんですか? 結婚」
「そりゃーな ワシの誠意だよ 男前のところカナ うわぁっはっはーはー でもな、申し込んで、1年後ぐらいに、ようやくデートに応じてくれてな 嬉しかったよ それからワシは手も繋がなかったんだ 我慢した そしたら、半年後くらいに、向こうから繋いできたよ 真面目な男だと思ったんだろう」
「そーいうのって すごいですね 私 尊敬します」
その時、燿さんが帰ってきたみたいだった。
「わぁー 香波ちゃん お父様とふたり っきりでー お父様 香波をいじめてない?」
「なに を・・ 仲良くやっているぞ 燿こそ 帰りが遅すぎるぞ」
「今夜で営業 最終だったから お掃除が大変だったのよ もう、クタクタ 髪の毛もベタベタよー」
「香波ちゃん お風呂いこー まだでしょ お母様も もう、あがったみたいだから」
「えー じゃぁ お お父様 失礼いたします」と、畳におでこを付けてお辞儀していた。なんだか、習慣とか作法がわかんないだものー
「ごめんなさいね あちらから来られると思ってたんですの どうぞ お待ちしてましたのよ 入って」と、着物姿のお母さんが出てきてくれた。
そして、案内されたのは、お台所。テーブルに座って、お茶を出してくれた。すごい香りで渋みもなくて薄い緑色をしてて甘ったるいの。初めて、こんなの飲んだ。これが日本茶なんだ。
「燿さんたらね 香波ちゃんが来るからお願いねって 自分は、出掛けてしまって 昔から我儘でね でも、一人娘だからって、主人も甘くってね 香波ちゃんも 振りまわされてるでしょう?」
「いえ そんなことないですよ いつも 優しくて 私なんかにも、気掛けてもらって ありがたいと思っているんです」
「そう あの子 あなたのこと 本当の妹みたいに思っているみたい 詳しいこと聞いて 何なんですけど あなた 親御さんも居なくて、知り合いも居ないのに、いきなり、京都に来たんですって?」
「私 小さい頃 両親を二人とも亡くしてしまって それから、おばぁちゃんに育ててもらったんですけど そのおばぁちゃんも、私が学校から帰ってきた時・・遅かったんです 脳溢血で・・ 独りぼっちになってしまって あても無いまま 京都に出て来て、働くところ探していたら、燿さんに出会って だから、あの人 私の恩人なんです それに、親切にしてくださって・・」
「そう でも ご両親はあなたに 宝物を残してくださったみたい その澄んだ眼と他人を疑わない真っ直ぐな心よ あの子ね あなたに初めて会った時 とても純真なんでね このまま突き放したら、大変だと感じたんだって だから、何かのご縁よね このまま ウチに居てくれてもいいのよ 遠慮しないで」
「ありがとうございます 私 そんなー」
「いいのよ 遠慮しないでね あっ そう 今夜 主人も燿さんも 帰り遅いから、ご飯要らないらしいのよ 二人で食べましょ と、いっても里芋の煮つけとお漬物しかないのー」
確かに、食卓には、里芋の煮っころがしと漬物、そして汁物しかなかった。
「あのー おば様 おいしいです」と、言ったら
「そうでしょ 私 福井の山奥の出なの 実家から送ってくれるのよ おいしいの でもね 香波ちやん おば様じゃぁなくって お母さんって言ってね」
「え えー そんなー いきなり」
「いいのよ その方が 私も うれしいのよ 燿さんも 香波ちゃんのこと妹が出来たと思っているのよ あの子 一人っ子だったから」
食べ終わると、お母さんは、何かを煮始めたようだった。
「椎茸 お雑煮用のね こっちは鯛の子よ そうそう お風呂は主人が帰って来るまで、待ってね あの人が先だから・・」
「いいですよ あのー 何か お手伝いできることございますか?」
「ううん いいの 明日はいろいろ お手伝いお願いすると思うわ そろそろ、あの人が帰って来るから、一緒にね」と、玄関に向かった。
そーしたら、お父さんが帰ってきたみたいで、ふたりで格子戸を開けて、門扉まで、お母さんが急いでいた。
「お帰りなさいませ」と、お母さんが・・私も、お母さんにあわせて、あわてて、頭だけ下げていた。
「うむー おぉ 来てくれていたのか」と、どんどん家の中に入って行った。やっぱり、着物姿のお父様。
私は、付いて行くわけにもいかないと思ったので、ひとり、ぽつんと台所に居た。いいのかなー 椎茸のほうは まだ グツグツいっているのだけど・・ぼーっと 見ていた。
その時、お母さんが戻ってきて
「あっ 椎茸 まだ いいんですか?」
「ええ もう少しね お汁がなくなるまでね」と、鍋を振っていた。そして、小鍋にお湯を沸かして、徳利にお酒を注いでいた。お湯が沸騰したら、火を止めて、その中に徳利を
「こうやっておくとね あの人がお風呂から出て来た時に、丁度いいのよ あとは、しじみの炊いたもの 香波ちゃん 冷蔵庫に菊の絵の青い陶器の蓋つきが入ってるから出してもらえるかしら」と、お母さんは、小皿にお漬物を用意していた。そして、私が出した陶器から小鉢にそれも入れていた。
そして、用意したものを持って、お母さんと一緒に、奥の座敷に・・
「えーと こっち来て 座んなさい 少し、相手してくれないか」と、お父様は自分の左角を指さしていた。お母さんの向いの席。
「先日は申し訳ないことを言ってしまった。あの後、燿から、さんざん叱られたわー 男の子と間違うなんて とんでもないわってな すまんが もう一度名前 教えてくれんか」
「藤原香波と申します かおる香りに海の波って書きます」
「そうか きれいな名前だ で 幾つ?」
「15です 1月に16になります」
「えっ 15? 中学生?」
「いえ 中学は卒業しています この秋に高校を中退しました」
「そうか それで 独りで京都まで来たのか― 燿から身寄りが居ないって聞いたが・・」
「ええ おばぁちゃんと ふたりで暮らしていたんですけど この秋に亡くなってしまって・・それで」
「そうかー それは お気の毒なことだったな あー 聡 先に風呂に行ってこい ワシはもう少し、香波さんに相手してもらうから 燿が帰ってきたら、香波さんは一緒に入ればいいやなー」と、私を見て来たので、うなづいた。
「そう じゃぁ そうさせてもらおうかしら あなた 女の子なんですからね 変な言い方しないでくださいね それと、お酌してもらうのも駄目ですよ まだ 未成年ですからね!」と、念押しして、お母さんは出て行った。
「なに言ってんだ ワシだって心得ているわ」と、独り言みたいに・・
「ところで お店のほうは 楽しいかねー」
「ええ お店のみんなも親切にしてくれますし、お客様も良い人ばっかりで 毎日が楽しいです」
「そうか 燿が言って居たんだけどな 香波さんが来た当初は すごい可愛い男の子がいるって、ウワサになつて、女の子のお客が増えたんだってな、それから、しばらくすると、今度は男が増えたってな あいつも、他人には言うくせに、失礼なこと言うよな 我儘に育ててしまったからな」
「そうですかー 私には、そんなこと・・少し、一方的なとこありますけど・・でも、恩人だと思っていますから」
「そうか 燿は 心は優しいからな きついように見えるけど ワシ等はしばらく子供が出来なかったんだ ようやく授かったのが燿なんだ 実はな ワシと聡とは16離れていてな 知り合いの会社で事務員として働いていたのを、ワシが強引に嫁になってくれって迫ってな 2年かかったよ うなづいてくれるまで 聡は高校の時の同級生が忘れられなかったみたいなんだな こんなこと話したのは、聡には内緒な 燿にも」
「あのー どうして、奥様は 受けてくれたんですか? 結婚」
「そりゃーな ワシの誠意だよ 男前のところカナ うわぁっはっはーはー でもな、申し込んで、1年後ぐらいに、ようやくデートに応じてくれてな 嬉しかったよ それからワシは手も繋がなかったんだ 我慢した そしたら、半年後くらいに、向こうから繋いできたよ 真面目な男だと思ったんだろう」
「そーいうのって すごいですね 私 尊敬します」
その時、燿さんが帰ってきたみたいだった。
「わぁー 香波ちゃん お父様とふたり っきりでー お父様 香波をいじめてない?」
「なに を・・ 仲良くやっているぞ 燿こそ 帰りが遅すぎるぞ」
「今夜で営業 最終だったから お掃除が大変だったのよ もう、クタクタ 髪の毛もベタベタよー」
「香波ちゃん お風呂いこー まだでしょ お母様も もう、あがったみたいだから」
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