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第7章
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「どうするかなー 大人っぽいのもなー あんまり、子供ぽいのもなー どんなのが気にいってもらえるかなー」と、お姉ちゃんは1週間前から悩んでくれていた。
私が巧さんと会う時の服。最初の印象って、大切なのよと・・言ってくれていた。買い物に連れて行ってくれて、スカイブルーのハイウェストで背中の部分が編み上げになっている少し短めのフレァーなワンピースにホワイトのエナメルのベルトの厚底サンダル。
「少し、子供ぽいけど・・やっぱり まだ 17才なんだものね それなりが一番よ ぶつかっていくのよ 香波」と、言ってくれていた。
有沢さんから言われたように、大学生協の前で待っていた。お姉ちゃんからは、お店を出る時
「いい 香波 なんにも、考えないで あなたの思いだけをぶつけるのよ」と、念押しされていた。
なんか学生には見えないのか、通る人に、割とチラチラ見られながら・・きっと 場にそぐわないんだろう 自分でも大学生には見えないわって感じていた。
来た! 巧さん 有沢さんを探しているのか 周りを見回すように、汚いパーカーとジーンズにボサボサ頭。私をチラッと見て、興味なさげに、又、キョロキョロと・・。わかんないのかなー。どうしょうかなー・・・
私は、視界に入るように回り込んで「バク」と、呟いた。しばらく、私を見ていて
「もしかして・・・か な み ちゃん? だよね 前は男の子みたいだったし いや こんなに可愛い女の子なのか」と、私は、その時、精一杯の笑顔で・・
すると、抱きしめられて「はじめを探していて、女の子が居るのは見ていたんだけどー 気づかなかった。でも かなみちゃんだよね なんでここにいるの? まぼろしじゃあないよね 逢いたかったよー」と、そして、だんだんと強く。
「巧さん 苦しい」と、思わず
「あっ ごめん つい 懐かしくてー」と、ようやく放してくれた。
「どうして ここに居るんだい?」
「だって 私 巧さんに逢いたくて 待っていたの こっちで働きながらー ずーと 逢いたかったの 有沢さんが、今日ここで待ってろって」
「そう はじめ と ここで待ち合わせしてたんだけど・・あいつ!」
その後、私達、木陰のベンチに座って
「これね 私が働いているとこのワッフルサンド、焼き豚のとポテトサラダの 私が焼いたの 食べて」
「あっ そう」と、食べてくれたら「うん 旨い ハニーエンジェルかぁー 知らないなー」
「そうなの クレープもやってるんだけど」
「あっ あそこかー クレープなんて 女の子ばっかりだから 寄ったこともなかったんだ いつも、自転車で素通り」
「私ね もう 1年半になるの おばぁちゃんが突然亡くなってね 脳溢血だった 私 身寄りもいないから・・ 心細くって 巧さんを 頼って京都に来たの あそこのお店で働いていたら逢えるんじゃあないかと ねぇ 迷惑かなぁー」
「そんなことないよ 僕も島に行ったんだけど、もう、逢えなかった 香波ちやん 高校は?」と、私の手を包むように繋いできてくれた。
「うん 辞めたの 島を出て、あそこのお店に面接のつもりで行った時、店長さんが優しくしてくれて、今、その人のお家でお世話になっているの」
「そうだったんだ 去年、行き違いだったんだ もう、京都に来ていたのかー 苦労したんだなぁー 知らなくてー 心細かったろう? 中学出て、間も無かったんだろう? 香波 僕は、まだ、2年間学生のままなんだけど ずーと側に居てくれないか 勿論 僕も もう 離れない」
「ええ」と、下を向いてうなづくことしかできなかった。嬉しくて、それに、急に恥ずかしくなってきて「だって だってさー ずーっと 待ってたんだよー」涙も出てきていたから・・
「ねぇ 私 嫌われてもいいから、追いかけていきたいの 本当に 邪魔じゃぁない?」
「もちろんだよ 香波みたいな心の優しい子が居てくれたら 安らぐ と言っても 僕は、まだ、何にもしてあげられないと思うけど、君を守ることが出来るように頑張るよ」
「うん 私ね 今のお家の人にも、とても、よくしてもらってるの お店の人達も親切だし それにね、去年の秋 バクが死んじゃったんだけど、私の側で見守ってくれているから 頑張れるよ これからは、巧さんにも会えるしね うれしいの!」
「そうなんかー 香波に懐いていたのになぁー」
そして、その日は、別れを惜しみながら、別れた。私も、お店を抜けさせてもらったから、戻らなきゃって思っていたし。巧さんも夕方からバイトだと言って居た。でも、私は、これからの生活がとっても光っているような気がしていた。
私が巧さんと会う時の服。最初の印象って、大切なのよと・・言ってくれていた。買い物に連れて行ってくれて、スカイブルーのハイウェストで背中の部分が編み上げになっている少し短めのフレァーなワンピースにホワイトのエナメルのベルトの厚底サンダル。
「少し、子供ぽいけど・・やっぱり まだ 17才なんだものね それなりが一番よ ぶつかっていくのよ 香波」と、言ってくれていた。
有沢さんから言われたように、大学生協の前で待っていた。お姉ちゃんからは、お店を出る時
「いい 香波 なんにも、考えないで あなたの思いだけをぶつけるのよ」と、念押しされていた。
なんか学生には見えないのか、通る人に、割とチラチラ見られながら・・きっと 場にそぐわないんだろう 自分でも大学生には見えないわって感じていた。
来た! 巧さん 有沢さんを探しているのか 周りを見回すように、汚いパーカーとジーンズにボサボサ頭。私をチラッと見て、興味なさげに、又、キョロキョロと・・。わかんないのかなー。どうしょうかなー・・・
私は、視界に入るように回り込んで「バク」と、呟いた。しばらく、私を見ていて
「もしかして・・・か な み ちゃん? だよね 前は男の子みたいだったし いや こんなに可愛い女の子なのか」と、私は、その時、精一杯の笑顔で・・
すると、抱きしめられて「はじめを探していて、女の子が居るのは見ていたんだけどー 気づかなかった。でも かなみちゃんだよね なんでここにいるの? まぼろしじゃあないよね 逢いたかったよー」と、そして、だんだんと強く。
「巧さん 苦しい」と、思わず
「あっ ごめん つい 懐かしくてー」と、ようやく放してくれた。
「どうして ここに居るんだい?」
「だって 私 巧さんに逢いたくて 待っていたの こっちで働きながらー ずーと 逢いたかったの 有沢さんが、今日ここで待ってろって」
「そう はじめ と ここで待ち合わせしてたんだけど・・あいつ!」
その後、私達、木陰のベンチに座って
「これね 私が働いているとこのワッフルサンド、焼き豚のとポテトサラダの 私が焼いたの 食べて」
「あっ そう」と、食べてくれたら「うん 旨い ハニーエンジェルかぁー 知らないなー」
「そうなの クレープもやってるんだけど」
「あっ あそこかー クレープなんて 女の子ばっかりだから 寄ったこともなかったんだ いつも、自転車で素通り」
「私ね もう 1年半になるの おばぁちゃんが突然亡くなってね 脳溢血だった 私 身寄りもいないから・・ 心細くって 巧さんを 頼って京都に来たの あそこのお店で働いていたら逢えるんじゃあないかと ねぇ 迷惑かなぁー」
「そんなことないよ 僕も島に行ったんだけど、もう、逢えなかった 香波ちやん 高校は?」と、私の手を包むように繋いできてくれた。
「うん 辞めたの 島を出て、あそこのお店に面接のつもりで行った時、店長さんが優しくしてくれて、今、その人のお家でお世話になっているの」
「そうだったんだ 去年、行き違いだったんだ もう、京都に来ていたのかー 苦労したんだなぁー 知らなくてー 心細かったろう? 中学出て、間も無かったんだろう? 香波 僕は、まだ、2年間学生のままなんだけど ずーと側に居てくれないか 勿論 僕も もう 離れない」
「ええ」と、下を向いてうなづくことしかできなかった。嬉しくて、それに、急に恥ずかしくなってきて「だって だってさー ずーっと 待ってたんだよー」涙も出てきていたから・・
「ねぇ 私 嫌われてもいいから、追いかけていきたいの 本当に 邪魔じゃぁない?」
「もちろんだよ 香波みたいな心の優しい子が居てくれたら 安らぐ と言っても 僕は、まだ、何にもしてあげられないと思うけど、君を守ることが出来るように頑張るよ」
「うん 私ね 今のお家の人にも、とても、よくしてもらってるの お店の人達も親切だし それにね、去年の秋 バクが死んじゃったんだけど、私の側で見守ってくれているから 頑張れるよ これからは、巧さんにも会えるしね うれしいの!」
「そうなんかー 香波に懐いていたのになぁー」
そして、その日は、別れを惜しみながら、別れた。私も、お店を抜けさせてもらったから、戻らなきゃって思っていたし。巧さんも夕方からバイトだと言って居た。でも、私は、これからの生活がとっても光っているような気がしていた。
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