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沈黙するグラス
【エピローグ】「雨が止む時」
しおりを挟む事件は解決した。
真相は、ワイングラスに仕込まれた毒。犯人は、シェフ・高梨孝之。そして彼をそそのかし、知らぬ間に事件を引き起こさせた黒幕は、レストランのオーナー・藤倉俊一だった。
探偵・久瀬真人は、静かに事件を振り返る。
「真実は闇に溶けない……か」
彼は窓の外を見る。長く降り続いた雨が、ようやく止んでいた。
1. それぞれの結末
高梨孝之—— 殺人の罪で逮捕された。復讐に駆られた男の末路は、皮肉にも自らの手で閉ざされた。
藤倉俊一—— 殺意はなかったと主張し続けたが、教唆の罪を免れることはできなかった。店を守るための策略が、取り返しのつかない悲劇を生んだ。
木島誠—— 事件の鍵を握っていたウェイターは、捜査の末に関与がなかったと判断された。だが、事件の日の出来事が彼に刻んだ影は消えない。
橘圭吾(刑事)—— 今回の事件を通じて、探偵・久瀬に対する評価を改めた。警察の枠を超えた推理が、真実を導き出したことは確かだった。
2. 探偵の役目
雨上がりの街を歩きながら、久瀬は考える。
真実を暴くことは、いつも救いをもたらすわけではない。時には、誰かを絶望へと追い込むこともある。
しかし、それでも。
「俺の役目は、闇に沈む真実を拾い上げることだ」
彼は足を止め、夜空を見上げる。
雲の切れ間から、かすかな月明かりが覗いていた。
—— 事件は終わった。
だが、探偵の物語は、これからも続いていく。
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