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第一章 「新たな家族」と「未来への路」
新しい世界で。(sideアンジュ)
しおりを挟む今日も、俺は奴隷商人たちに捕まらないように、ひっそりと生きている。
俺は、この薄暗いスラムに物心ついたばかりのころに捨てられた。
それまで自分をかわいがってくれた両親が自分を裏切ったことに、絶望し、いつの間にか誰も信頼できなくなった。
それ故に、一人で孤独に生き抜いてきたが、そろそろ疲れていた。日々の食事といえば、路にあるごみを拾えればいいほうで、だめな時では、苔を食べることさえあった。スラムの多くの人間は一度は盗みをしているとはいえ、自分はそこまで落ちたくなかった。
このスラムは、奴隷商人どもに支配されている。誰もかれもが息をひそめ、今日も捕まらずに済んだと他人を身代わりにして安堵する日々。
こんなに辛く汚く理不尽な世界に絶望しつつあった。
もう、死んでしまおうかと何度思ったかわからない。
だが、俺の考えはある日を境に変わった。
その日、おかしな幼児に合った。
スラムとは似つかない、身ぎれいな格好をしていた。
こいつは運悪く紛れ込んだんだな、かわいそうに。
すぐに、奴隷として売られることになるんだろうと思った。
面倒ごとに巻き込まれたくないから、路の隅でうずくまった。表の人間が紛れ込んできたとき、こうしていれば、侮蔑の目を向けるやつはいても話しかけてきた奴なんていなかったから。
いつも道理、こいつも、こんなゴミみたいな俺のことは見なかったふりをするだろうと思っていたのに、なんとそいつは話しかけてきやがった。
こんな汚ねーやつに、なんで話しかけるんだよ!
それに、話しかけないほうが言ったのに、話しかけるとか馬鹿なのかよ。
面倒ごとに巻き込むなよ…。
すると、そいつは俺に帰り方を教えてほしいといってきた。
意外に運がいいのかともしれないなと思った。だって、俺は、奴隷商人に売りに行くことだけはしないけど、他の奴は売りに行くしな。
俺と話していると、遠くを奴隷商人の奴らが通りかかったのが見えた。さりげなく、ガキを隠しつつ、その存在を教えておく。だって、俺の近くで、奴隷狩りに合われたら、目覚めが悪いしな。まあ、軽い脅しだよ。
こうすれば、ガキは、そいつらに関わろうとしないと思ったのに、助けたいとか言いやがった。ふざけんな!
ついつい、感情的になって、スラムのこと話してしまった。
こんなちっちぇー奴に何やってんだろうな。
そしたら、そいつ、自分が文官になって変えて見せるとか言いやがった。
俺は、無理だろうと思ったが、約束くらいならしてやってもいいかと思った。だって、そいつの目を見てたら、一瞬、そいつが変えてくれるんじゃないかって気がしたんだよ。
聞く気なかったのに、そいつの名前を聞いちまったしな。柄じゃね~…。
まあ、その日の出来事がきっかけで、もう少しくらいなら、生きていてやってもいいかなと思ったんだ。
レイシェンと言ったかな?そいつの名前。
俺らスラムの希望の星ってわけだ。
「くくくっ!あんな、ちっちぇ~奴に俺らの未来を預けんのも悪くはないかもな。」
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