魔王様はレベル1の勇者に恋をする! 〜ヤンデレ系こじらせ魔王は愛する勇者のレベルを上げさせない〜

愛善楽笑

文字の大きさ
18 / 89

18話 魔王は魔王と認めてしまう(キノコ視点)

しおりを挟む


 ボクはヨーケスおにいさんに興味を持つ。

 凄い魔力、いったい彼は何者なのだろう? ボクはヨーケスおにいさんに問いかけた。

「でも、よかった~。ヨーケスおにいさんみたいに、強そうな人がボクらの仲間だなんて、心強いですよ! ところで、ヨーケスおにいさんはどんな職業なんですか? あんな強大な魔力を持つ職業って……? うーんと、ボクより上位職の神聖魔法使い? それとも魔法剣士?」 

「職業当てクイズをするつもりはないが……。ふむ、どれも違うぞ?」

「えー!? 思い浮かばないですよぅ」

「想像力の乏しいキノコだな、では教えてやろう。私は魔王軍の頂点にして魔王、ヨーケス・ブーゲンビリアだ」

「ふーん、そーなんですねぇ」

 そっかー……魔王か~、魔王ね……。

 って、えっ!? えっと、あれ!?

 ボクは目を丸くして、驚く。

「ヨーケス・ブーゲンビリアって……ま、魔王軍の!? だってボクさっき〝魔王みたいな名前〟って言いましたよね!? 当たってたのに……な、な、なんで、ウソついたんですかっ!?」

「ん? キノコよ、私はウソなどついてない。私は名前を言っただけだし、お前の言ったことを否定したわけでもない。それに私はウソが大嫌いだ」

「そ、そんな……! それになんで、ま、魔王が……冒険者ギルドに……?」

「魔王が冒険者ギルドに来てはいけないのか? そんなルールが人族にあるなど聞いてないぞ? それに、私はお前たちいと小さき者どもと争うつもりでここに来てはいない」

「あ、そ、そーですか……それならいいんですけど……」

 あれ、ちょっと待って?

 だとしたら、ヨーケスおにいさんはなんでユーナちゃんを探しているんです?

 まさか……ユーナちゃんがレベル1のうちに始末しようと……? でもさっき、争うつもりはないって……?

 ボクは恐る恐る、魔王ヨーケスおにいさんに聞く。

「どうしてユーナちゃんを探しに……? ことと次第によってはボクは……」

 ボクは大魔導師の杖を強く握りしめ、すぐに魔法の詠唱ができるように構える。

 だけど、魔王である彼から返ってきた言葉は以外すぎるもので、とても純粋だった。

「愛する者に逢いにきたらいけないのか? 理由がなければ、好きな女の子に逢ってはいけないのか? 私はただ、ユーナに逢いたいだけだ」

「え、え、え? ……そ、そんな理由で敵対してるボクらの、それも屈強な冒険者たちが集まるギルドに来たんですか!?」

「そんな理由? キノコ、口を慎め。人の想いをバカにするのは感心できないぞ? いいか、私からしたら、十分すぎるほどの理由だ。それ以上の理由など、あろうはずがない」

 ボクは衝撃を受けてしまう。まるで、心に雷撃魔法が流れたように……!

 だって、恐るべき魔王のはずの彼が、歯が浮くような愛のセリフを平然と言ってのけたのだから。

 魔王なのに……どことなく人間ぽくて、誠実で、一途な男の人だな……。

 けど……ボクはこの男が恐るべき魔王と知らずに、普通にお話しをしてたのか。

 う、うわぁ……思い出したら急に身体が震えてきたよ……!

「ときにキノコよ。なぜそんなに身体が震えてるのだ? ふむ……たしかに今日は少し寒いからな、冷えたのだろ? よし、私の魔王マントと魔王マフラーを貸してやろう、これで身体を温めろ」

「ふぁあっ……!? ど、どうして? な、なんでそんなに優しくするんですか……?」

 ボクはヨーケスおにいさんの大敵、勇者パーティーの大魔法使いなのに……?

 きゅ、急にこんなことされたら、ドキドキしちゃうよ。

 お、おかしいな、ボクは男のコなのに……。

 魔族って、もっと怖くて恐ろしいと思ってたのに。それに、その魔族の頂点に座する魔王がこんなに優しいだなんて……!

 ボクはなぜか、魔王ヨーケスにときめいていた。高鳴る胸の鼓動が止まらない。

 ドキドキ、ドキン、トゥンク……!

「どうしたキノコ、遠慮する必要などない。ん? さてはお前マフラーの巻き方も知らんのか? ほら、こうするのだ」

 ……彼が魔王だというのに、不思議とボクに警戒心はなかった。

 ヨーケスおにいさんが、ボクの首にふわりとマフラーを巻きつけている。真っ赤な色をして、情熱的なマフラーだな……大人っぽくてすてきかも。

 あとなんか、いい匂いがする。

「あ、ありがとうヨーケスおにいさん……」

 ボクは彼を見上げて、ぽつりとお礼をつぶやいた……そのときだった。

「あ! いたいた! おーいマッシュー!」

 ユーナちゃんがぶんぶんと手を振りながら、ボクらの元へと駆けよってくる。

「もー、探したよ? どこ行ってたの?」

「ご、ごめんユーナちゃん。ボク身長ちっさいからユーナちゃんを見失って。そんな時、こちらのヨーケスおにいさんと出会って、ついお話しが盛り上がってしまって…………」

 ボクがそう言うと、ユーナちゃんがヨーケスおにいさんに顔を向ける。

 ユーナちゃんは身体をくの字にして、腰に両手を当てながら。

「ヨーケス、あんたこんなところで何しとるん? まさか、マッシュをいじめよったんちゃう!? 怒らんからしょーじきに言うてみ? な?」

 目をつりあげて、ヨーケスおにいさんにつめよっていた。

 すると、ヨーケスおにいさんはみるみるうちに顔が真っ赤になっていく。

 ユーナちゃんに返答する彼は、どこか嬉しそうだった。

「そ、そんなことしない。わ、私がユーナを探してたら、たまたまこのキノコもユーナを探してるっていうから、二人で協力してただけだよ? 私はな、とにかくユーナに会いたかっただけなのだ!」

 そして、ユーナちゃんとキスをしてしまうんじゃないかってほど、二人の顔の距離は近かった。

 それを見て、ボクのハートがなぜかチクリと痛む。

 そういえば、ヨーケスおにいさんはユーナちゃんに会いたかったんだよね。

 会えて嬉しくなるのは当然だよね。

 でも……なんでだろ、ちょっと妬けてしまうのは。

 もしかしてボクは……?
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない

二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。 ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。 当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。 だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。 ――君の××××、触らせてもらえないだろうか?

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。 ※アルファポリスのみの公開です。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない

ラム猫
恋愛
 幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。  その後、十年以上彼と再会することはなかった。  三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。  しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。  それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。 「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」 「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」 ※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

処理中です...