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20話 魔王が驚く勇者のスピーチ
しおりを挟むユーナを激励するために、王や大教皇、大神官やら大聖女なんかがぞろぞろと、この冒険者ギルドに来ているらしい。
ちなみに、王城の中で祝賀会をしなかったのはユーナの考えなんだとか。
『お城でそんなパーティーしたら、みんな畏まっちゃうでしょ? それに冒険者のみんなが来づらいじゃん』とのこと。
ほんと、ユーナの愛は天井知らずだ。周りにも気を遣える、心から優しい彼女に私は感心してしまう。
『それでは、神託の勇者ユーナ・ステラレコード様、ご挨拶をお願いします』
すると、司会進行役のギルドスタッフに呼ばれて、ステージ袖から私のユーナが姿を現す。
緊張した面持ちではあるが、毅然とした態度でユーナは一度、我々の方へと一礼する。
ツカツカとステージ中央まで歩くと、再び観客側へ深々と頭を下げて。
「みなさん、このたびはユーナの勇者パーティー結成記念に起こしいただき、ほんとうにありがとうございます」
ユーナの言葉に、拍手が巻き起こる。中には甲高い口笛の音を出す者もいるくらいだ。
しかし、良かった……ユーナのしゃべり方もしっかりとした口調で話しができている。
さすが私のユーナだ。賢さで彼女の右に出るのは私くらいなものだろう。
えらい、えらいぞユーナ。
私は心の中でユーナをこれでもかと褒め称える。
ユーナはさらに、渾身のポーカーフェイスをキメながら私たちに向けて言った。
「勇者に選ばれて、迷いも戸惑いもありました。『どうしてユーナが勇者なの?』って後ろ向きになったこともありました。……でも、そんな時思い出したんです。わたしのよく知ってる男の子のことを」
『わ、私のことかな……? (ドキドキ)』
そんなことを思い、私はユーナを見つめる。そしてユーナは続けた。
「彼はいつも前ばかり向いて真っ直ぐでした。……その男の子を思い浮かべたら、なんか悩むのバカらしくなったんです。だからわたしは、勇者としての運命を受け入れ、がんばると誓いました! そして、今日はみなさんにユーナの仲間を紹介しよー思ってます! ……でもまずはその前に! みんな、今日はユーナのために集まってくれてありがとーございますッ! じゃんじゃん飲んでくださいね! だって、今日は王様の奢りですから! あははっ、かんぱーい!」
「「「カンパーイッ!」」」
ユーナの音頭で、身分の高い者もそうでない者も、居合わせた者たち全てが笑顔で手に持っていたグラスを掲げる。
ユーナの笑顔に引き込まれていくのを感じながら……私は思った。
皆を笑顔にできるなんて、なかなかできることじゃない。
そして、ついさっきまで、皆の前で話すことに緊張していた彼女はもういない。
プレッシャーを跳ね除け、いつのまにかゴールデンタイムを掴みとるなんて……まさに勇者。
そんな素晴らしき勇者である彼女を私は今も、これからもずっと……愛し続けよう、そう改めて思ったのだった。
「それではみなさんに、ユーナの新しい仲間をしょーかいしよーと思いまーす!」
むむ? 私のことかな?
いや、愛の告白ではないから、まだ私の名前を言うのは後かもしれない。
ま、私はユーナ以外に興味ないから仲間のことは別にどーでもいい。一人はキノコと判明してるし、いまさらだ。
「んじゃ、さっそく来てもらおうかな。【大聖女シャンプル・リンスル】【大魔法使いマッシュ・ルムゥ】それから……【剣聖エツィー・ドゥガー】」
……あれ?
ちょっと待て、何かがおかしい。
「エツィー……? どっかで聞いたような……」
ステージの照明が落とされ、名前を呼ばれた三人のメンバーにスポットが当たる。
ユーナの脇に現れたのはキノコ、それに一人の美女が。そして……私のよく知る、大自然から抜け出してきたバカゴリラが立っていた。
「……あいつ何をやってるんだ! しかも二つ名が剣聖ってどーゆーことだ!」
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