魔王様はレベル1の勇者に恋をする! 〜ヤンデレ系こじらせ魔王は愛する勇者のレベルを上げさせない〜

愛善楽笑

文字の大きさ
74 / 89

74話 仁義なきワイバーンを討伐だぜ!

しおりを挟む


「ノゾッキー特攻隊長ぉおおお! 戦闘準備が整いやした!」

 魔王軍爆走愚連隊の一人がノゾッキーに大声で駆け寄る。

「オッケェエイ! うっし、てめぇら気合い入れろ! セッシャたちは魔王軍爆走愚連隊のカンバン背負ってんだからよ! 情け無い姿を魔王総長に見せんじゃねーぞ!?」

「「「押忍ッッ!」」」

 私たちを獰猛に威嚇の咆哮を上げる巨大なワイバーンの姿に、魔王軍爆走愚連隊のメンバーは誰一人として怯まない。

 ここにいる私、そしてノゾッキーを含めた魔王軍爆走愚連隊の者たちはワイバーンに負けるだなんて思ってはいないのだ。

 というか、喧嘩上等。
 相手がワイバーンだろうがなんだろうが関係ない。ぶっ込んでくんでヨロシク!

「よぉし、てめぇら行くぞー!」

 すると、ノゾッキーが大声で号令を出す。

 いつもは盗撮バカのくせに、今やノゾッキーはチームを引っ張る勇敢な魔王軍四天王として、配下たちのモチベーションを燃え上がらせていく。

 いつもこうしてくれたら私も嬉しいんだが……と思う。

 と、そんなノゾッキーからつい先程、私はこう告げられていた。四天王らしく、魔王軍爆走愚連隊の指揮は任せてほしいと。

 魔法を放つタイミング、物理攻撃の指示などを自発的にやりたいという。

 だから私はノゾッキーにワイバーン討伐をするにあたり、

「わかった、ノゾッキー。細かいことは言わない、お前が四天王最強ということを私に証明してみせろ!」

 とだけ伝える。

 たしかに私が一人でワイバーンを倒すのは容易い。しかし、それでは部下の成長はない。

 行動を一任することで、ノゾッキーたちが素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれるなら、彼らの成長にも繋がると私は思う。

 すると、ノゾッキーは顔を輝かせて私に言った。

「ありがたき幸せ! セッシャたちが見事にワイバーンを討伐するところを魔王総長にご覧に入れます!」

 ビシッ! と敬礼すると、ノゾッキーは魔王軍爆走愚連隊を率いてワイバーン目掛けて駆け出す。

 私は腕を組み、魔王軍爆走愚連隊の勇姿を見守ることにするのだった。

 ワイバーンの討伐が始まる──!


 ☆★


 魔王軍爆走愚連隊とワイバーンの戦いの火蓋は切って落とされた。

 見上げるばかりの圧倒的な威圧感を放つ大型ワイバーンに、勇猛果敢に突撃していく魔王軍爆走愚連隊。

 先頭は四天王ノゾッキー。

 しかし……。

 ドラゴン種の中では中堅クラスとはいえ、大型の上位ドラゴンにも匹敵するこの大型ワイバーンは、魔王軍爆走愚連隊の攻撃を物ともしなかった。

 地面を踏みしだく轟音と耳をつんざく咆哮を響かせて、強烈なワイバーンの猛撃が降り注いでいく。

 灼熱のブレスと凶悪に鋭い爪、そして思ったより素早い動きに翻弄されるノゾッキーたちは、かなり苦戦していた。

 ……ていうか、一網打尽と言っていいほどに、めっちゃヤられていた。

 打ち付けられ、あれよあれよと吹き飛ばされていく魔王軍爆走愚連隊の面々。
 そして泣きながらワイバーンに背を向けて逃げだすノゾッキー……。

 それだけじゃない。さっきまでイキり散らかしていた魔王軍爆走愚連隊たちが全員、私のいる場所へとしっぽ巻いて逃げてくる。

 おまいら、さっきまでビッと入っていた気合いはどこへ行ったのか……私の方が泣きたくなるわ!

 そして、滝のように涙を流すノゾッキーが私の足にすがりつき、懇願するように私に言った。

「うわぁああああん魔王総長ぉおおお! セッシャたちの攻撃がワイバーンに効かないんですけどぉ! どうしましょう! ねぇどうしましょったらどうしましょう!」

「大の男が泣き喚くな、みっともない! ていうかお前、魔王軍爆走愚連隊のカンバンとやらはどうした!? 情け無い姿を見せるなとか言ったばかりじゃないのか!?」

「だってだって! だってなんですもん!」

 なんだその喋り方……腹立つわ……!

 さっきまでの威勢はどこいったんだよ、私は情け無いよもう!

 ドバドバとサングラス下から涙をこぼすノゾッキーは絶望の表情をしながら、私にかわいく告げる。

 ぜんっぜんこのバカがかわいくないのは置いといて……ノゾッキーは実力もあり、本来ならそこら辺の高ランク冒険者よりは強い。

 だが、やはり生物界最強と謳われるドラゴン種には歯が立たなかったか……!

「まったく……! もういい、わかった! 私がワイバーンとタイマンでケリをつける! お前たちは下がっていろ!」

 嘆かわしいが、現状ではそれしか手段がない。

 私は部下たちを後ろに、ワイバーンに向かい歩きだす。

 仕方ない。
 こいつらが命を落とさなかっただけ良かったことにしよう。普段は私がノゾッキーに魔法ぶっ放すのは置いといて……!

 私は魔王軍の頂点にして魔王。
 部下の失敗ばかりを責めるような真似は出来ない。

 一任した私にも責任があるし、部下をフォローするのも魔王たる私の務めなのだ。

 責任持って、私がワイバーンを討伐してやる……!
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない

二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。 ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。 当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。 だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。 ――君の××××、触らせてもらえないだろうか?

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。 ※アルファポリスのみの公開です。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない

ラム猫
恋愛
 幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。  その後、十年以上彼と再会することはなかった。  三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。  しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。  それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。 「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」 「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」 ※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

処理中です...