20 / 45
光に潜む影-王都暗部襲撃編-
【18】
しおりを挟む『時間だ』
通信機能がついている羽根飾りから、そう声が聞こえた
そして鐘の音が聞こえる
襲来を知らせる鐘の音だ
空を裂くように黒い一線が引かれる
そこからまるで傷口を広げるように中から何かが溢れ出した間から黒い液が滴り落ち汚泥が地を穢す
見るだけで精神を侵す世界の汚濁
それが今地に堕ちようとしていた
『さて、開演だ』
端末から軽い声音が聞こえる
なんてことないさとでも言うように
『序奏〈イントロダクション〉』
尊大な音が響き渡る
あの聖堂の方向から聞こえてくる
聖地を起点にして魔術の強度を高める算段か
それでも単体でこの国一つを背負うなんて
これが神の使徒の所以かななんて考える
目の前の出来事の最中、他人を考えている暇なんてないんだけどね
僕は武器を構える
高ランクの魔法剣でも刃が通るのか心配だ…
王国内各地で同時に異変が起きていた
作戦会議の時最初で問題になったのが領域汚染と精神攻撃だった
奴らにとってそれは息をするような通常の行為であって攻撃でもないらしいけど
それにサイファーが立案した
聖堂で神聖結界を展開すると
人技ではないが本人ができると言っているのでまだ敵の素性すら知らない僕たちは頷くしかなかった
それで予想される敵という話になる
それで星の落とし子の三柱という言葉が出た
え?やっぱ神様じゃん
これから神を倒すのとか無理じゃん!と内心騒いでいた
いくら邪神であっても…英雄でもないのに
あ、二人いるか
これからさらに名声と輝かしい偉業を成す英雄ログナスと
既に伝説の英雄戦神のシルヴァさん
この二人がいればどうにか…なるのかはわからない
なんて言ったって神様だ
本来神代の時でもない限りあり得ない話だ
ナグナロクかって…
旧古代書に載っていた文を思い出した
神降りし時 黄昏の運命がはじまるであろう
意味はわからないが 黄昏ってことは終末を預言しているのもしれない
僕の復讐と研究には役立たなかったからそれ以上触れなかったけど
そうして話がいつのまにか纏まっており盤上に置かれた配置を見るとやはり僕の出番はなさそうだった
だからログナスと父上にごね…嘆願し許可をもらった
「あれが、邪神か」
ログナスが小さくつぶやく
その赤い瞳に黒い異界の神を映す
見た目は化け物そのもので、触手と四本の腕が目立つ
軟体生物のようにグネグネとしていて悍ましい
もし広域の神聖結界がなければこの時点で全滅していただろう存在力と邪悪な呪いだった
ログナスの剣は既に抜かれていた
聖剣は名前とは真逆で黒く発光している
そういえば一瞬見えたシルヴァの大剣の刀身も黒かったなと思い出す
「セウス、絶対俺より前に出るな」
「うんそうする。死にたくないしね」
わざとふざけたように言う
「安心しろ。お前は絶対俺が守る」
顔だけ振り返って笑みを浮かべた
「わかった。僕もログナスを守るよ」
本心だった
それが今の僕の願いだからだ
一度目は殺し合った
だから今度こそ君を守りたいんだ
「ああ、頼む。無茶はしないでおくれよ」
口元に笑みを浮かべる
ログナスにしては珍しい悪戯する子供のような笑みだった
「善処する」
彼の口調の真似をして笑う
と同時に地に黒い海が産まれた
「わわっ!?」
僕たちに到達する前に弾かれた
後方のユダが素早く結界を展開していたらしい
「呆けてないで集中なさい!」
叱られたさすがブレない男
それが何より安心できた
「わかった!」
僕は手を前にかざす
体から魔術式を起動する際の発光が現れる
「異界の神よ 永久に眠れ!」
氷で黒い海の侵攻と足場を作る
「剣よ 目覚めろ」
その一言で聖剣は権能を解放する
全解放していないのに凄まじいオーラだった
グネグネと震えながら動いていた触手が近づいてきた。ログナスに反応したのか一瞬で迫る
あれは物理攻撃だけじゃない
触れただけで腐食し精神を狂気に落とす呪詛がたっぷりと含まれている
解析魔法でも殆どが謎だった
ただわかったのはその危うさと規模の大きさだけだ
ザシュッ!
ログナスが一瞬で迫ってきていた触手を斬り落とす
氷の足場に足をつくりそのまま追撃した
青い閃光が瞬き、その度に邪神の体が削ぎ落とされる
すごい!一方的じゃないか!
あのままなら勝てる
そう確信できた
「踊れ雷よ 大地に迸れ!」
囲むように電撃を僕が放つ
いくつかの触手は焦げて落ちた
ダメージは、あるみたいだ
これなら持久戦でいけるのか
そう考えていた
『ふむ。あれは一端だね』
「え?」
通信でサイファーがそう言った
「一端て?」
『そのままさ。本体は来ていない。あれは黒き神の眷属の触手の一部さ。爪先くらい』
そう告げた
一部であの存在力なのか?
あれ一体で簡単に国は滅びるだろうに
「他の人たちはどうなってるか分かる?」
『わかるよ。西の方は小物が大勢で攻めてきたね。青薔薇の騎士団が応戦して何とかなっているようだ』
「ならよかった。早く応援に行かないと」
『東は君の使用人たちだね。兄弟の子たちだ。今始まったばかりで…おや当たりなようだ。あちらにも一柱がいる』
「そんな!?危険すぎるよこちらに向かっているんじゃなかったの?」
『その通りさ。出現場所が少しずれたようだ。道中に出会ってしまった。ような状態だね。悪運が強いみたいだ』
『北はシルヴァがいる。あっ』
その時凄まじい魔力の波動が肌を叩く
余波だけでこの出力は凄まじい
誰がこんなこと、…一人しかいないか
『北は終わったようだ』
単騎で邪神を一体倒したのか…
瞬殺の勢い。末恐ろしい騎士だ
『南は…もう一柱の近くのようだね。君の使用人二人が交戦している』
「…はやく、助けにいかなくては」
それぞれ青薔薇の騎士団と国の精鋭魔術師団がいるが
どこまで持つか…
目の前では切り刻まれている邪神を見て思った
「ーーーーーー!!!」
邪神が何かを叫んだ
そしてログナスは素早く後退する
足場ごと海に飲み込まれてしまった
そこからさらに触手が出てきて周囲を破壊する
「…埒があかないな」
「何か手はないのかな…」
『あるよ。事前にも話したように。彼らは世界にとって異物だから長くは存在できない。あれなら十分もすれば自然と消える』
「十分でも被害がとんでもないことになってしまうよ」
『そうだね。私の結界内でも直接の黒の汚泥は防げない。生き物が住めない更地になるだろう』
「そんな!?」
「なら倒すしかない。迅速に」
当然のようにログナスが言った
「でもあいつ、自己再生能力なのか。凄まじい速度で再生するよ」
「それでも倒す」
…脳筋プレイですか?
クールに見えて意外と暴力が全てを解決的な…
『自信があって結構。策はあるよ』
「な、なに?」
『奴らの本体でないなら核を破壊すれば消える。広場で見ただろ?赤黒い塊を』
確かに見た。あれが発生源で黒仔山羊が現れたんだ
『体内の中心部にあるけど、見えるかいセウス?』
促されて見る
確かに、中心深くに、ブレる禍々しい光がある
「それを破壊すればいいんだな」
再度剣を構えてログナスは見据える
『君には無理だ』
淡々と言う
「…なぜだ」
冷たい冷気のような声だった
『見えもしない人間にはできない事なんだよ。だからこの場合、セウスにしかできない』
驚く事実に僕もログナスまでも驚いた
「そ「それはできない!させられるわけがない!」」
焦ったようにログナスが羽根飾りに詰め寄る
僕も必然的に近くなるから怖かった
『なら国が蹂躙されるのを指を咥えて見ているのかい?』
「そんなわけがないだろう。あれは俺が倒す」
『だから君には無理だと言っている。感情だけでどうにかなるとでも思っているのかい?』
「奇跡でもなんでも起こしてみせる!俺が倒せば問題がないだろう」
「ろ、ログナスダメだよきっと、多分サイファーの言う通りだ。核以外は全部同じ、水みたいなものだよ」
ログナスの服を掴んで見上げる
「…ッ」
『どちらが子供かわからなくなるね』
「…」
ログナスは酷く狼狽していた。どうしてこんなに…
「どうしたんだよログナス。いつもお前は冷静で、何でも解決してきたじゃないか」
誰よりも努力して研鑽してきたからこそ
その強さで、人々に、この若さで認めれてきた人間だ
僕はそれをよく知っている
ログナスは苦しそうな表情のまま僕を抱きしめる
「…ログナス」
「…すまない。でもセウス、お前には危険な目にあってほしくない」
それはきっと本音だろう
彼が弱くなるのはきっと自分のせいだ
それはわかっていた、ずっと…昔から
「…僕、やるよ」
「セウス!」
肩を掴まれ見つめ合う
安心させるように手を重ねる
「僕だって守りたいんだ。この国を、大切な人たちを」
もちろん。ログナスお前も…
言葉にはしなかった
伝わるはずだから
「……」
「ね?」
手をぎゅっと握る
ねぇ?信じて
「…はぁ、…サイファー殿」
『何かな?』
「先程の無礼申し訳ない」
『気にしてないさ。それだけ大切なんだろう』
「はい」
即答だった
「…止めだけをセウスが刺す。のはどうでしょうか」
『もちろんそれでもいい』
「わかりました。ならやってみます」
ぼくの頭を優しく撫でてくれた
いつものログナスだ
「話は、終わり、ましたか?」
離れたところで黙々と魔術と黒いナイフで撹乱させるように戦って時間稼ぎしてくれていたユダが言う
ご、ごめんね!
「うん!これから畳み掛けるよ!」
「仰せのままに!」
氷塊をユダが蹴り飛ばしてぶつけていた
「俺が全ての触手と腕を切り落とす。その後体を二つに斬るからその核とやらを破壊してくれ。出来るか?」
それってほぼやってくれてると思うけど
実際その方がうまくいきそうだ
「わかった。ユダと一緒によろしく」
「任せろ」
一瞬でユダと合流し攻撃する
激しさは増し、再生するも直ぐに斬られ千切られ壊される
敵ながら哀れだ
「我が身に力を!」
自身にエンチャント(補助:身体強化)する
とにかく、素早くだ!
風と光の加護で守り速度を上げる
魔法剣に魔力を流す
『君の目は長くは発動できない。君の脳が焼き切れてしまうからね』
「わかった」
『再生速度もいれて、三秒だ。それで決めるしかない』
そんなにか
無茶振りなのに不思議と不安感はなかった
目の前では信頼する二人が頑張ってくれているからだった
小物の化物までも海から現れそれらを倒してもいる
「風雷よ いま光とならん!」
二重属性で全身を包む
負荷が大きいがその分攻防一体化で便利な魔術だ
チラッと二人が僕を見る
そして頷いた
「荊よ 棘によって流れた血で汝の罪を量らん」
「青雷よ 全てを焦がせ」
二人の魔術が交差し凄まじい威力で邪神を削る
「ーーーー!!!!!」
雄叫びをあげているように感じた
痛みを感じるのかさえわからないけど
…
…ッ!
み、見えた!
光の濁流の中
中心部深くに黒い結晶があり禍々しい光を放っていた
あれを、破壊する!
「飛べ!」
空気の壁にあたる
強化してなかったら体が千切れていたかもしれない
二人が作ってくれたチャンスを無駄にはしたくなかった
視界の中で、凄まじい速さで既に再生が始まっていた
だけど、間に合わせる
剣をまっすぐ伸ばした
「うおぉぉ!!」
届け!!!
ピキンッ!!
ヒビが入るような音がした
そして、黒い結晶は目の前で砕ける
や、やった
邪神が声もなく崩れていく
これで…なんとか助かった
そんなことを考えながら落ちていく
下にはまだ消えていない黒い海があった
このままでは落ちて侵食されるだろう
だけど魔術のダメージで体が動かなかった
直接魔術で二重属性の補強して動かしたんだ
リスクがないわけが無い
落ちる…
シュッ……スタン…
「…無理をしたな、セウス」
目を開けるとログナスが少し困ったような顔をして見下ろしていた
僕は助けられたようだ
抱き抱えられている
「うん、ごめん。それと…」
ありがとう
そう言って僕は笑った
▼
「いたた!痛いって!」
「我慢しなさい。あんな無茶をして、頭をぶつけた時螺子が飛んでいってしまったのかもしれませんね!」
「いっ!…すみません」
「まったくあなたというお人は…」
小言挟みながらも治療してくれたユダ
二人は無傷らしい
さすがだね
「あれ、ユダ服は?」
「なにか?」
「破けてたよね。ズボンとか」
「はい。なので着替えましたよ」
いつのまに…
「俺はこのまま他の救援に行く。お前たちはどうする?」
「うーん、とりあえず東に行こうかな。あの二人が心配だし、どっちみち見える人がいないと倒せないみたいだし」
そう聞いてログナスが眉を寄せる
怖いからね
「…俺も行く」
「いいの?」
「勿論だ。離れる気はない」
「そ、そう」
なぜか恥ずかしくなる
「青薔薇の方は何とかなっているらしい。精神攻撃さえなければ多少数が多くて少し強いだけの奴らのようだ」
「そうなんだ。ならよかった。あとは南だね」
あそこはルカとカールトンがいる
心配だ
あの二人はどうなんだろう
二人っきりの状態が想像つかない
「私は、申し訳ございませんがお側を離れます。南に向かおうと思います」
申し訳なさそうに言う
その顔は心配そうだった
「そうだね。その方がいいかも。時間稼ぎ頼むよ」
「承知しました。ログナス様、どうか坊ちゃんをお守りください」
「任せてくれユダ」
二人は頷いた
そしてユダは去っていった
「歩けるか?」
「大丈夫。治療魔法してもらったから体は平気」
魔力の多い僕だけどごっそり持っていかれてしまった
もしかしてこの目にも魔力が必要なのかもしれない
考えて使わないと…
「背負ってやろう」
「いい!」
「恥ずかしがることはない」
「そんなんじゃないから、ほら行くよ」
「…ああ」
僕に手を引かれてログナスは歩み出した
0
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる