血の繋がりのない極道に囲まれた宝

安達

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調教される日々

呼ばない理由と庵の危機

「兄貴はそんなに怒ってたのか?」

「…は?」



龍之介の発言に縁下はたまらずそう言った。まさか知らなかったとは思わなかったから。そして瀧雄も亮もきっと縁下と同じ表情をしていた。もちろん庵も。それは龍之介が嘘をついたから。



「なんだお前知らなかったのか?」

「ああ。つかお前知ってんだろ。俺と兄貴の中は死ぬほど悪いって。」

「そうだったな。悪い悪い。」



聞いてはいけないことを聞いてしまったと思ったのだろう。縁下は早々と部屋を後にしようとした。そしてリビングにいる4人に手を振る。



「んじゃ俺は帰るわ。」

「ああ。ありがとな。」

「いいってことよ。俺と龍之介は家族みたいなもんだろ。だから気にすんな。それと亮、お前もあんま無茶すんなよ。龍之介の為ならちょっとばかしやりすぎるとこあるから。もうそうやって怪我すんなよ。」

「…お、おう。」



亮のその返事を聞くと縁下は帰っていった。どうやらとんだ勘違いをしていたらしい。だが逆に運が良かった。縁下は亮が怪我をした原因が玲二だとは思わなかったから。だが問題はまだある。庵だ。縁下の言った馬鹿発言で庵は絶対にあのことを思い出した。だからケアをしなければ。早く…早めに…。そう焦りながら龍之介が庵に話しかけようとしたがそれよりも先に庵が龍之介に話しかけた。



「りゅう…。」

「どうした。」

「あの人ってヤクザなの?」




庵はどうやら玲二に植え付けられた恐怖を思い出すよりも縁下のことが気になって仕方がないらしい。だがこれは龍之介らにとっては良かった。だから亮も瀧雄も龍之介と同様に表情が緩んだ。安心した。



「あの人って縁下の事か?」

「そう。龍に敬語使ってなかった。」

「それはお前もだろ。」

「そ、それはそうだけど…この組の人で龍に敬語使わないってびっくりしたから。」



庵の言っていることは正しい。亮も瀧雄も絶対に龍之介に敬語を使うから。少ししか会っていないけど事務所であった幹部たちも龍之介に敬語を使っていた。唯一敬語を使っていなかったのは玲二と宏斗だけ。だから庵はそう言ったのだ。そんな庵に対して龍之介は丁寧に説明してくれた。



「あいつは俺と腐れ縁だからな。まぁざっくりと言えばガキの頃から知ってる仲だ。この裏社会で共に生きて支え合ってきた兄弟みたいなもんだ。血は繋がってないがな。」

「…そうなんだ。でもだったら尚更すごいね。」

「何がだ。」

「医者になれたこと。大学に頑張って入ったって事でしょ?」

「ああ。そうだな。あいつは努力が出来るからな。」



龍之介はそう言ったが本当のところは違うんだろうなと庵は思った。だって亮も瀧雄もそんな表情をしてないから。きっと過去にたくさんのことがあったのだろう。だから縁下は医者になった。龍之介を支えるためなのか…他にも理由があるのかは庵には分からない。けどこれだけはわかった。龍之介たちは沢山苦しんだってことが。



「凄いなぁ。俺も縁下さんを見習う。」

「…あ?」

「え?」



庵は純粋にかつ本気でそう思ったから縁下の事を褒めた。だがそんな庵に対して龍之介は何故か怒ったようにそう言った。その理由がわからなかった庵は焦る。そして亮に助けを求めようと彼の方を見たが何故か亮も怒っていた。そして瀧雄も…。もう訳が分からない。なんでだよ…とたまらず庵が口を開けた。



「な、なんで怒ってんだ…!!」

「お前があいつのことをさん付けで呼ぶからだろ。」

「…さん付け?」



庵は訳も分からずそう声を荒らげた。だが龍之介は黙ったまま。何も答えてくれない。いつもそうだ。怒った時龍之介はいつもこうなる。だからそんな龍之介の代わりに亮が答えてくれた。だがその意味がまた分からなかった庵は再び疑問でそう問いかけた。そんな庵に対して今度は瀧雄が答えてくれた。



「俺らのことは呼び捨てじゃねぇか。」

「え…ああ、そういうことか。」



確かに言われてみればそうだった。亮の時は余裕がなくなってさん付けする余裕もなくて龍之介の時はさん付けしたくなかった。もちろん瀧も。それはこの人たちを慕いたくない。そう思ったから。だからあの時呼び捨てにしたのだ。そして一度呼び捨てにすれば今頃さん付けで呼ぶのもなんだか変な感じがしたので庵はずっと彼らを呼び捨てで呼んでいたのだ。そんな庵に瀧雄は呆れ顔を向ける。



「そうだ。理解力ねぇな。」

「瀧に言われたくない!」

「おい瀧、庵を興奮させんな馬鹿。庵の答えが聞けねぇだろ。」



亮はそういい起き上がった。どうやら麻酔が取れたらしい。全部取れた訳では無いだろうが起き上がれるほどにはなったようだ。さすがは極道。復活も早い。などと庵が亮に対して凄いと思っていると亮が庵に近づいてきた。



「なんで俺らは呼び捨てなんだよ。」

「…それはっ、」



慕ってないからです…なんて言ったらまたお仕置きされちゃうんだろうな。躾と言って泣かされちゃうんだろうな。そう思った庵は言えなかった。そして庵の性格上こういった場面で咄嗟に嘘が付けない。だから黙り込んでしまった。そんな庵に対して龍之介が再び問いかけてくる。



「庵?言えねぇの?」

「…………っ。」



龍之介がそう聞いてきた時に庵は感じた。これが最後のチャンスだ。ここで言わなければ間違えなくお仕置きをされる。だけど言ってもお仕置きをされる未来しか見えなかった。だからどうしても言えなくて黙り込んでしまう。そんな庵の行動に亮はため息をつく。そして亮は龍之介に対して最悪の提案をしてきた。



「若、こいつくすぐりますか?」

「あ?擽り?」



イカせて泣かせて言わせようとしていた龍之介だったため亮の発言にそう返した。何を言っているんだ…と。そんなお子ちゃまのような擽りで庵が口を割るとは思えなかったから。



「はい。こいつ人一倍弱いんで。」

「へぇ…。」



龍之介は思った。庵が亮に従順になった理由はこれだ…と。泣かせるだけでは足りない。それにくすぐりであれば片付けもせずに済む。性欲は満たせないが可愛い庵は見ることが出来る。だから龍之介は…。



「それもありだな。」

「俺も亮に同意します。」

「珍しくいいこと言うじゃねぇか瀧。」



龍之介に続いて瀧雄もそう言ってきた。そんな瀧に対して亮はそう言った。それも楽しそうに。だが庵はなんにも楽しくない。3人にくすぐられる?そんなの耐えられない。だから必死で暴れだした。



「やだっ、やだって!」

「まだなんもしてねぇだろ。」



何もされてないのに暴れだした庵を片手で抑えながら龍之介がそう言った。だが庵からすれば何もされてないから暴れるのだ。くすぐられる前に暴れて逃げなければ逃げることが出来なくなるから。



「はなせっ、ほんと、ほんとに嫌だって…!」

「だったら言えよ。最後のチャンスだぞ庵。」



亮のその言葉に庵は迷った。だけどくすぐられるよりかはマシ。3人にくすぐられたら一溜りもない。だから庵は正直に言うことにした。



「だ、だって!」

「なんだよ。焦らず話せって。何言ってんのか分かんねぇから。」



焦りながらだと上手く言葉に表せない。そんな庵に落ち着いて話すよう亮が声をかけてくれる。だけど庵が焦っているのは亮のせい。くすぐってはいないものの亮は庵の脇の下に手を置いてきたのだ。だから庵は焦っているのだ。



「…だ、だってっ、いやだったから!」



ああ。最悪だ。庵は大事な部分を抜けてそう言ってしまった。怖かった為に言えなかった。さん付けする余裕がなくて言えなかった。そう言いたかったのに3人をさらに怒らすことを言ってしまった。そして案の定庵のその発言に火をつけた3人は庵を取り囲むようにして徐々に庵を押えていく。



「そうか。嫌だったのか。」

「悲しいですね若。俺らはこんなに庵を可愛がってんのに。」




瀧雄は龍之介にそう言いながら庵を押える。先程まで亮が寝ていたソファに庵はあっという間に仰向けに寝かされた。血はない。瀧が掃除したからだ。だけど問題はそこじゃない。正直に言ったのにくすぐられようとしているということだ。



「なんでっ、いったっ、言ったじゃんか!」

「理由が理由だもんなぁ。ですよね若。」

「そうだな。」



焦る庵を3人は楽しそうにみていた。庵は龍之介に馬乗りになられて…亮もソファに座り庵のお腹を撫でるように手を動かされる。そして瀧雄には腕を抑えられてしまった。これでは身動き出来ない。こんな状態でくすぐられるなんてたまったもんじゃない!



「やだっ、はなしてっ、ほんとに嫌だってば!」

「お前が悪い。」



なんでだよ!意味わかんない!言えって言ったから言ったのに!確かに庵の言葉不足で3人を怒らせたのは事実。だけど言わないとくすぐるって言ったから庵は言ったのだ。なのになんでこんな状況に…。庵はこの絶体絶命の状況に既に泣きそうになっていた。



「おいおい庵。まだなんもしてねぇって。何泣いてんだよ。」



泣いてる理由なんて一つに決まっている。くすぐられたくないからだ。なのにそう言ってくる亮に庵はムカついた。



「いやだ…くすぐられんの嫌なの亮が1番知ってんじゃんか!」

「だからすんだよ。」

「だったらさん付けで呼ぶから…だからっ、だからやめて!!」

「そういう事じゃねぇんだよ庵。なぁ分かるか?これはお前の過去の行動に対する躾だ。黙って受け止めろ。」



龍之介がそう言うと瀧雄と亮は庵の服の中に手を侵入させてきた。ああ。逃げられない。泣かされる。庵は怖くて目をつぶった。ぎゅっとつぶって耐えた。その庵を3人は愛おしそうに見ていた。

そしてーーー。



「さぁ、反省する時間だぞ庵。じっくり可愛がってやるからな。」
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