血の繋がりのない極道に囲まれた宝

安達

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極道の世界

おはなし

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「おなかいっぱいだ。」



ここに来てからというものご飯というものが庵は喉を通らなかった。しかし今回は綺麗に喉を通った。それどころかお腹いっぱいになるまで食べられたのだ。お米も野菜もたくさん食べられた。それがどれだけ幸せなことか庵は身をもって知ることが出来た。いつもは当たり前の行動だけどそれは当たり前なんかじゃない。それを知れた庵は少しのことだけどそれさえも幸せと感じるようになった。そんな庵の頭を瀧雄が撫でてきた。自分の作った料理を美味しそうに食べて貰えたのだ。そりゃ嬉しいだろう。



「そりゃよかった。また作ってやるからな。今度はお前の好物でも作ってやるよ。」

「ほんとに!?瀧のご飯すごく美味しいから嬉しい!」

「はは、そんなにか。ありがとうな庵。」



瀧雄がそう言いながら嬉しそうに笑った。その様子を見て亮は悔しそうにしていた。亮も庵と話がしたいのだろう。しかしそれに耐えている様子だった。それは亮にとってもなんだかんだで瀧が大切な存在であるからこその行動だ。そんな風に亮が嫉妬心を押え耐えていると庵がある機械のことを尋ねてきた。



「ずっと気になってたんだけどこの機械ってなんなの…?」



庵はそう言いながらテーブルの上に置いてある機械を指さした。その機械というのは先程瀧雄が使ったものだった。だから瀧雄は言葉に詰まってしまった。この機械のことを庵に話してもいいものかと思ったから。そんな瀧雄を見て今度は龍之介が話し始めた。きっとここで誤魔化しても庵はいつか本当のことを知ることになる。そしたら今嘘をつかれた事に対して嫌な気持ちになるかもしれない。それを避けようと龍之介は答えることにしたのだ。



「これはな、逆探知するやつだ。」

「逆探知…?」



世間では逆探知のことを知っている人がほとんどであろう。色んなところで逆探知という言葉を聞く場面があるのだから。しかし庵は知らなかった。いや知ることが出来なかったと言った方が正しいかもしれない。それだけ庵が暮らしてきた中で情報が入ってこなかったから。そんな庵を見て亮が説明をしてくれた。



「お前これの事知らねぇの?んーなんて言えばいいんだろうな。例で言うと電話とかした時に相手の位置情報を探るやつだ。どういう仕組みなのかは俺にもわかんねぇんだけどな。」

「そうなんだ…。」



そんなすごい機械があったなんて…と庵は機械を見て驚いた。世の中知らないことだらけだ。狭いところで生きてきた庵はここに来てからというもの驚くことばかりだった。そんな風に驚く庵の頬を龍之介が撫でてきた。



「まぁお前の家にはテレビとかなかったもんな。情報も勿論入んねぇしそりゃ知らねぇよな。だからこれから覚えていけばいいさ。色んな事教えてやるよ。」

「う、うん…。」



龍之介はそう言ってくれたが実際に庵が逆探知機を使う場面はないだろう。しかし知識として覚えておけばいつか役にたつかもしれない。ここには危険な人物ばかりだから。勿論龍之介らもいれて。そして庵は新たな疑問が生まれた。それはこの機械が何故ここにあるのかと言うことだ。



「…これ、何に使ったの?」



初めて見る機械。そして使い方を知った庵。だからだろう。好奇心から疑問がたくさん生まれてくる。そんな庵を見て今度は瀧雄が答えてくれた。こういうたわいもない話が庵の恐怖心を消すと思ったから。



「庵、宏斗さんって人覚えてるか?」

「うん。覚えているよ。」



もちろん庵が忘れるはずがない。亮を苦しめた張本人なのだから。そしてそれと同時に庵を脅かす人物だ。庵の中ではとても怖い人…。



「その宏斗さんの位置情報を探るために使ったんだ。あの人は怖いからな。何をしでかしてくるかわかんねぇ。だからせめて何処にいるのかだけでも探れたらいいなと思ってよ。」

「…そうだったんだ。俺もあの人怖い。」



庵がそう言うと龍之介も瀧雄も亮も目を丸くした。それは何故かって?庵が自分の思っていることを話してくれたから。きっと庵にとってまだ龍之介らは怖いだろう。なのに庵は本音を話してくれた。その事に対して3人は驚いたのだ。



「な、なんだよその顔。」

「いや…なんつーか意外だったからよ。」

「何言ってんの亮。どういうこと…?」



意外とはなんだろうか。庵は亮の言葉の意味が分からなかった。だが龍之介と瀧雄には分かったらしい。亮の言った言葉の意味が。その言葉の意味というのは庵が本音を言ったということだ。それを理解していない庵に龍之介は分かりやすく言ってくれた。



「お前が俺ら以外を怖いとか言うと思わなかったって意味だ。実際お前は俺らに死ぬほど酷いことされてんだろ?だからその分驚いたんだよ。お前がそういった事に対してな。」

「べ、別に龍之介たちが怖くなくなったとかじゃなくて…俺は…そのっ、」

「何強がってんだよ馬鹿。俺らが怖くないならそれでいいじゃねぇか。正直になれよ庵。誰もお前を責めるやつはいねぇんだから。若も瀧もお前の事が大切だからな。だからここにいればお前は安全だ。俺らが守ってやるからよ。」

「……あんまそういうの言わないで恥ずかしいよ。」



これまで守られる経験をしたことがなかった庵は自分を大切にしてくれる3人に対して特別な感情が芽生え始めていた。そのことに本人である庵は気づいていない。ただの友達以上の感覚だ。だがだからこそこうやって嬉しい言葉を言われると素直に嬉しいのだ。しかしその反面どうしたらいいか分からなくなる。なんて返せばいいのか分からなくなるのだ。そのため顔を赤くして下を向いてしまった庵。そんな庵に瀧が笑いながら話しかけてきた。



「照れ屋だな庵は。」

「…瀧うるさいっ、だって亮がそういうことばっかり言うから。」

「俺のせいかよ。」

「そうだっ、亮のせいだ。」



恥ずかしさのせいか庵の口調が段々と強くなってきた。それを見て龍之介は庵の頭を撫でた。庵が怒る前にそれを抑えようとしたのだ。



「まぁまぁ落ち着け庵。喧嘩すんのもいいが程々にしとけよ。お前らいつもすぐ喧嘩すんだから。」

「そんなことないし…!!」

「そうですよ若。なんてこと言うんですか。」

「そういう所だ馬鹿。」



龍之介の言ったことを即否定した2人だがそれがもう図星だ。言われたくない事を言われると人は怒ったり焦ったりする。それは嘘を見抜くためのいい証拠だった。そういったことばかりしてきた龍之介からすればこの2人の行動はあまりにもわかりやすいもので思わず呆れ顔になる。そんな龍之介を見て瀧が笑いながら話し出した。



「そんな顔しないでやってくださいよ若。喧嘩するほど仲がいいって言いますからね。亮と庵は実際仲が良いですしそれはそれでいいんじゃないですか?」

「そうかもな。まぁこいつらの場合は少々やりすぎだが。」

「それは確かに言えてます。」

「おい瀧…てめぇにだけは言われたくねぇよ。」



亮は龍之介の言われたことに対してはあまり反発しないのに瀧雄や庵から言われたことに対してはこうして反発してくる。負けず嫌いなのだろうか。でもこうやって本音で話せるのはなんにせよいい事だ。だがこれ以上亮に怒られては後々めんどくさくなるので庵は亮を収めようと口を開いた。



「亮…そうやってすぐ怒んないで。」

「はは、庵にまで言われてやんの。」

「なんだと!!」



せっかく庵が亮の怒りを抑えるためにそう言ったのに瀧がそういったことで亮の怒りは逆戻りだ。これには庵も龍之介もため息をついてしまった。そして庵はそんな2人をみて冷静になったからかあることを思い出した。それは先程瀧雄に聞こうとしてたことだった。



「あとさ、すごい話戻すんだけど宏斗さんの逆探知出来たの?」
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