血の繋がりのない極道に囲まれた宝

安達

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極道の世界

新たな監禁部屋

「やけに大人しくなったなそいつ。」

「だから庵は兄貴が怖いんだってば。」



庵はあのまま宏斗らに連れ去られてしまった。その後エレベーターに乗り事務所を通った。しかしその後庵は宏斗に目隠しをつけられてしまった。せめて帰り道だけは覚えときたかったのにそれが出来なかった。さすがは宏斗だ。念には念をの行動をしてくる。だから庵は耳を澄ました。音を聞いていればなにかの目印になるかもしれないから。しかしそんな庵の行動に気がついた宏斗は足を止めた。



「ねぇ庵。なにしてんの?」

「……え?」

「だから何してんのって聞いてるんだよ。なんでお前は何かを探るように耳を澄ましてるの?」



口調は優しいのにその宏斗の言葉に庵はまるで銃口を突きつけられているかのように感じた。そんな宏斗に庵は抱きかかえられているため宏斗の怒りがひしひしと伝わってくる。なんて答えるのが正解だろうか…。いやきっと正解なんてない。ここで庵が何を言ってもたぶん宏斗の怒りは収まらないだろうから。だから庵は…。



「…ご、めんな、さっ、ぃ、」

「おや。いい子じゃないか庵。俺はびっくりだよ。お前がここまで賢いとは思わなかった。素直に謝ることが出来たから今回は許してあげる。次は無いけどね。」



言い訳もせずちゃんとした答えを出せた庵に宏斗はさぞ満足したようにそう言った。そして止めていた足を動かし始める。だが庵は心臓の鼓動が早まりそれが収まらなかった。宏斗を怒らせた時のあの張り詰めた空気を知ってしまったから。この人を怒らせると何をされるか分からない。その恐ろしさから庵は再び体を震えさせてしまう。そんな庵をみて宏斗は笑ってきた。



「もう全く…。庵はビビりなんだから。」

「ごめん、なさ、ぃ…っ。」

「謝って欲しいわけじゃないよ。ただ俺が無理やりそうしてるみたいで嫌になっちゃうよ。」



庵は宏斗が何を言っているのか分からなくなった。何を求めているのだろうか。何をするつもりなのだろうか。宏斗は庵を無理やり連れ去ったことには変わりない。なのにそう言ってきた。その宏斗への恐怖が庵の中でどんどん膨れ上がっていく。



「まぁ今はいいよ。実際に俺らは怖いだろうからね。でもだからって俺は甘やかさないから。」

「お前は相変わらずだな。」



優しいけれど鞭を打つことは決して忘れない宏斗。でもそれでいいかもしれない。庵はそのおかげで常に気を張ってられるから。宏斗を怒らせないように最善を尽くせるから。宏斗はそんなつもりで言ったのではないだろうけれど結果としては良かった。そんな宏斗は玲二の方を向いて返事をし始める。



「兄貴には言われたくないよ。」

「は?なんでだ。」

「兄貴はすぐ人を殺すでしょ?」

「それは相手が悪い。俺を怒らせんのが悪いんだ。」

「そういうとこ治さないと。部下がビビって嘘ついちゃうかもしれないよ?庵だって兄貴にビビって気絶しちゃうかも。」



庵は2人の話を聞いて更に震える。宏斗は絶対に怒らせてはいけない。きっと拷問をした時も絶対気絶させないように最大の痛みを与えてくるタイプだから。でも玲二は反対だ。一瞬にして殺す。目障りになれば消す。そんなタイプだった。その真逆のタイプの2人が合わさり更に庵に恐怖を与えていく。



「まぁ気絶をすれば起こせばいいだけだ。宏斗、お前の得意分野だろ?」

「そうだね。まぁちょっとは兄貴にも怒りを抑えて欲しいところだけど。」

「無理な話をするな。俺はこういう性格だ。」

「なら俺も気をつけなきゃいけないね。いつか兄貴に生き埋めにされちゃいそう。」



宏斗がそう言ったということは過去に玲二は誰かを生き埋めにしたことがあるということだ。生きたまま埋められタイムリミットのように死が近づいてくる。そんなの嫌だ。怖い。庵は二人の会話を聞けば聞くほど生きた心地がしなかった。



「そう言うな宏斗。お前にはそんな事しねぇよ馬鹿。お前はあいつらとは違うからな。」

「そう?でも兄貴にそう言って貰えて俺は素直に嬉しいよ。」

「そうか。なら喜んどけ。お前には助けられてばかりだからな。」

「当然だよ。俺は兄貴がいるからこうして庵を手に入れることだって出来たんだから。もうここまで来れば組長とか若とかそういうのどうでもいい。庵をただ俺のものにしたいだけだ。」



宏斗はそう言ったが庵は感じた。絶対にどうでもいいなんて思ってない…と。宏斗はきっと玲二を利用しているんだ…。庵がそんなことを怯えながら考えているとドアを開ける音がした。

そしてーーー。



「さぁ着いたよ庵。今日からここがお前の部屋だよ。」



宏斗がそう言いながら庵につけていた目隠しを取ってきた。急に入ってきた眩しい光に庵は思わず目をつぶった。



「ごめんね庵。眩しかったよね。ゆっくり目を開けてごらん。」



宏斗がそう言いながら庵をベットのようなところに下ろした。目が開かない庵にはそれがベットかどうかは判別できない。そしてそれと同時にこの部屋がどんなところなのかもわからなかった。それを確かめたくて目を開けたいのに眩しくてできない。こんなにライトって眩しかったっけ…?



「んーまだ無理そうかな。」

「宏斗、お前がこの布を使うからだ。」



玲二のその言葉を聞いた庵は察した。何となくではあるがこの布が…目隠しに使われたこの布には何か特殊な効果があるのだと。そしてその庵の予想は当たっていた。



「でもこれ使わないと周りのライトとかで場所がバレちゃいそうだったからさ。そしたら兄貴も困っちゃうでしょ?」

「まぁそうだな。その分目を開けんのに少し時間がかかっちまうけどよ。」

「そうだね。そこだけ改善しないと。また改良しとくよ。」

「…いやでもこれはこれで良かったんじゃねぇの?」

「どうしてそう思うのさ。」

「今の間にこいつの服とか全部はぎ取って拘束しとけばいいだろ。暴れられたら面倒だからな。」


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