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極道の世界
話
「逆に親父は坊ちゃんを甘やかしすぎなんですよ。だからこういうことになるんです。」
強く龍之介に返す益田をみて和紀が笑ってきたがその和紀に対しても益田は強く出た。そんな益田をみて亮も瀧雄も呆然とする。彼らにはきっと出来ない事だから。
「なんてことを言うんだお前は。」
本気で怒ったわけではないだろうが和紀が益田に対してそう言った。その2人をみて龍之介は顔を顰めた。
「そういうのは後にしろ。今は庵を寄越せ。」
楽しく話している暇なんて龍之介にはない。いち早く庵に触れたい。庵を感じたい。なのにそんな雑談を聞かせれてはそりゃ我慢の限界になるだろう。だから益田はそんな龍之介に庵を渡すことにした。龍之介が本気で怒ってそうだったから。
「分かりましたよ坊ちゃん。庵を落とさないでくださいよ。」
「当たりめぇだ。いいから早く庵を寄越せ。」
「はいはい。」
余裕のない龍之介をみて思わず益田はため息をつきたくなったがそのまま庵を龍之介に渡した。すると龍之介は庵を受け取るや否やどこかに行き始めた。そんな龍之介をみて益田は口を開いた。
「坊ちゃんどこに行くのです?」
「風呂だ。お前は着いてくんなよ。こっからは俺の仕事だからよ。」
「そうですか。お気を付けて。念の為言っておきますが羽目だけは外さないようにお気をつけくださいね。」
庵があれだけの目に遭ったんだ。龍之介は庵が実際どんな目に遭わされたのかは知らない。庵の口から聞いた訳では無いから。でも聞かなくても大体わかった。後孔から漏れている射精液。身体中に付けられた無数の痕。そして相当泣いたのであろうこの腫れた目。それを見ただけで庵が何をされたのかなんて一目瞭然だ。だから龍之介はもちろん庵に手を出す気もないし出すわけもない。しかし益田は念の為言ったのだ。そんな益田の忠告に龍之介はぶっきらぼうに答える。今は余裕が無いから。早く庵を綺麗にしたかったから。
「へいへい。お前に言われなくとも分かってるよ益田。」
「なら良かったです。では、行ってらっしゃいませ。」
「ああ。亮、お前も来い。」
「はい。」
亮はまさか自分が呼ばれると思ってなかったのだろう。少し慌てた様子だったが直ぐに龍之介の後を追い始めた。そして龍之介は残った瀧雄に和紀達のことを頼むことにした。
「瀧、お前はそいつらの相手をしろ。」
「そいつらって、なんてこと言うんですか若…!」
和紀はこう見えてもこの組のトップだ。組長なのだから。そんな相手にいくらお父さんとはいえそいつと言った龍之介に思わず瀧雄は声を荒らげてしまった。
「うるせぇ。いいから相手してろ。」
「…分かりました。」
そう言ってきた龍之介の声を聞いて瀧雄は感じた。龍之介は今相当怒りを抑えてるって。そりゃそうだろう。庵がこんな目に遭わされてしまったのだから。だから怒らない方が無理だろう。しかし怒っても何も解決しない。だから龍之介は頑張って怒りを抑えているのだ。そんな龍之介をみて瀧雄はこれ以上何も言わずにただそう答えた。その瀧の返事を聞くと龍之介はリビングへと入っていき風呂場をめざして歩き始めた。そして玄関に残された瀧雄は龍之介の代わりに和紀に謝罪をしようと頭を下げた。
「すみません組長。若は今余裕が無いだけなんです。だから無礼をお許し下さい。若の代わりにお詫びします。」
龍之介の代わりに頭を下げ許しを乞い始めた瀧雄をみて和紀はなんだか誇らしくなった。舎弟とはいえここまで上司の尻拭いをする。そんな部下を持った龍之介が和紀は誇らしくなったのだ。
「いやいやお前が謝ることじゃないよ瀧。ここで話すのもなんだからリビングへ行こうじゃないか。」
「はい。そうですね。行きましょうか。益田さんも行きましょ。」
「ああ。そうだな。」
益田がそう言うと和紀が歩き始めた。そしてその後に益田、瀧雄が続くように歩いていく。もちろんリビングのドアは益田が開ける。そんなこんなでリビングに到着し椅子に座った3人は再び話を始めていた。
「それで瀧雄…話を戻すがお前らよくわかったな。」
「何がですか?」
わかった?なんのことだろうか。さっぱり分からなかった瀧雄は和紀に聞き返した。意味もわからず適当に答えるよりはそっちの方がいいから。そんな瀧雄に和紀はわかりやすいように言い直してくれた。
「庵の居場所だ。あの場所を断定するのは至難の業だぞ。」
「ああ、そういうことですか。それは勿論ですよ。」
「どういう事だ?」
瀧雄があまりにも自信満々に言ってきたので益田が思わずそう言い返した。今の瀧はにはそこまでの能力は無いはずだから。だからそう聞き返したのだ。
「もしもの時ように調べておいたんです。宏斗さんの事を。だから分かったんですよ。でもこの部屋のドアをそんな簡単に破られる事は想定外でした。」
「そうだな。まぁあいつも不器用だからな。許してやれとは言わないが…わかってやってくれ。」
和紀は少し申し訳なさそうに瀧雄にそう言った。だが瀧雄には許すも何もそんなことを言える立場ではない。だから…。
「俺はそんな立場では無いので許すも何もないですよ。全ては若に従うまでです。」
「はは、そうかそうか。」
肝が座っている。そんな瀧の姿に和紀は思わず笑った。きっと怒り狂っていたであろう場面なのに瀧雄は我慢してこうして和紀らと話している。そんな瀧雄に和紀も益田も感心した。そして瀧雄は会話が途切れたこの瞬間を逃さず聞きたいことを和紀に聞くことにした。
「あの組長…、」
「どうした?」
「…宏斗さんたちはどうするのですか?」
直ぐに解放されてしまえばきっとまた庵が危ない目に遭う。その可能性はゼロではないから。もちろん全力で守るが宏斗には叶わない部分が龍之介には沢山ある。だから瀧雄は心配でそう聞いたのだ。だがそんな瀧雄に和紀は難しい顔をした。
「…お前はそれを知らなくていい。知ると後悔するかもしれねぇからな。」
そういうということは和紀は腹を括ったのだろう。もしかしたら宏斗らに手を下すのかもしれない。いやもしかしたらもっと前からそれを計画していたのかもしれない。その証拠に三男である上に養子である龍之介を若の座に仕立てあげているのだから。そんな和紀に瀧雄はこれ以上追求することはしなかった。
「承知しました。ではこれ以上は聞きません。」
「お前は本当に肝が据わってるな。」
「益田さんには敵いませんよ。」
「そうか?」
益田に肝が据わっていると言われたことが素直に嬉しかった瀧雄だが今瀧雄はあることがずっと気になっていた。それは庵と龍之介のこと。だから会話に途中から集中できずにいた。そんな瀧雄の異変に気づいた和紀が優しく微笑み口を開いた。
「瀧、行ってこい。」
「…え?」
「心配なのだろう。行ってきなさい。」
瀧雄はなんて言葉に表せばいいか分からなかった。自分のことまで気遣ってくれる和紀に嬉しさを隠せなかった。そして瀧はその和紀の優しさに甘えることにした。
「ありがとうございます組長…。感謝します。」
「いいんだよ。ほら瀧、早く行って来い。」
「はい。」
強く龍之介に返す益田をみて和紀が笑ってきたがその和紀に対しても益田は強く出た。そんな益田をみて亮も瀧雄も呆然とする。彼らにはきっと出来ない事だから。
「なんてことを言うんだお前は。」
本気で怒ったわけではないだろうが和紀が益田に対してそう言った。その2人をみて龍之介は顔を顰めた。
「そういうのは後にしろ。今は庵を寄越せ。」
楽しく話している暇なんて龍之介にはない。いち早く庵に触れたい。庵を感じたい。なのにそんな雑談を聞かせれてはそりゃ我慢の限界になるだろう。だから益田はそんな龍之介に庵を渡すことにした。龍之介が本気で怒ってそうだったから。
「分かりましたよ坊ちゃん。庵を落とさないでくださいよ。」
「当たりめぇだ。いいから早く庵を寄越せ。」
「はいはい。」
余裕のない龍之介をみて思わず益田はため息をつきたくなったがそのまま庵を龍之介に渡した。すると龍之介は庵を受け取るや否やどこかに行き始めた。そんな龍之介をみて益田は口を開いた。
「坊ちゃんどこに行くのです?」
「風呂だ。お前は着いてくんなよ。こっからは俺の仕事だからよ。」
「そうですか。お気を付けて。念の為言っておきますが羽目だけは外さないようにお気をつけくださいね。」
庵があれだけの目に遭ったんだ。龍之介は庵が実際どんな目に遭わされたのかは知らない。庵の口から聞いた訳では無いから。でも聞かなくても大体わかった。後孔から漏れている射精液。身体中に付けられた無数の痕。そして相当泣いたのであろうこの腫れた目。それを見ただけで庵が何をされたのかなんて一目瞭然だ。だから龍之介はもちろん庵に手を出す気もないし出すわけもない。しかし益田は念の為言ったのだ。そんな益田の忠告に龍之介はぶっきらぼうに答える。今は余裕が無いから。早く庵を綺麗にしたかったから。
「へいへい。お前に言われなくとも分かってるよ益田。」
「なら良かったです。では、行ってらっしゃいませ。」
「ああ。亮、お前も来い。」
「はい。」
亮はまさか自分が呼ばれると思ってなかったのだろう。少し慌てた様子だったが直ぐに龍之介の後を追い始めた。そして龍之介は残った瀧雄に和紀達のことを頼むことにした。
「瀧、お前はそいつらの相手をしろ。」
「そいつらって、なんてこと言うんですか若…!」
和紀はこう見えてもこの組のトップだ。組長なのだから。そんな相手にいくらお父さんとはいえそいつと言った龍之介に思わず瀧雄は声を荒らげてしまった。
「うるせぇ。いいから相手してろ。」
「…分かりました。」
そう言ってきた龍之介の声を聞いて瀧雄は感じた。龍之介は今相当怒りを抑えてるって。そりゃそうだろう。庵がこんな目に遭わされてしまったのだから。だから怒らない方が無理だろう。しかし怒っても何も解決しない。だから龍之介は頑張って怒りを抑えているのだ。そんな龍之介をみて瀧雄はこれ以上何も言わずにただそう答えた。その瀧の返事を聞くと龍之介はリビングへと入っていき風呂場をめざして歩き始めた。そして玄関に残された瀧雄は龍之介の代わりに和紀に謝罪をしようと頭を下げた。
「すみません組長。若は今余裕が無いだけなんです。だから無礼をお許し下さい。若の代わりにお詫びします。」
龍之介の代わりに頭を下げ許しを乞い始めた瀧雄をみて和紀はなんだか誇らしくなった。舎弟とはいえここまで上司の尻拭いをする。そんな部下を持った龍之介が和紀は誇らしくなったのだ。
「いやいやお前が謝ることじゃないよ瀧。ここで話すのもなんだからリビングへ行こうじゃないか。」
「はい。そうですね。行きましょうか。益田さんも行きましょ。」
「ああ。そうだな。」
益田がそう言うと和紀が歩き始めた。そしてその後に益田、瀧雄が続くように歩いていく。もちろんリビングのドアは益田が開ける。そんなこんなでリビングに到着し椅子に座った3人は再び話を始めていた。
「それで瀧雄…話を戻すがお前らよくわかったな。」
「何がですか?」
わかった?なんのことだろうか。さっぱり分からなかった瀧雄は和紀に聞き返した。意味もわからず適当に答えるよりはそっちの方がいいから。そんな瀧雄に和紀はわかりやすいように言い直してくれた。
「庵の居場所だ。あの場所を断定するのは至難の業だぞ。」
「ああ、そういうことですか。それは勿論ですよ。」
「どういう事だ?」
瀧雄があまりにも自信満々に言ってきたので益田が思わずそう言い返した。今の瀧はにはそこまでの能力は無いはずだから。だからそう聞き返したのだ。
「もしもの時ように調べておいたんです。宏斗さんの事を。だから分かったんですよ。でもこの部屋のドアをそんな簡単に破られる事は想定外でした。」
「そうだな。まぁあいつも不器用だからな。許してやれとは言わないが…わかってやってくれ。」
和紀は少し申し訳なさそうに瀧雄にそう言った。だが瀧雄には許すも何もそんなことを言える立場ではない。だから…。
「俺はそんな立場では無いので許すも何もないですよ。全ては若に従うまでです。」
「はは、そうかそうか。」
肝が座っている。そんな瀧の姿に和紀は思わず笑った。きっと怒り狂っていたであろう場面なのに瀧雄は我慢してこうして和紀らと話している。そんな瀧雄に和紀も益田も感心した。そして瀧雄は会話が途切れたこの瞬間を逃さず聞きたいことを和紀に聞くことにした。
「あの組長…、」
「どうした?」
「…宏斗さんたちはどうするのですか?」
直ぐに解放されてしまえばきっとまた庵が危ない目に遭う。その可能性はゼロではないから。もちろん全力で守るが宏斗には叶わない部分が龍之介には沢山ある。だから瀧雄は心配でそう聞いたのだ。だがそんな瀧雄に和紀は難しい顔をした。
「…お前はそれを知らなくていい。知ると後悔するかもしれねぇからな。」
そういうということは和紀は腹を括ったのだろう。もしかしたら宏斗らに手を下すのかもしれない。いやもしかしたらもっと前からそれを計画していたのかもしれない。その証拠に三男である上に養子である龍之介を若の座に仕立てあげているのだから。そんな和紀に瀧雄はこれ以上追求することはしなかった。
「承知しました。ではこれ以上は聞きません。」
「お前は本当に肝が据わってるな。」
「益田さんには敵いませんよ。」
「そうか?」
益田に肝が据わっていると言われたことが素直に嬉しかった瀧雄だが今瀧雄はあることがずっと気になっていた。それは庵と龍之介のこと。だから会話に途中から集中できずにいた。そんな瀧雄の異変に気づいた和紀が優しく微笑み口を開いた。
「瀧、行ってこい。」
「…え?」
「心配なのだろう。行ってきなさい。」
瀧雄はなんて言葉に表せばいいか分からなかった。自分のことまで気遣ってくれる和紀に嬉しさを隠せなかった。そして瀧はその和紀の優しさに甘えることにした。
「ありがとうございます組長…。感謝します。」
「いいんだよ。ほら瀧、早く行って来い。」
「はい。」
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