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トラウマ
消毒ってなに!
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「…わかった。」
龍之介の言葉に庵はしばらく考えている様子だったが自分の中で決心が着いたようでそう小さく答えた。その庵の答えを聞いて龍之介はもちろんのこと亮も瀧雄も安心した。
「龍の気持ち…わかったから言う通りにする。」
庵の中ではやはり事実を知りたいという気持ちが残っているようだった。その証拠に庵は龍之介にそう言った。しかしその言葉を聞いた龍之介は嬉しくなった。なぜなら庵が自分の意思で決めたのは言うまでもないがその決心た理由は龍之介であったことを示しているから。それは庵が龍之介のことを徐々に信頼してきていることを表していた。
「ありがとうな庵。」
庵が自分の気持ちを押し殺して分かったと言ってくれたことが嬉しかった龍之介はそう微笑みながら庵の頭を撫でた。だけど庵はやっぱり気になるようだ。龍之介の顔を伺うようにチラチラと見ているから。そして我慢できなくなってしまったのだろう。庵は龍之介の目を見て口を開いた。
「龍…。」
「どうした?」
「わがまま言ってるって分かってる…分かってるけど…俺知りたい。」
言う通りにする…。そういった庵だがどうしても気になるらしい。自分の中でその事が気になって仕方がないのだろう。そんな庵をみて龍之介は考えた。このまま庵に内緒にして過ごさせたら毎日毎日モヤモヤして過ごすことになる。それは庵にとって良いことなのだろうか。いや違うだろう。庵にだって知る権利がある。だから龍之介は…。
「庵。どうしても知りたいのか?」
「ちょっと若…言うつもりじゃないですよね。」
亮はどうやらあのことを庵には知らせたくないと思っているらしい。そりゃそうだろう。過保護で優しい亮なのだから。だがそれはあくまで亮の考えだ。庵の考えではない。だから口を挟んできた亮のことを龍之介は睨む。
「亮、お前は黙ってろ。」
「…はい。分かりました。」
龍之介の目が本気だったのを見て亮を身を引いた。ここは自分の出る幕では無いと思ったのだろう。そのためこれ以上亮が口を挟むことは無かった。そんな黙り込んだ亮をみて再び龍之介が口を開く。
「庵、もう一度聞く。お前に覚悟はあるか?」
「…あるっていうか大体察してるんだ。」
庵のその言葉を聞いて龍之介も亮も瀧雄も目を見開いた。庵はこれまでそんな素振り見せていなかったから。事実を知ろうとあんなに必死になっていたし亮にも瀧雄にもすがりついていた。なのに庵はそんなことをいってきた。だから龍之介は驚きのあまり口を閉ざしてしまう。そんな3人を見て庵は微笑んだ。そして話し続けた。
「さっき亮に抱かれそうになった時怖かったのはそういう目に遭ったって事だよね。だからあの時わかってたんだ。なんとなく…だけどね。それを受け入れたくなくて確かめたくて…。でもだとしてもみんなに酷い事言っちゃった。ごめん。」
庵は落ち着いたとはいえその事実を受け入れるのは容易ではないだろう。なのに庵は苦しさを龍之介らに見せないためか微笑みながらそう言った。悔しい時や悲しい時その表情を隠すのは難しいことだ。涙だって流れてくる。それを止めるのは不可能に近い。だが庵はそれを簡単にやってのけた。それは庵がこれまでしてきたからでだろう。あの母親に育てられればそうなるのは無理はないかもしれない。だがそんな庵をみて亮と瀧雄は心が傷んだ。しかし龍之介は違ったようだ。いやもしかしたら実際龍之介も心が傷んでいたのかもしれない。だが龍之介はそれを表に出さなかった。辛いのは庵自身だから。
「庵、お前の言う通りだ。でも謝るのはお前じゃねぇ。俺だ。お前の気持ちも聞かずに丸め込もうとした。すまなかった。」
「俺のためを思ってしたことだって分かってるから大丈夫だよ。」
「お前は優しい子だな。」
庵の言ったことはまだたった15歳の少年が言えるセリフでは無いだろう。憎しみや嫉妬…それに駆られて他人を痛げあげるような年頃なのだから。だからこそこれまでどんな苦しみの中で生きてきたのか龍之介はよく分かる。庵が話せば話すほど身に染みて分かった。いい環境に生まれれば何も考えず高校に通っていた年頃だ。なのに庵は環境を恨まない。きっとそういう考えだからこそ庵はここまで強くなったのだろう。だがそんな庵でも気になることがある時は子供になる。そのため庵は聞いていいのか龍之介の顔色を伺っていた。その仕草が可愛くて龍之介は思わず笑いそうになったが堪えて庵に話しかける。
「なんだ庵。気になることがまだあるか?なんでも言ってみろ。」
「……俺がここにいるってことは誰かが助けてくれたんだよね。聞くの怖くてやめようとしたけどやっぱり知りたいから聞いてもいい?」
「ああ。いいぞ。」
龍之介は庵に優しく微笑みそういった。その龍之介の表情を見て安心したのだろう。庵は表情を明るくした。
「龍が俺のこと助けてくれたの?」
「俺だけじゃねぇよ。こいつらも親父達もだ。いや悔しいがほとんど親父たちだな。」
「そっか。だから益田さん達がいたんだ。」
「ああ。そうだ。つかお前がさっきあんだけ知りたがってたのはそれだけか?」
龍之介は庵の不満や不安を全て解消したいと思っていた。あれだけパニックになっていたのだ。他にも知りたいことがあるはず。だから龍之介は庵にそう聞いた。すると庵は少し困ったような顔をした。
「さっきはなんにも分かんなくて混乱してたのもあったから…。」
「まぁそうだよな。分かんねぇことは怖いしよ。それを確かめたくて必死になるのも無理はないさ。」
「…うん。あとさ…だめって分かってけどその相手の名前教えてくれたりする?」
「無理だ。それは言葉に出したくもねぇ。何があっても口にしたくねぇんだよ。」
「そっか。わかった。」
龍之介は宏斗の名を余程出したくなかったのだろう。そのためぶっきらぼうに答えてしまった。だが庵はそんな龍之介の言葉に頷いた。それはもう充分知れたからだ。知りたいことがしれた。そして龍之介らが庵にこのことを隠していた理由も知れた。だから庵は満足したのだ。欲を言えば全てを知りたかったがそれはもう諦めることにしたのだ。そして庵はとてもスッキリした。
「なーんだ。結果オーライだね。さっきはどうなるかと思ったけどよかったぁ。」
ほとんどの事実をしれた庵はスッキリしたようで顔の表情も明るくなっていた。そして庵がそう言った理由は他にもある。それはここにちゃんと戻ってこれたこと。龍之介たちと和解できたこと。龍之介たちが怪我をしていなかったこと。他にも色々あるが庵は今全てが上手くいったように見えた。そのためそう言ったのだ。だが亮はそう言った庵に意味がわからないと言わんばかりに牙を剥き出しにしてきた。
「は?オーライじゃねぇよ。何言ってんだ馬鹿。お前実際大変な目に遭ってんだからよ。」
「亮ってすぐバカバカ言うよね。ばかって言う方がばかなんだぞ!」
「今そういう話してねぇんだよ。何が結果オーライだ。お前自分の体見たか?傷だらけじゃねぇかよ。」
「亮怒ってるの?」
「当たり前だ。お前がこんなに目に遭ったんだぞ。」
「たしかにそうだね。けど俺は今幸せだからそれでいいんだ。」
庵は過去に囚われないのだろう。引きずらない。そして未来を見る。だから過去に何があったとしても庵はそれを自分の力に変えて未来へと進んでいく…そんな少年だ。それを目の当たりにした亮と瀧雄は思わず自分を恥じた。たった15の少年に負けた気がしたから。そんな2人をみて龍之介は笑ってきた。
「瀧、亮。お前らとは大違いだな。」
「そんな事言わないでくださいよ若…。」
気にしていたことを龍之介に直接言われ亮はさらに落ち込んでしまう。そのためそう言った声色もかなりショックを受けているように感じた。そんな亮をみて龍之介はさらに笑う。
「はは、悪い悪い。それよりも庵…。」
「ん?なに?」
「お前幸せなのか?」
「うん。幸せだよ。」
「そうか。なら俺らもいつでもお前を抱けるな。」
「…ん?」
思わず庵は聞き流しそうになったが今龍之介なんて言った?抱ける…?だれを?いや庵しかいないじゃないか。さっきはあんなに心配して謝ってきたのに!庵は機嫌が急降下する。そして逃げようとしたが亮に捕まってしまう。
「ちょっと…亮?なにするの?」
「んー?さぁね。それより若。若の言う通り庵も元気そうですし消毒しましょうか。」
消毒?消毒ってつまり…。いや違うかもしれない。庵が思っていることと亮達がやろうとしていることは違うかもしれない。龍之介が抱くと言ったのも冗談かもしれないじゃないか。だから庵は最後の望みをかけて亮に必死に訴える。
「ちょ、ちょっと待ってよ亮…っ、さっき言ったよね!?俺の身体傷だらけって!」
「だから消毒すんだよ。な、瀧。」
「ああ。若、俺も参加します。隅から隅まで綺麗にしてあげましょう。」
「瀧まで何言ってんの…っ、俺、身体辛いって…!」
「どこがだよ。元気そうじゃねぇか。なら早々に消毒しねぇと気がすまねぇ。それにお前の記憶万が一戻った時の対策にもなるだろ。ですよね若。」
亮はまるで庵のことを思っているといわんばかりにそう言ってきた。だがそれはただの自己満だ。絶対にそうだ。庵から痕を消して自分たちの痕をつける。それがしたいだけだろう。だが亮の立場になればそうしたいと思うのも分からなくもない。自分の庵に痕をつけられ汚くされてしまったのだから。だから亮らの気持ちも分からなくもないがそれでも…。
「やだっ、3人はいやっ、せめて1人にしてよっ!」
「甘ったれたこと言ってんじゃねぇ。亮の言う通りなんだからよ。早く消毒してやらねぇとお前の体が汚れたままだ。」
「汚れてないからっ、俺はいやだってばっ!」
「はーい。暴れない。」
「ちょ、りょうやめてっ、やだぁ!」
龍之介の言葉に庵はしばらく考えている様子だったが自分の中で決心が着いたようでそう小さく答えた。その庵の答えを聞いて龍之介はもちろんのこと亮も瀧雄も安心した。
「龍の気持ち…わかったから言う通りにする。」
庵の中ではやはり事実を知りたいという気持ちが残っているようだった。その証拠に庵は龍之介にそう言った。しかしその言葉を聞いた龍之介は嬉しくなった。なぜなら庵が自分の意思で決めたのは言うまでもないがその決心た理由は龍之介であったことを示しているから。それは庵が龍之介のことを徐々に信頼してきていることを表していた。
「ありがとうな庵。」
庵が自分の気持ちを押し殺して分かったと言ってくれたことが嬉しかった龍之介はそう微笑みながら庵の頭を撫でた。だけど庵はやっぱり気になるようだ。龍之介の顔を伺うようにチラチラと見ているから。そして我慢できなくなってしまったのだろう。庵は龍之介の目を見て口を開いた。
「龍…。」
「どうした?」
「わがまま言ってるって分かってる…分かってるけど…俺知りたい。」
言う通りにする…。そういった庵だがどうしても気になるらしい。自分の中でその事が気になって仕方がないのだろう。そんな庵をみて龍之介は考えた。このまま庵に内緒にして過ごさせたら毎日毎日モヤモヤして過ごすことになる。それは庵にとって良いことなのだろうか。いや違うだろう。庵にだって知る権利がある。だから龍之介は…。
「庵。どうしても知りたいのか?」
「ちょっと若…言うつもりじゃないですよね。」
亮はどうやらあのことを庵には知らせたくないと思っているらしい。そりゃそうだろう。過保護で優しい亮なのだから。だがそれはあくまで亮の考えだ。庵の考えではない。だから口を挟んできた亮のことを龍之介は睨む。
「亮、お前は黙ってろ。」
「…はい。分かりました。」
龍之介の目が本気だったのを見て亮を身を引いた。ここは自分の出る幕では無いと思ったのだろう。そのためこれ以上亮が口を挟むことは無かった。そんな黙り込んだ亮をみて再び龍之介が口を開く。
「庵、もう一度聞く。お前に覚悟はあるか?」
「…あるっていうか大体察してるんだ。」
庵のその言葉を聞いて龍之介も亮も瀧雄も目を見開いた。庵はこれまでそんな素振り見せていなかったから。事実を知ろうとあんなに必死になっていたし亮にも瀧雄にもすがりついていた。なのに庵はそんなことをいってきた。だから龍之介は驚きのあまり口を閉ざしてしまう。そんな3人を見て庵は微笑んだ。そして話し続けた。
「さっき亮に抱かれそうになった時怖かったのはそういう目に遭ったって事だよね。だからあの時わかってたんだ。なんとなく…だけどね。それを受け入れたくなくて確かめたくて…。でもだとしてもみんなに酷い事言っちゃった。ごめん。」
庵は落ち着いたとはいえその事実を受け入れるのは容易ではないだろう。なのに庵は苦しさを龍之介らに見せないためか微笑みながらそう言った。悔しい時や悲しい時その表情を隠すのは難しいことだ。涙だって流れてくる。それを止めるのは不可能に近い。だが庵はそれを簡単にやってのけた。それは庵がこれまでしてきたからでだろう。あの母親に育てられればそうなるのは無理はないかもしれない。だがそんな庵をみて亮と瀧雄は心が傷んだ。しかし龍之介は違ったようだ。いやもしかしたら実際龍之介も心が傷んでいたのかもしれない。だが龍之介はそれを表に出さなかった。辛いのは庵自身だから。
「庵、お前の言う通りだ。でも謝るのはお前じゃねぇ。俺だ。お前の気持ちも聞かずに丸め込もうとした。すまなかった。」
「俺のためを思ってしたことだって分かってるから大丈夫だよ。」
「お前は優しい子だな。」
庵の言ったことはまだたった15歳の少年が言えるセリフでは無いだろう。憎しみや嫉妬…それに駆られて他人を痛げあげるような年頃なのだから。だからこそこれまでどんな苦しみの中で生きてきたのか龍之介はよく分かる。庵が話せば話すほど身に染みて分かった。いい環境に生まれれば何も考えず高校に通っていた年頃だ。なのに庵は環境を恨まない。きっとそういう考えだからこそ庵はここまで強くなったのだろう。だがそんな庵でも気になることがある時は子供になる。そのため庵は聞いていいのか龍之介の顔色を伺っていた。その仕草が可愛くて龍之介は思わず笑いそうになったが堪えて庵に話しかける。
「なんだ庵。気になることがまだあるか?なんでも言ってみろ。」
「……俺がここにいるってことは誰かが助けてくれたんだよね。聞くの怖くてやめようとしたけどやっぱり知りたいから聞いてもいい?」
「ああ。いいぞ。」
龍之介は庵に優しく微笑みそういった。その龍之介の表情を見て安心したのだろう。庵は表情を明るくした。
「龍が俺のこと助けてくれたの?」
「俺だけじゃねぇよ。こいつらも親父達もだ。いや悔しいがほとんど親父たちだな。」
「そっか。だから益田さん達がいたんだ。」
「ああ。そうだ。つかお前がさっきあんだけ知りたがってたのはそれだけか?」
龍之介は庵の不満や不安を全て解消したいと思っていた。あれだけパニックになっていたのだ。他にも知りたいことがあるはず。だから龍之介は庵にそう聞いた。すると庵は少し困ったような顔をした。
「さっきはなんにも分かんなくて混乱してたのもあったから…。」
「まぁそうだよな。分かんねぇことは怖いしよ。それを確かめたくて必死になるのも無理はないさ。」
「…うん。あとさ…だめって分かってけどその相手の名前教えてくれたりする?」
「無理だ。それは言葉に出したくもねぇ。何があっても口にしたくねぇんだよ。」
「そっか。わかった。」
龍之介は宏斗の名を余程出したくなかったのだろう。そのためぶっきらぼうに答えてしまった。だが庵はそんな龍之介の言葉に頷いた。それはもう充分知れたからだ。知りたいことがしれた。そして龍之介らが庵にこのことを隠していた理由も知れた。だから庵は満足したのだ。欲を言えば全てを知りたかったがそれはもう諦めることにしたのだ。そして庵はとてもスッキリした。
「なーんだ。結果オーライだね。さっきはどうなるかと思ったけどよかったぁ。」
ほとんどの事実をしれた庵はスッキリしたようで顔の表情も明るくなっていた。そして庵がそう言った理由は他にもある。それはここにちゃんと戻ってこれたこと。龍之介たちと和解できたこと。龍之介たちが怪我をしていなかったこと。他にも色々あるが庵は今全てが上手くいったように見えた。そのためそう言ったのだ。だが亮はそう言った庵に意味がわからないと言わんばかりに牙を剥き出しにしてきた。
「は?オーライじゃねぇよ。何言ってんだ馬鹿。お前実際大変な目に遭ってんだからよ。」
「亮ってすぐバカバカ言うよね。ばかって言う方がばかなんだぞ!」
「今そういう話してねぇんだよ。何が結果オーライだ。お前自分の体見たか?傷だらけじゃねぇかよ。」
「亮怒ってるの?」
「当たり前だ。お前がこんなに目に遭ったんだぞ。」
「たしかにそうだね。けど俺は今幸せだからそれでいいんだ。」
庵は過去に囚われないのだろう。引きずらない。そして未来を見る。だから過去に何があったとしても庵はそれを自分の力に変えて未来へと進んでいく…そんな少年だ。それを目の当たりにした亮と瀧雄は思わず自分を恥じた。たった15の少年に負けた気がしたから。そんな2人をみて龍之介は笑ってきた。
「瀧、亮。お前らとは大違いだな。」
「そんな事言わないでくださいよ若…。」
気にしていたことを龍之介に直接言われ亮はさらに落ち込んでしまう。そのためそう言った声色もかなりショックを受けているように感じた。そんな亮をみて龍之介はさらに笑う。
「はは、悪い悪い。それよりも庵…。」
「ん?なに?」
「お前幸せなのか?」
「うん。幸せだよ。」
「そうか。なら俺らもいつでもお前を抱けるな。」
「…ん?」
思わず庵は聞き流しそうになったが今龍之介なんて言った?抱ける…?だれを?いや庵しかいないじゃないか。さっきはあんなに心配して謝ってきたのに!庵は機嫌が急降下する。そして逃げようとしたが亮に捕まってしまう。
「ちょっと…亮?なにするの?」
「んー?さぁね。それより若。若の言う通り庵も元気そうですし消毒しましょうか。」
消毒?消毒ってつまり…。いや違うかもしれない。庵が思っていることと亮達がやろうとしていることは違うかもしれない。龍之介が抱くと言ったのも冗談かもしれないじゃないか。だから庵は最後の望みをかけて亮に必死に訴える。
「ちょ、ちょっと待ってよ亮…っ、さっき言ったよね!?俺の身体傷だらけって!」
「だから消毒すんだよ。な、瀧。」
「ああ。若、俺も参加します。隅から隅まで綺麗にしてあげましょう。」
「瀧まで何言ってんの…っ、俺、身体辛いって…!」
「どこがだよ。元気そうじゃねぇか。なら早々に消毒しねぇと気がすまねぇ。それにお前の記憶万が一戻った時の対策にもなるだろ。ですよね若。」
亮はまるで庵のことを思っているといわんばかりにそう言ってきた。だがそれはただの自己満だ。絶対にそうだ。庵から痕を消して自分たちの痕をつける。それがしたいだけだろう。だが亮の立場になればそうしたいと思うのも分からなくもない。自分の庵に痕をつけられ汚くされてしまったのだから。だから亮らの気持ちも分からなくもないがそれでも…。
「やだっ、3人はいやっ、せめて1人にしてよっ!」
「甘ったれたこと言ってんじゃねぇ。亮の言う通りなんだからよ。早く消毒してやらねぇとお前の体が汚れたままだ。」
「汚れてないからっ、俺はいやだってばっ!」
「はーい。暴れない。」
「ちょ、りょうやめてっ、やだぁ!」
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