血の繋がりのない極道に囲まれた宝

安達

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囚われの身

ハブてる庵

*亮視点





「すみません若。気持ちの整理がつきました。だから俺も参加させてください。」



俺がそう言うと若も瀧も黙っちまった。ああ、また困らせちまったな。きっと2人は俺の事心配してくれている。それも尋常じゃないほどにな。いつも俺が感情を出さねぇのにさっきは出してしまったから。けどそれはもう過去のことだ。俺はもう切り替えた。だから仕事に参加できる。そんな風に俺が意志を変えることなく2人の返事を待っていると瀧が…。



「庵は?」



ただ一言そう聞いた。それは瀧雄なりの気遣いだ。いつも通りに接することで仕事に参加しろ。そう言っている。俺には分かった。



「庵は寝てる。しばらく目を覚まさないだろうから大丈夫だ。」

「そうか。なら大丈夫そうですね、若。」

「そうだな。」



その若の言葉には俺に対してのことも含まれていた。だから俺は正直嬉しかった。ただ不安もある。その不安というのはまた感情を出してしまうかもしれないという不安だ。けれどそれ抑えなくてはいけない。これから直接もしかしたら栗濱に会うかもしれないから…。俺がそんなことを思っていると今度は若が話し始めた。



「亮。」

「はい。」

「俺がさっき話したことを覚えているか?」

「…さっきですか?」



さっき…?庵をベットに寝かせて欲しいと言われたことか?それならもうやった。庵だって寝た。だからなんの問題もないはず、と俺が頭を抱えるようにして考え込んでいると…。



「亮、今のお前の仕事は庵を見ることだ。それを終えるまではこっちに来るな。」

「…はい。」



ああ。駄目認定されてしまった。俺はどうやら使い物にならないようだ。だったら引き下がるしかない。しかも最悪なことに俺はその悔しさを顔に出してしまった。そしてそれを隠せなくなった。そんな自分がまた嫌になる。そんな風に俺が落ち込んでいると若が歩いてきた。俺の元まで。



「勘違いすんなよ亮。仕事に参加すんなって言ってるわけじゃねぇ。お前のことどうでもいいなら雑用とかとっくに頼んでる。けど違ぇだろ?休むのも仕事のうちだ。それに庵を見るっているのも立派な仕事だからな。」

「はい。」



使い物にならないのは事実だろう。けれど若は俺のことを心配して気遣ってくれている。それがなんだか嬉しかった。だから俺は若の言う通りにした。雑用でもなんでもやる覚悟はあるのに若が休ませてくれる。そう言ってくれているのだから今は甘えることにした。そんなこんなで俺はまた寝室に戻ってきた。そんで寝ようとしたその時…。



「あれ、亮が戻ってきた。」



ん?



「おかえり亮。」



ただの寝言かと思ったが二言目を話しやがった庵。だから俺はすぐに庵の顔を見た。そしたらこいつ目をパッチリと開けてやがった。



「お前また狸寝入りか!」

「違うよ。今起きたの。大きな声出さないで。」

「あ、そうだったのか。悪い悪い。」



んー今起きたにしては目がパッチリ過ぎるけどまぁ気にしないでおこう。もしかしたら庵は俺のことが心配で起きてしまったのかもしれないから。



「亮、なんで戻ってきたの?仕事に行ったんだよね?」

「お前の見張りを若に頼まれたんだ。」

「ふーん。」

「なんだよ。」



まぁなんだよって聞かなくても庵がそういったわけは大体察しがつく。だから案の定俺の予想は当たっていた。



「見張りって…俺まだ逃げると思われてんのかな。」

「そうじゃねぇよ。お前が無茶しないように俺が見張ってんだ。」

「なんだよそれ。変なの…。」

「なんとでも言えよ。」



俺がそう言うと庵が何故か俺の顔を見てきた。そんで直ぐに顔を逸らした。何してんだこいつまじで…。可愛いけどちょっと今の庵は行動が読めねぇな。俺がそんなことを思っていると庵がまた俺の顔を見てきた。そして…。



「亮、お腹すいた。」

「そうかよ。」



あまりにも突然だったけど食欲が湧くのはいい事だ。最近庵の性格がやっとわかってきた気がする。優しくて単純で馬鹿で阿呆で……けど俺らが思っているよりも庵は大人だ。



「うん。なんか食べたい。」

「何がいい?」



せっかく食べさせるなら庵が食べたいものを食べさせたい。そう思った俺はそう聞いたが庵の答えはもう決まっていたようですぐに返事をしてきた。



「亮が作ってくれてたおにぎりと瀧が買ってきてくれたパンが食べたい。」

「あ?そんなんでいいのか?お前の食いたいもんならなんでも買ってくるのに。」

「それがいいの。」

「それならいいが…。まぁ食いたいなら持ってくるから待ってろ。」

「待って亮。俺がリビングに行くよ。」



俺が行ったり来たりになるから申し訳ないと思ったんだろうな。庵の奴立ち上がろうとした。けどそうはさせねぇ。動いたらせっかく温存した体力が減っちまうからな。だから俺は動こうとした庵を止めた。



「亮…?」

「今は若たちが仕事してっから駄目だ。お前はここに待機してろ。」

「…それって大人の仕事?」

「そうだ。庵にはまだ早いことだ。」

「…わかった。」

「いい子。」



庵は何か言いたげな様子だったがそれを言わなかった。それほどまでにお腹が空いていたのかもしれない。だから俺はあんまり深く考えなかった。そんで直ぐにパンとおにぎりをとって寝室に戻ってきた。



「戻ったぞ庵。」

「…………おかえり。」



ほぅ…。こいつ相当いじけてんなぁ。やっぱあれだな。大人の仕事って言ったのがいけなかったな。どうやら俺は庵の地雷を踏んじまったようだ。



「何お前ハブててんだよ。」

「ハブててないし…。」

「どっからどう見てもハブててんだろ。」

「違うし…。」

「なんだよ。どうしたんだ?」

「なんでもないし…。」



反抗期かよこいつ…。可愛いけどよ。いや可愛んだよ。可愛いから困るんだよ。けどずっと拗ねられているのも面白くは無いので…。



「悪かったって庵。俺が子供扱いしたからか?」

「…………。」

「庵?」



庵は余程いじけてしまったようで俺がそう聞いてもそっぽ向いたままだ。さて…一体どうするか。そんな風に俺が悩んでいるとどういう風の吹き回しなのか庵の方から話しかけてきた。



「亮…。」

「ん?」

「…俺ってそんなに子供?」



可愛いなぁほんと。子供を抱いたりなんかしねぇよ。愛してっからキスもするし抱きしめんだよ。子供って言ったのはただ単にお前に知られるわけにはいかねぇことだったからだ。だからそう言ったんだ。



「そんな気にすんなって馬鹿。仕事の話だったからお前に知られるわけにはいかねぇの。だからそう言っただけだ。」

「…ほんと?」

「ああ。だから飯食おう、な?」

「うん…。」



俺の問いかけに庵はそう頷いた。だから俺は庵のことを抱きかかえて膝に乗せた。その状態でなら飯を食わせやすいからな。



「庵、パンとおにぎりどっちから食う?」

「おにぎり。」

「へいへい。」



庵が近くにいると俺はどうも意地悪をしたくなる。けれど楽しみはあとに取っておくものだ。今日の夜またこいつを抱く時までは我慢だな。けど意外だったな。こいつが子供っぽいって言われるのそんなに嫌だったのは…。



「なぁ庵。」

「なに?」

「お前って大人になりてぇの?」

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