血の繋がりのない極道に囲まれた宝

安達

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囚われの身

新しい人物

*庵視点





















「なぁ庵。命が欲しけりゃ俺の可愛い息子達に尽くすんだぞ。」



そんなの嫌に決まっている。俺には龍達がいるんだ。けど…見かけだけでも従順に見せておいた方がいいかもしれない。懐くだけ懐いて逃げる隙を探す。そうしたら早めに逃げ出すことが出来るかも…。だから俺は見かけだけ大人しくこの男に従うことにした。



「ん?いい子じゃねぇか。物分りが良い奴だ。」



俺が栗濱の言葉に素直に頷いたからかこの男の機嫌が分かりやすく良くなった。まだ出会ったばかりだしこの男がどんな人物なのかどんなことをするのかが全く分からない。それさえ分かれば俺はこの男に対する態度をどんな風にすればいいのかが大体分かる。だがそれが分からないことには下手に動けない。そのため今はこうして大人しくするしかない。



「思ったより痛めつける必要はなさそうだな。」



やっぱりそうか。こいつは俺の事を暴力で支配する気だったんだ。ヤクザなのだからそうなるのも納得はいく。けど俺はそうはいかない。龍の時に学んだ。それ以前にも学んだ。反抗してもいいことはないって。龍にこれまで反抗していたのは怒らないって分かっていたから。龍なら大丈夫って分かってたから。けど今は違う。だったら俺は俺なりに…。



「庵、こっちを向け。」



これからどうしようかと俺が考えていると栗濱にそう言われた。そのため俺は素早く栗濱の方を向いた。あくまでこれは作戦だ。本当は嫌で仕方がない。従わないでいいのならばずっと反抗しておきたい。けれどそれではダメなのだ。だから俺は直ぐに栗濱の言う通りに動いた。



「はは、いい子だ。これ取ってやるからな。」



栗濱はそう満足そうに笑うと俺の口に着けていた猿轡を取ってくれた。これでやっと発言ができる。栗濱のことを探れる。ここから出られるのがいつになるか分からないけれどもし出られた時…龍の元に帰れた時に栗濱の情報を少しでも多く渡せるよう俺は俺なりに頑張るんだ。



「……ありがとう、ございます。」

「おお、礼まで言えるのか。この状況で?はは、賢い奴だ。」



そう言って栗濱は俺の頭を撫でてきた。気持ちが悪い。触るな。触れるな。気色が悪い。けれどそれを出してはいけない。



「あの、質問してもいいですか…?」

「ああ。なんでも聞くといい。」

「俺は…どうなるのですか?」

「それはさっき言ったろ。俺の息子を満たしてもらう。内容は言わなくても分かるだろう。お前がこれまでもしてた事だ。」



それはつまり性欲を満たせ…そう言っているんだろう。たしかに俺が今までしてきたことだ。だけど好きでしてきたわけじゃない。なのに…くそ、弱音を吐いてしまう。だめなのに。そうだ。弱音を吐いては駄目。龍の所に帰るために。龍だってきっと探し出してくれる。その日を俺は待つんだ。



「そうでしたね。俺は俺なりに最善を尽くします。」

「………はは、あの頃とはえらい違いようだな。」

「あの頃?」



栗濱のいったあの頃が俺は分からなかった。出会ったことがあるっけ?いやない。俺は覚えていない。こんなおじさん俺は知らない。おじさんだけど悔しいけどこの人は龍並に顔立ちが綺麗だ。そんなやつきっと忘れない。だからそれは栗濱の思い違いだ。


「まぁいい。思い出したら逃げ出す恐れがあるからな。お前には任務を全うしてもらわねぇと。」



逃げ出す…?こいつは何を言っているんだ。俺はこいつに何かされた覚えはない。ここに連れてこられたこと以外まだ何もされてない。本当に分からない。まぁいっか。勘違いしているならそれも何かの形で使えるかもしれない…と俺が思っているとこの部屋のドアが開いた。益田が帰ってきたんだ。



「栗濱さん。戻りました。」

「ご苦労。」



益田の声が聞こえて俺は縛られている身体の中益田の方を全力で向いた。するとそこには益田以外の人物が3人もいた。



「親父。遅くなってすまない。それと翔真はあとから合流する。」

「仕事が立て込んでいたのだろう?それは仕方がない。翔真の件も承知した。お前が謝る必要は無いさ翡翠。」



栗濱はそう言いながら今来た男達の元に歩いていった。そんな栗濱とはすれ違いに益田が俺のところに来た。きっとこいつは俺を見張りに来たんだ。こんな体では俺は逃げ出すことも出来ないのに。



「相変わらず優しいな親父は。」

「当然だ。お前は優秀だからな。お前らも謝罪する必要はないからな。」

「ありがとう親父。」

「それはそうと親父、俺たちしばらく会ってないけどその間親父は元気だったか?」

「ああ。元気さ。」



そういえば栗濱は息子が4人いると言っていた。ということはこの3人全員が栗濱の息子なのだろう。この栗濱の息子だ。きっと息子達も常識範囲では通用しない。絶対気を抜かないようにしないと…。それじゃなくても益田の目があるのに…。



「話が一段落着いたところで…。親父、今日は一体どうしたんだ?」

「ああ、その件だがお前たちにあげたい物があるんだ。」

「物?なんだそりゃ。」

「いいからとりあえずこっちに来てみろ。」

「分かった。」

「親父がそう言うなら。」



その声を最後に今度は足音が聞こえてきた。その瞬間俺は足が震えそうになる。だけど耐えた。怯えていることを悟られたくなかったから。



「こいつだ。」

「おお…これはこれは。」

「今までで1番の上玉だな。」

「そうだろ?こいつならお前らを満足させてやれると思ってな。もっと早めに手に入れたかったんだが誤算があって遅くなってしまった。」



物と言われて連れてこられたのにこいつらは俺の姿を見ても驚かなかった。ということは日頃からこういったことをしているのだろう。龍とは全く違う。最低な奴らだ。鬼畜極まりない。



「親父、礼を言うぞ。」

「兄さんも珍しく気に入ってるね。いつもは乗り気じゃないのにさ。」

「こいつは俺が昔会ったことがあるやつだからな。俺はこいつの事が忘れなくて他の奴を抱けなかったんだ。どうもこいつ以外を抱く気になれない。気持ち悪くてな。」



翡翠とよばれていた男はそう言ったんだ。だから俺はもう混乱だ。栗濱に限らずこいつまで俺に会っていると言った。でも俺は覚えていない。翡翠と呼ばれていた男もきっと1度会えば忘れないほどの美形。性格。刺青。なのに俺は覚えていない。そんなことあるのか?それともただ単にこいつらの勘違いなのか?



「なーんだ。そういうことだったんだ。それならそうと言ってくれれば俺は兄さんに協力したのに。」

「お前の力じゃ無理だろ昌也。」

「なんてことを言うんだよ兄さん。俺は兄さんのためなら何でもする覚悟なのに。」

「やめろ昌也。無駄口を叩くな。」

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