血の繋がりのない極道に囲まれた宝

安達

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囚われの身

まさかの出会い

「なんだって急に謝ってんだよ。」



庵がぶつかってしまった相手にはどうやら連れがいたようだ。そしてそのツレは庵がぶつかってしまった相手を引き寄せるようにしてそう言った。



「人前でやめてってば康二さんっ、俺知らない人にぶつかっちゃったの…!」

「ぶつかっただぁ?調子こいた奴がいるもんだな。俺の駿里になんてことしやがる。そりゃどこのどいつだよ。」

「だから俺からぶつかっちゃったのっ、康二さん出てくるとややこしくなるからこっち来ないで!」

「なんだと。」



目の前で喧嘩をし始めてしまった二人を見て翔真も庵も棒立ちをしてしまった。どうしよう…と。だがその時翔真の頭の中にある事が過った。それは目の前で喧嘩をし始めた男とその少年の名だ。この名を翔真はどこかで聞いたことがあった。どこだろうか…。思い出せない…。



「…こうじ……え、松下康二さん?」



そうだ思い出した。この人は旭川組の幹部だ。だから聞いたことがあったんだ。翔真はとんでもない過ちを犯してしまった。あの旭川組の幹部が目の前にいるのに挨拶もせずに棒立ちをしてしまうという許されない失態を犯した。そのため翔真はすぐさま頭を下げた。そんな翔真をみて今度は喧嘩をしていたはずの松下康二と少年がフリーズした。



「あ?何してんだお前。」

「すみません。これはとんだご無礼をしてしまいました。どうしたら許してくれるでしょうか?」



いきなり頭を下げた翔真に驚きを隠せないように松下が目をぱちぱちさせていた。そんな松下に翔真は続けて謝罪をする。だが松下は状況がよくわかっていない様子だった。その証拠に目線を翔真から駿里に移した。



「何お前。いつからそんな偉くなったんだよ駿里。」

「俺に聞かないでよ…!」



駿里も駿里であまりよくわかっていない様子だった。それもそうだろう。2人は翔真の存在を知らない上に駿里から庵にぶつかったのだから。だからこうして駿里が混乱するのも無理はない。



「あ、あなたもそんなに謝らないでください…っ、顔上げて…。」

「いえ。謝罪をさせてください。あなたは旭川さんの所にいる漲 駿里様ですよね。そしてあなたは松下 康二様。本当に申し訳ないことをしてしまいました。この子に変わってお詫びします。どうかお許しを。」



と、翔真が言うと庵も頭を下げた。庵は本能でわかったようだ。翔真がこうして頭を下げるほど松下らはとんでもない人達なんだって。そんな二人を見て松下は…。



「いいって。そんな謝んなよ。わざとじゃねぇしお前も悪いやつじゃねぇって分かったから。」



そう言ってくれた。そこでやっと翔真は顔を上げた。それに続くように庵も顔を上げた。だがその時松下はなにかに気づいたのだろう。庵を直視していた。その視線に耐えきれなくなった庵は翔真に隠れるように後ずさりをした。そんな庵をみて駿里が怒った。



「こうじさんっ!!」

「あ、悪い悪い。怖がらせるつもりはなかったんだ。ただお前らどういう関係なんだ?なんでこの子そんなに傷だらけなんだよ。まさかお前この子に暴力奮ってんの?」

「ち、ちがいますっ、この人が…いや翔真さんが俺のこと助けてくれたんです…!」



とんでもない誤解をされてしまった庵は急いで弁解をした。だって翔真が助けてくれたのだから。この傷をつけた人たちから。



「ちょっと康二さん!失礼なこと言わないでよ!」

「だって見た感じ傷の手当とかしてねぇからよ。」

「それには理由がありまして…。」



松下が疑わしい目をしながら言ったことに対して翔真は困ったようにそう言った。だっていえなかったから。見ず知らずの人ならまだしも旭川組の幹部である松下に庵はレイプされた後なんです…だなんて言えない。そんなふうに翔真が困っていると松下が翔真の肩に手を置いてきた。



「言いずれぇ事ならいい。まぁ色々あるよな。それに俺知ってるって事はお前も極道なんだろ?」

「はい。」



極悪非道…。そんな噂がたっていた旭川組。だから翔真は正直松下が怖かった。だが話しているうちに怖くなくなっていっていた。そして思った。噂はただの作り話だって。



「感謝します松下さん。」

「いいって。つかお前らうち来るか?追われてる感じだろ。」

「追われてると言うよりかはこの子を元いたところに戻そうとしてます。」

「元いたとこ?は?こいつお前のじゃねぇの?」

「違います。」



そこまで言えば翔真が庵を助けたんだってことはだいたい察しがつくはずなのに松下は何も分かっていない顔をしていた。そんな松下に呆れた駿里は声を荒らげた。



「もう康二さん喋んないで!ややこしくなるから!」

「…んだよお前。」



と、言ってきた松下を無視しながら駿里は庵を見た。そして駿里は庵に話しかけてみた。



「君、名前はなんて言うの?」

「…佐久間、庵です。」

「ん?佐久間?」



庵が名を言うとこれまでお気楽そうにしていた松下の表情が変わった。そして松下は駿里を引き寄せて腕の中に閉じ込めた。その後松下は翔真に話しかけた。



「お前ら車でここまで来たのか?」

「そうです。そこで降りたんです。」



と、翔真は指を指した。だがそこにはもう車も何も無い。だから当然松下は焦った。庵達のことは寛也からざっくりとではあるが聞いていたから。



「何してんだ馬鹿。俺らの車に乗り込め!早く!」

「え、あ、あの…。」

「いいから早く!!」

「は、はい!」



翔真と庵は訳も分からず松下の言う通りに動いた。だが訳が分からないのは2人だけではなく駿里もだった。ここで状況がわかっているのは松下のみ。だから松下は混乱している3人にこれ以上慌てさせないようざっくりと説明をしだした。



「ちょっと駿里がいるからあんま話したかねぇんだが今俺のとこの組長がお前の事を救いに行った。けどすれ違いになったようだな。俺が今から組長に電話すっからそれまでお前らはここにいろ。」

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