血の繋がりのない極道に囲まれた宝

安達

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囚われの身

取り合い

「大分落ち着いたようだな。」

「うん。」



あれから庵は龍之介にずっと抱きしめられていた。そして時より亮や瀧雄が頭を撫でたり背中を撫でたりしてくれた。そのおかげで庵はパニックを起こしていたのが嘘のように落ち着くことが出来た。しかしまだ龍之介の腕の中にいたい庵は落ち着いても尚龍之介から離れようとはしなかった。



「可愛いやつめ。」



普段恥ずかしがり屋の庵がこうして自ら求めてくる時ほど可愛いと思う瞬間はない。そのため龍之介は嬉しさを隠せていなかった。そんな龍之介とは真逆に亮と瀧雄は嫉妬の目で見ていた。



「組長だけ狡いですよ。そろそろ俺に変わってください。」

「亮の言う通りです。庵を独り占めしないでください。」



亮、瀧雄が耐えきれなくなったのかついに龍之介にそう言った。だが亮らがそういったところで龍之介が亮らに庵を譲るはずがない。



「うるせぇ。お前らは黙ってろ。」

「なんでですか!俺らも庵に触れたいのに!」

「おい亮。大きな声を出すな。庵が驚いたじゃないか。」



亮の声が罵声のような声に聞こえてしまったのか庵は体をビクリと震わせた。そんな庵を見て龍之介は亮を睨みながらそう言った。そして亮も亮で庵にすぐ謝った。庵を怖がらせたいわけじゃなかったから。




「…すまん庵。」

「ううん、俺の方こそごめん。なんか今敏感になっちゃってるみたいで…。」

「いやお前が謝るのは違う。俺が悪い。すまなかった。これで許してくれ。」

「あ、ちょっ、亮…っ、」



亮は庵に謝りながらどさくさに紛れて庵の頬にキスをした。それも何度も何度もだ。そのため庵はどうしたらいいのか分からず龍之介を見た。



「しつけぇぞ亮。やめてやれ。」



助けを求めるように庵が龍之介のことを見ると龍之介がそう言って亮を止めてくれた。すると亮はすぐさまキスをやめて庵の顔を確認するように覗き込んできた。



「…嫌だったか?」



亮もきっと我慢している。本当は庵に触れたくて仕方がない。けれどそれを我慢してるんだ。それを察した庵はそう言ってきた亮に笑顔を見せた。そして…。



「いやじゃないよ。」



と、言った。すると亮は当然嬉しそうな顔をする。そしてその嬉しさを抑えきれなくなったのだろう。庵に抱きついた。そしたら今度は瀧雄が…。



「おい亮!お前だけ狡いぞ!」



と、亮に向かって瀧雄が怒鳴った。そんな二人を見て龍之介は呆れ顔を浮べる。しかし庵は違った。どこか嬉しそうにしていた。この亮達の重い愛が今は落ち着くのだろう。守ってくれる。そう思わせてくれるから。



「何すんだよ瀧!邪魔すんな!」

「こっちのセリフだ!」

「はぁ!?ていうか組長も組長ですからね!」



瀧雄に声を荒らげたかと思いきや今度は龍之介に突っかかってきた亮。そんな亮に龍之介は呆れるばかりで何も言い返さなかった。その状況が何だか面白くて庵は思わず笑ってしまった。そんな庵をみて3人は動きを止めた。



「どうした庵。面白かったか?」

「うんっ、だって嬉しんだもん…。」

「そうか。そりゃよかった。」



龍之介は庵の言ったことに安心したのか優しい表情になった。そしてそれは亮と瀧雄も同じだった。彼らにとって庵の幸せは自分が幸せになるのと同じぐらい大切なことだから。



「あ、そうだ。」

「ん?どうした?」



突如何かを思い出したようで庵がそう言ってきた。そんな庵に対して龍之介は庵の頭を撫でながらそう聞き返した。



「そういえば翔真さんは今どうしてるの?」



庵がそういった途端場が静まり返った。あれだけ和やかな空気になっていたのに突然変わった。 まぁその理由は紛れもなく『翔真』が原因だ。彼らは嫌だったのだ。いくら知り合いとはいえ庵の口から自分たち以外の名前が出ることが。そのため亮は…。



「おい庵。俺らの前で他の男の名を出してんじゃねぇよ。」



と、亮は思わず庵にそう言ってしまった。すると案の定庵は困った顔になる。庵はそんなつもりで聞いていなかったから。単に気になっただけだった。それなのに亮にそんなことを言われて困惑してしまった。そんな庵をみて龍之介は亮の頭を殴った。



「いて゛!何するんですか組長!」

「お前こそ何をしてるんだ亮。ちゃんと庵の事を考えろ。」



龍之介が亮を叱り付けるようにそう言うと亮はやっちまった…という顔をした。その後直ぐに庵に謝ろうとしたが龍之介がそんな亮を妨げるように庵に話し出した。



「翔真の事は俺も気になっていた。だからこいつに今から電話で確認させるからちょっと待ってろ、な?」

「うん。わかった。」

「ちょっと組長…!」



勝手に話を進められて今から電話!?なんでだよと言わんばかりに亮は龍之介にそういった。しかし龍之介は亮を甘やかさなかった。それどころか猛抗議してきた亮を龍之介は睨んだ。



「あ?文句でもあんのか?」

「…いえ。ありません。」



あまりにも龍之介が圧を出したからか亮は縮こまるようにしてそう言った。だが縮こまったのは亮だけではなかった。龍之介の腕の中にいた庵も龍之介に密かに怯えていた。



「龍のその顔怖い…。」

「悪い悪い。お前を怖がらせるつもりはなかったんだ。」



庵を怯えさせてしまった。それを理解した途端龍之介は庵の頭を撫でて顔中にキスを落とした。



「あ、ちょっ…りゅうっ…!」

「嫌だったか?」

「そうじゃないけど…っ、」

「なんだよ。恥ずかしがってんのか?可愛い奴だな。」

「組長、庵には甘々ですね。」

「当たり前だ。つか亮、お前は無駄口叩かずにさっさと行け。」
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