血の繋がりのない極道に囲まれた宝

安達

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日常

俺は可愛くない!

*庵視点




































「…はい。行ってきます。」



龍に怒られた亮があんまり乗り気ではなさそうにそう言った。亮はいつも思うけど仕事以外だとめっちゃ態度に出る。けどそれが亮の良さでもあるよね。



「おい待て亮。」

「なんですか組長。」

「ちゃんと翔真と話すんだぞ。適当に終わらせたらもう一度電話させるからな。」

「分かってますって。」

「ならいい。ほら、早く行ってこい。」

「はーい。」



亮が足取り重そうに歩いて行った。その様子を俺は龍の腕の中から見ていた。喜怒哀楽が激しい亮を見るのは面白いから。そしてその亮がどこかに行ったことで俺は安全になった。この中で一番手を出してくるのは言うまでもなく亮だから。だからなのか安心した俺は龍に聞きたいことを思い出した。



「ねぇ龍。」

「どうした?」



あんなことがあったあとだからか龍は俺が何聞いても優しくそう言ってくれる。嬉しいことなんだけどどこかでやっぱり気を使わせてるって感じさせられる。それが俺の中で少しモヤモヤになっていた。そのため…。



「…やっぱりなんでもない。」



俺は言う勇気をなくしてしまった。ただでさえ龍に気を使わせてしまっているから。本当は龍のお父さんのことを聞きたかった。龍はあんなふうに言ってたけど俺は薄々感じた。それは嘘だって。だから龍のお父さんのことが俺は心配になった。けれど今聞くのは俺にとっても龍にとっても良くないかもしれない。それを思った俺は自分から聞いておいてそう言ってしまった。けど龍はそんな俺にも優しくしてくれた。



「そうか。また話したくなったら話すといい。」

「組長の言う通りだぞ庵。今は無理しなくていいからな。」

「うん。」



龍だけじゃない。瀧もそうだ。瀧も俺の様子を四六時中見ている。俺がパニックを起こさないか心配なんだろうな。さっき起きた時も俺…パニック起こしちゃったから。



「ありがとう。2人とも。」



俺の事をずっと気にかけてくれている。それはとても嬉しいことだ。だけど俺は何故かモヤモヤした。なんて言葉に表したらいいのか分かんないけど2人に気を使わせてることが俺は嫌だった。だから俺は無理矢理感はあるけど話を逸らすために別の話題を龍と瀧に振った。



「あ、そうだ。俺を助けてくれた松下さん?だっけ。その人ってどんな人なの?」

「あーなんて言えばいいんだろうなぁ。あの人の事を一言で言うのは難しんだよな。」



俺の問いかけに龍は困ったようにそう言った。周りを見渡してみると瀧も龍と同じような顔をしていた。俺そんなに難しい質問しちゃったのかな…。それとも松下さんって人がやばい人のなのかな。ヤクザだから一般人からすればみんな怖い人なのかもしれないけど龍は今組長にも上がった人だ。そんな龍がこんな顔をするってもしかして松下さんは…。



「…危ない人なの?」



俺は思わず怯えながら龍にそう聞いた。すると龍は一瞬驚いたような顔をしたけどその後何故かゲラゲラと笑ってきた。



「はは、そうだな。庵からすりゃ危ねぇかもな。」

「な、なんでそんなに笑うの…っ、俺真剣に言ったのに…っ!」



あまりにも龍と瀧が笑うので俺は恥ずかしくなってそう叫ぶように言ってしまった。だってそんなに笑う必要なんてないじゃないか。なのに2人揃ってゲラゲラ笑うんだ。そりゃ俺だって叫びたくなるよ。そんな俺をみて龍が俺を抱きしめるように腕を回してきた。



「悪い悪い。あまりにもお前が可愛かったからついな。」



また龍は言った。俺の事かわいいって。けど俺は正直にいうと可愛いよりもかっこいいと言われたい。男だから。



「なんだよもうっ、かわいいかわいいって言うな!」

「嫌なのか?」



俺がそう言うと龍はなんで嫌なのかと言わんばかりの顔をしてきた。嫌に決まってるのに!だって逆の立場になってみてよ!俺が龍に可愛いだなんて言ったら…いややめよう。想像するだけで怖い。



「ずっとやだって言ってるじゃんか!」

「別にいいじゃねぇか。実際お前はすげぇ可愛んだから。」



瀧が呑気にそんなことを言ってきた。そのせいで俺はどんどん興奮してしまう。身体中傷だらけでまだ体を少し動かしただけで痛む場所もある。だけど3人が手厚く手当してくれた痕跡があるからそのおかげで痛みもだいぶマシになってるはず。だけどそれでも痛いんだ。けどそんな痛みが気にならなくなるぐらいには俺は今興奮していた。



「かわいくないっ、俺かわいいっていわれるの嫌だって言ってるのになんで言うの…っ!」

「あ?そうだっけ?聞いたことあります?組長。」

「いや俺は聞いたことねぇな。」



毎日俺は言ってる。2人にかわいいって言わないでって。もちろん亮にも言っていた。だけど亮に言っても意味が無いことを悟った俺は亮に可愛いと言われても無視をしていた。だからこの2人だけでもせめて可愛いと言わせないように俺なりに頑張っていたのにそれも無理そうだ。だから俺は2人から顔をそっぽ向けてやった。



「もういいっ、2人なんか知らないから。」

「おいすぐそうやってハブてんなよ。可愛んだから。」



また瀧がかわいいって言った。あんなに嫌って言ってるのに…!



「だから…!!」

「ごめんって庵。これで許せ。」

「やめっ、たきっ、ちょっ、やだっ…!!」



俺がこんなに怒ってるのに瀧は俺にキスをしてきたんだ。それもこれで許せって言ってきた。そんなことで俺の気が変わるわけないのに!そんな風に興奮してきた俺を抑えようとしてくれたのか龍が俺の頭を優しく撫でてきた。そして…。



「おい庵。それよりもお前松下さんのことが気になってんだろ?」

「…え、今りゅうなんて言った?」
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