血の繋がりのない極道に囲まれた宝

安達

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「……………ん………。」

「起きたのか?」



誰かが庵に話しかけてきた。だがその相手が誰なのか庵は分からない。まだ全然頭が覚醒していないから。というかそもそもここはどこだかすら庵は分かっていなかった。



「庵?どうした?」

「…ん…………。」



庵は目を覚ましたいのに覚ますことが出来なかった。目が開かない。ボーっとする。聴覚も視覚もまだ鈍ったまま。だから話しかけられても庵は未だに答えられずにいた。



「お前ほんとどうした?」



庵に話しかけている相手は亮だ。そのためすぐに分かるはず。それはどれだけ意識がボーっとしていたとしてもだ。なのに庵は未だに返答をしない。あれだけ亮が抱き潰した後だと言うこともあるだろうがそれでも庵はおかしかった。訳の分からない様子だった。そのいつもと違う庵の様子に亮は違和感を覚えた。



「庵。俺が誰だか分かるか?」

「……ん……。」

「分かんねぇの?」

「……………。」

「目が開かねぇ?ボーッとすんの?」



亮のその問いかけにすら庵は答えない。そこで亮は思った。この庵の様子…もしかしたら…。



「お前…高熱あんじゃねぇか。」



亮はふと思ったのだ。この庵の怠そうな顔を見てもしかしたら熱を出してしまったのではないか…と。そしてそれが当たってしまった。そのため亮は大急ぎで水やら薬やらを取りに行った。



「庵。熱計っとこうな。腕上げるぞ。」

「………うん。」

「よし。いい子だ……って、お前今うんって言ったか?」



これまで亮が何を言っても返答してこなかった庵が急に返事をしてきた。まぁ庵が目を覚ましてからかなり時間が経っていたというのもあるだろう。そのためやっと庵の脳が覚醒したようだ。



「お前、大丈夫か!?どこが痛い?薬飲めそうか?」



龍之介に庵が熱を出したことをすぐに電話をしなければならないと思っていた矢先に庵が目を覚ました為亮は珍しく慌ててしまった。そして庵が目を覚ました時に聞こうと思っていたことを全て言ってしまった。



「わ、悪い庵。取り乱しちまった。急に言われても分かんねぇよな。とりあえず痛いとこあるか?」

「…身体痛い。」

「すまん。それは俺のせいだ。やりすぎた。」

「……りょうのばかっ、」

「悪かったって。」

「…うぅ、頭痛いっ。」

「それは熱が出ちまってるからだ。とりあえず薬飲もう。起き上がらせるぞ?」



亮はそう言って庵を優しく起き上がらせた。そして庵を足の間に入れ亮に体重をかけさせるような状態にした。そのため亮は庵の体温の高さをひしひしと感じた。



「お前…かなり熱いな。」

「…うん、あついっ、」

「そうだよな。庵、口開けるか?」

「…うぅっ、」



亮が庵に口を開くよう言うと庵は少し困った顔をした。それは何故なのか。実は、嫌だったのだ。庵は薬を飲みたくなかった。それは風邪薬だと分かっていたとしても少し薬に対してトラウマがあるのだ。



「薬飲めそうにねぇ?」

「…ごめんなさいっ、」

「謝んなくていい。お前は悪くねぇから。」



そうはいったものの亮は困ってしまった。解熱剤を飲ませなければ庵の熱は下がらない。さて、どうしようかと考えているとあることを思いついた。



「なぁ庵。口移しなら飲めそう?」



と、亮が言うと庵は少し迷ったあとでゆっくりと頷いた。そんな庵の頭を亮は優しく撫でた。



「いい子だ庵。口開けて待ってろ。」

「…うん。」



庵は亮のいうことを素直に聞いて口を開けたまま待っていた。その健気な姿が可愛くて思わず亮は庵の頬にキスをしてしまう。そして亮はその後すぐに水と薬を口に含んだ。そのまま庵の後頭部に手を当てて唇同士を合わせた。



「…んっ………っ、ごくっ、」



庵から水を飲んだ音がしたものの薬がまだ口の中に残っているかもしれない。それを思った亮は庵の口の中を詮索するように舌を動かした。



「んっ……んっっ、んっ、」



庵の口の中全てを探り薬が残っていないことを確認すると亮は庵から唇を離した。その時少し庵は物足りないような顔をした。



「お前な…熱出てる時にそんな物欲しそうな顔すんなよ。」



さすがにこんな高熱が出ている庵を抱き潰すわけにはいかない。そのため亮はそう言ったのだ。極端な話亮は庵が目の前にいるだけで勃起する。なのにこんな可愛い顔をされては我慢できなくなってしまうから。それなのに庵は…。



「………もっと。」

「…は?」

「りょうっ、もっと…っ、」



と、言って庵は亮の唇を奪った。この有り得ない事態に亮は固まってしまう。これまで庵が自ら亮を求めたことはあっただろうか。いやないだろう。熱を出せば弱ってしまい本音が出るのだろうか。もしそうだとしたら亮からすれば我慢が効かなくなってしまうほど興奮するだろう。



「は?お前…なに?今俺にキスした?」

「…いやなの?」

「嫌そうじゃねぇよ。嬉しいに決まってんだろ馬鹿。そうじゃなくて…なんで。」



普段は嫌がって絶対にキスなんてしない庵。なのにしてきた。亮はもう訳が分からなくなってしまっているのだ。



「…なんでって、それはっ、亮が好きだから。」



庵にそう言われた亮はまた固まった。好き?庵が?俺の事を?え?あ?これってもしかしたら普段言えない庵の本音なのか…と亮は頭をフル回転させ亮なりに理解しようとしていた。そして亮は思った。これはチャンスだと。普段言えないこと言わせて動画にでも残しておこうと思ったのだ。



「なぁ庵。もう1回言って。」

「亮すき…っ。」

「はっ…可愛いやつ。キスしてもいいか?」

「うん…。」



愛してやまない庵から受け入れられた。亮が喉から手が出るほど欲しかったもの。それが手に入った。そのため亮は龍之介に連絡することなどもはやどうでも良くなっていた。いやしたくなかったと言った方が正しいだろう。全てはこの庵を独占するために。だがそれでも庵の体調を優先しなければならない。だからとりあえず亮は庵に何かを食べさせることにした。



「いい子だな庵。よし、そろそろ飯を食うか。」

「…お腹すいてない。」

「少しだけでも食えそうにねぇか?なんか腹に入れねぇと体に悪いぞ。」



亮はなんだか嫌な予感がした。ご飯を食べれないと言うよりかは庵はご飯を食べたくないように見てたから。そして何かを思いついたように庵は…。



「それよりもぎゅーして…。」

「あ、こら庵。飯先に食ってからいっぱいしてやるから。」

「…ご飯いらない。ちゅーして。」

「お、おい。」



くそ…。なんだよもう。断れねぇじゃねぇか。可愛いなクソが。しかも庵絶対分かってやってんだろ。くそが…と、亮は焦った。庵の方が上手だったから。亮に何を言えば喜ぶのか庵は分かっている。そしていつもは恥ずかしがって言えない様なことも熱が出てるからか言ってくる。そんは庵に亮は負けそうになっていた。



「駄目だ。飯食ってからな?」

「やだ…ちゅーがいい。」

「ならキスしたら食うのか?」

「ぎゅーも…。」

「それもしてやるから飯食おうな。」

「…いやっ、もっとぎゅーしてて。」



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